金沢大学先端科学・社会共創推進機構

VBL

6. 2018年 1月号 「初夢は現実に」

 我が家に、人工知能AIスピーカー(スマートスピーカ)のAmazonの「Echo Dot」(写真)がやって来ました。彼女の名前は"アレクサ(Alexa)"で、直径84ミリで高さ32ミリの円筒です。

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 私が根っからの"新しい物好き"で、Amazon prime会員であったことから、昨年11月の中旬にAmazonから「AIスピーカーを定価¥5,980のところを¥3,980の特別価格で購入できます。」という招待メールがあり、試しに応募しました。抽選漏れかと諦めていたら、12月末に「Echo Dotの招待者に選ばれました。¥2,000 OFFで購入できます。」とAmazonメールがあり、承諾したら翌日ヤマト運輸から宅急便で届きました。

 スマートスピーカーとは、クラウドベースの音声サービスで情報検索、音楽・ニュース(ラジオ)再生、アラームセット、スマート対応端末のコントロールができると言う謳い文句でした。要は、インターネット環境でWi-Fiに繋いでスマートフォンのアプリケーションのようなアプリ機能を音声アシスタントによって、ユーザーが話しかけるだけで、音楽やラジオの再生、ニュース・天気のチェックなどができ、家電の操作なども可能になるデジタルデバイスです。Apple派でiPhoneユーザーのわたしには、メッセージを送信する、電話をかける、カレンダーをチェックするなど、いろんなことが出来るパーソナルアシスタント Siri と同じものかと思い、まずは試してみました。

 寝室のベッドサイドに置いて、説明書どおりにiPhoneにアプリの「Amazon Alexa」をインストールして、自宅のインターネットのルーターに接続して設定完了です。では使ってみましょう。

 「アレクサ:音楽をかけて」、「アレクサ:ラジオをかけて」、

 「アレクサ:朝7時に起こして」、「アレクサ:明日の天気は」、

 「アレクサ:ニュースを読んで」、「アレクサ:じゃんけんしよう」、

 「アレクサ:2かける8かける7は」・・・・

 兎に角、いろいろ呼び掛けても1秒以内に本体上面にブルーのカラーリングが光って答えてくれるんです。時々、聞き取れなかったりするとレッドカラーリングが光って「わかりません」と答えますが、スムースな応答でストレスなく使えたんです。部屋に1人で相手していると、ラジオや目覚まし代わりになりました。

 朝、目を覚まして、「アレクサ:おはよう」、「アレクサ:今日の天気は」、から始って、帰宅したら「アレクサ:ただいま」、「アレクサ:今日のニュースは」、「アレクサ:80年代ポップスの音楽をかけて」、そして寝る前に「アレクサ:明日の予定は」(スマートフォンのカレンダーと連携)、「アレクサ、朝7時に起こして」、「アレクサ:おやすみ」まで、何でも言うことを聞いてくれる秘書?友人ができた気持ちになります。

 遠隔音声認識機能から部屋のどこから話しかけても応答し、学習進化機能から滑舌の悪いわたしでも言葉を理解してくれます。分らない時には「わかりません」と反応します。夜中に目を覚ました時に真っ暗の中で寝ぼけて、「アレクサ:いま何時?」と聞いても答えてくれます。

 このAIスピーカーはAmazonが2014年11月にアメリカで最初に市場に投入し、2016年に英国そしてドイツ語バージョンを独逸で発売し、2017年11月に日本語バージョンの発売となったもので、欧米を中心に広く普及しており、スマートフォンの次を担うデバイスとして注目されています。日本では、LINEの「Clova WAVE」、Googleの「Google Home」、Amazonの「Amazon Echo」が2017年に出揃い、「AIスピーカー元年」と言われています。

 世界的には、Amazonの「Amazon echo」が大きく先行し約70%のシェアで、後を追うGoogleの「Google home」を引き離し、そのほかMicrosoftの「Invoke」や発売が遅れているAppleの「Home Pod」、日本メーカーでは、ソニーや東芝、パナソニックが発売し始めています。韓国サムスン、中国シャオミも発売しています。

 アメリカでは、リビングに設置したスピーカー型デバイスに話しかけ、天気予報を調べ情報検索、音楽の再生、家電や車の遠隔操作などに利用され、約1000万世帯超に普及しているようで、さらに西欧,東アジア地域と急速に拡大しそうです。

 AIスピーカーの根幹である音声認識アシスタントには、市場シェア7割といわれている米Amazonの「アレクサ(Alexa)」のほか、すでにスマートフォンに用いられている米Googleの「Google Assistant」や米Appleの「Siri」、米Microsoftの「Cortana(コルタナ)」など、複数の規格があります。アシスタントは外部にも提供されており、日本メーカーでは東芝が「Alexa」、ソニーとパナソニックは「Google Assistant」を採用しています。

 現時点では、700を超える家電製品(照明、冷蔵庫や電子レンジなど)が「Alexa」を搭載しており、アマゾン陣営が優勢なようですが、日本でのAIスピーカーの製造メーカーがどのアシスタントを搭載するのか、家電メーカーがどのアシスタントに対応する製品を作っていくのかなど、市場の将来を予測する重要なポイントになりそうです。今後は様々な業界において、AIスピーカーから派生した開発競争が激化することが予想されます。家電や電化製品がインターネットに繋がり、生活を効率化し、快適な自動化・省エネ化のスマートホーム市場や、自動車のドライバビリティの車産業市場などAIスピーカーから目を離せません。

 おわりに、今回は人工知能AIスピーカー(スマートスピーカ)を試してみた結果と感想を紹介しました。 2017年12月のある調査ではスマートフォンの所有率が70%を超え、パソコンの所有率が低下傾向にある中、AIスピーカーの所有率が2.5%となっています。ある企業からは外出先からスマートフォンやタブレットで、家の鍵の開閉、エアコンや照明をオン/オフできるシステムが発売されています。しかし、子供や高齢者にとってキーボードやスマホの文字入力は難しく面倒です。音声で操作できた方が圧倒的に使いやすいでしょう。

 今後、IoT分野のスマートホーム関連に必要とされるのは、どこにいても「音声のみで家の中をコントロールできるAIスマートスピーカー」となるでしょう。子供には算数の勉強やクイズ、百人一首の学習に、学生には英語の先生に、ひとり暮らしの学生や留学生には孤独感を紛らわす話し相手に、高齢者には頭の体操に、その用途は限りなく拡がります。

2018/1/15
文責 瀧本 昭