金沢大学先端科学・社会共創推進機構

VBL

7.起業を支援する川崎市

-テクノトランスファーかわさき2007での起業支援-

 「テクノトランスファーinかわさき2007」は2007年7月11日-13日に川崎市のJR溝の口駅近くの「かながわサイエンスパーク(KSP)にて行われました。このイベントは、「川崎市において、内外の企業の先端的な工業製品やソフトウエアなど、多岐にわたる新技術、新製品の展示・実演を通じて企業製品のPR/販路の拡大・商取引の促進を図るともに、地域産業の育成・振興を目的として開催するものです(出展のご案内のパンフとレットより)」。出展部門には企業部門のみならず、産学連携部門もあり、そこでは大学やその関係機関が20ブース構えていました。なぜか広島大学の東京リエゾンオフィスも未公開特許のパネル展示を行っていました。主催は社団段法人神奈川県産業貿易振興協会、神奈川県、川崎市です。石川県で言えばMEX金沢のちょっと小型版というところです。

コンサルかながわの創業診断

 起業ネットワーク部門には中小企業診断士協会による創業・新事業展開の支援コーナーがありました。ここでは開発された新技術をどのように事業迄持って行くかについてのコンサルティングを行っていました。「コンサルかながわ」の名前で活動を行っていました。

 そこでは、創業診断について下記のような12個の質問用紙を配布していました。質問に答えていくと、その場で創業に関する準備状況や心構えについてのくもの巣グラフが出てきます。会場のパソコンでは、時間の関係で下記に示すような12個の質問ですが、中小企業診断士が実際に企業様と打ち合わせを行うときは、もっとすっと多い質問になるそうです。そのほか企業の健康診断のような質問表がいくつか用意してありました。

 また、起業を計画されている起業様や、グループには下記に示すような2つのタイプのプログラムを用意されているとのことでした。前期は、ビジネスプラン作成法の取得用でオリエンテーションから始まり、ビジネスコンセプト作り、マーケティング戦略作り、収支計画作りならびにそれらのまとめの計5回15時間のセミナーです。後期は実務のポイント・個別相談会で先輩たちの体験談、困ったときの解決法、お客様とのよい関係作り資金調達最後に受講者個人のビジネスプラン発表会となっていました。

 また、これらの診断をおこなった創業支援者に、パワーアッププログラムとして、創業・事業支援、経営革新・企業再生、商業・街づくり、製造業・ものづくり、人事制度・人材開発のプログラムを説明されていました。すなわち、上記の12個の質問は創業計画の相談受ける価値があるかのTRIAGEの役割をしていたわけです。大学発ベンチャーについても、このような人の相談を受けて、失敗の少ない起業計画(ビジネスプラン)を作る必要性を感じたしだいです。

 内容は、東京大学のアントレプレナー道場の記事でご説明した、初級・中級コースに似たような内容になっていました。とすれば、このあたりが大学発ベンチャーを志す人たちが、最低知っておかなくてはいけない、基本的な知識のようです。

アジア起業家推進機構

 アジア起業家村は、アジア(日本を含む)人で日本国内で起業家を目指す方を支援するNPO法人です。参照URL http://www.asia.or.jp/

 日本からアジアへの進出なども歓迎とのことでした。同様な試みは、JETROのホームページの石川県ビジネス環境情報(参照URL http://www.jetro.go.jp/spain/invest/region/ishikawa/basic.htm)にも乗って載っています。石川県は対アジア(特に中国・韓国)との貿易の窓口として機能するには地理的にはいい場所と思います。石川県の企業との産学連携の格好のテーマと、思わず足と止め写真を撮った次第でした。

大学発・大企業発ベンチャー創出促進モデルプロジェクト(「モデルプロジェクト事業」)

 神奈川県は、大学や研究機関、企業等の先端的な研究成 果を活用し、神奈川県内でこれからベンチャー企業を設立しようとするベンチャー企業の活動を「モデルプロジェクト」として採択し、経営、技術、販路、資金 といった様々な分野における支援を行っています。この事業は、民間事業者(事業化支援パートナー)と連携し、創業間もない研究開発型ベンチャー企業に対して、企業化・事業化に必要なソフトサービスを中心に支援するものです。参照 URL http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/sangyo/venture01/index.html

 本年は、この事業で10件7大学が採用されました。上記URLを参照すればお分かりのように、選ばれたベンチャー企業には、複数の機関から、起業支援、場所の提供、資金的支援が行われるようです。特徴的なのは、これからベンチャーを立ち上げようとするものを支援するものではなく、すでにベンチャーとして立ち上がった企業(民間企業)の事業化プロジェクトに対して、民間企業の論理で支援されることです。

 石川県でも同様な趣旨で「革新的ベンチャービジネスプランコンテストいしかわ」というコンテストがあり、先日応募が締め切られました(参考URL http://www.isico.or.jp/adminfo/h19-venture.htm)。気を配って探しておれば、同様なイベントがあちこちで見つかりそうです。

文責 VBL 瀬領 浩一

2007/08/02 文責 瀬領浩一