金沢大学先端科学・社会共創推進機構

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タテ社会からの脱皮

- 進化型組織ってなんだ -

はじめに

 これまでの高度成長が続いていた時代が終わり、これまで多くの企業は何とか目標業績を達成しようと、販路開拓、コスト削減のために、さまざまな対策を打ってきました。このため上位下達を採用している企業では、組織の上部の人の指示を達成すべく部下の人たちに目標の達成を強く指示しその目標達成度をその人の業績評価に加える成果主義を採用するところもでてきました。また部下の人たちは忖度と言われるような上部の人の意図を組んだ行動を起こすようになりました。これらの行動の中に、法律に違反するような不祥事というべきものも含まれていることもありました。しかしそれがおかしいと思っても、その周りの人でそれをできるだけ早く直すための、行動を起こす人は少なく、何とか取り繕ってきました。このような風潮は営利企業だけではなく公益組織にまで広がっているようです。それが、ついに表に出てしまい、最近の新聞やネットワークを賑わわせています。これには唯々諾々と仕事だけをこなす社員の在り方にも問題があるかもしれません。もう少し気楽に社員の考え方を組織の上部に伝える、新しい方法が無いものかと思っているときに、進化型組織(ティール組織)のお話を聞きました。

 これは面白いこれなら何とかなるかもしれないと、検討を始めた経過で学んだことをまとめました。

進化型組織があらわれるまでに

 進化型組織という言葉の提唱者は、エグゼクティブ・アドバイザーやコーチ、ファシリテーターとして世界各国で活動を行っているフレデリック・ラルー(Frederic Laloux)氏です。2014年2月に著書『Reinventing Organizations: A Guide to Creating Organizations Inspired by the Next Stage of Human Consciousness』の中で、すでに進化型組織と呼ぶことができる新たな組織モデルを構築している12の組織の成果を紹介したことがきっかけとなり、世界中から注目を集めるようになりました。
 この本の日本語訳は2018年1月31日に英治出版から「ティール組織 マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現」として出版されています。

 この本の「はじめ」には図1にあるように進化型組織とともに進化型組織が現れるまで4つの組織モデル、すなわち衝動型(レッド)組織、順応型(アンバー)組織、達成型(オレンジ)組織、多元型(グリーン)組織の出現の経緯が述べられています。

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図1 組織の発達段階
出典 ティール組織、フレデリック・ラルー、英治出版 2018 日本語版付録を参照して作成
 

 新しい組織型がどのようなときに発達したのかを知るいい資料ですので、簡単にその概要をまとめました。
 ラルーの本の「まえがき」には、上記の五段階の前に次に示す2つの段階があると書かれているがこれらは組織ではないのでここでは省略しています。
受動型(無色)パラダイム:およそ紀元前10万年から5万年ころに、人々は家族のような血縁関係
神秘型パラダイム:およそ1万5000年あるいはもっと早い時期から数百人の人々から構成される神秘的意識

衝動型パラダイム 原初の組織形態が誕生

 およそ1万年前に最初の首長制と原始的な王国として、最古の組織モデルと言われる衝動型組織が生まれました。当時の人々は自我には目覚めており、他者からも世界からも異なった存在としての自己を認識していました。この時最初に感ずるのが恐れであり、死が初めて現実的なものになりました。世界は危険で、力強さと逞しさがなければ自らの欲求を満たせない。「力こそすべてだ」となったのです。自己と他者が認識されているので本格的な分業も可能になり、組織には一人の長と多くの歩兵が存在することとなりました。現在も衝動型組織がうまく当てはまるのは、戦闘地域、内乱、破綻国家、刑務所、治安の悪いスラム街、マフィアやギャングといった敵対的な環境です。衝動型組織の決定的特徴は対人関係に力を行使することで、それが人と人を結びつける要素となります。全体としての正式な組織階層がないため組織規模はそれほど大きくなれません。また「その時」の状況に応じて対応することが重要なため、複雑な成果を達成できません。

順応型パラダイム 「私の組織」と「あなたの組織」

 紀元前4000年ころになると、農業が改善され余裕ができ、国家、文明が生まれました。そして重要なのは社会的な帰属意識が発生したことです。個人個人の「わたくしのやり方か、あなたのやり方か」から集団の「私達のやり方からあなた達のやり方」にとパラダイムの変化が起きました。

 順応型組織になると、組織は1.中長期計画を立て、規模を拡大できる安定した組織構造を作れる(正式の階層組織)ようになります。カトリック教会や東インド会社のように人類最初のグローバル企業は順応型組織です。順応型組織はその属する集団の階層にとどまり、他の階層に行くことはありません。また一定以上の仕事をする人は個人の能力ではなくその人が属する一定以上の階層に属する人に限られています。たとえば労働者階層の人たちは経営者になれません。行政機関や学校などの現代の順応型組織は正式でないにしても終身雇用制を採用し、多くの従業員やの社会生活や昇進といった職場で営まれています。組織は自給自足が原則です。

達成型パラダイム 目的を達成する組織

 順応型の組織の「権威や集団の規範」のように絶対的な「正しい」「間違っている」といった考え方に対し、「より勝っている」という世界観が現れました。意思決定の基準は倫理から有効性にかわり、これまで受け継がれてきた規範の体制から、理性と革命の時期が始まりました。西洋世界ではルネッサンス期に順応型世界感に風穴を開け達成型が始まりました。最初は科学者や芸術家によって始まりましたが、産業革命期に入ると達成型は教養人の間に広まりました。そして現在のグローバル企業に受け継がれています。この段階の世界観では物質的で、見えて触れるものが大きいこと、多いことが良いこととみなされるようになりました。目標達成のために何をするかを夢中になって考え、未来を生きています。このため、現在の達成型組識であるグローバル企業は今までにない業績を達成できるようになりました。しかしながら、一段高い立場から見ると企業の貪欲さ、政治の短期主義、地球の資源やエコシステムの浪費など達成型パラダイムには負の面もあります。

 達成型組識のための特徴は 1.イノベーション、 2. 説明責任、 3.実力主義です。
 現在は1.のイノベーションがいつか起きるかもしれない可能性の世界に生きています。2.の説明責任は順応型の「指揮と統制」から「予測と統制」になります。そのために目標管理が重要となります。3.の実力主義は、組織の階段を登れる可能性が全員にあたえられたことです。このために一人一人の才能は開発され、だれもが組織全体に最も貢献できる役割を与えられるべきだという考え方です。こうして、人間関係より業務遂行を優先させることとなります。しかしながら、成果主義の行き過ぎが、必要以上のニーズを作り出し、成果を達成させようとするために、長期的に持続できないことが実行されることも発生します。

多元型パラダイム

 18世紀後半から19世紀には少数のエリートのものだった多元型パラダイムは人々の感情に極めて敏感でした。あらゆる考え方は等しく尊重されるべきであり、公平、平等、調和、コミュニティ、協力、コンセンサスを求めます。達成型の世界中心のスタンスを約束するだけでなく、多元型はそれをうまく利用したいと考えます。こうして奴隷、女性、難民の開放がはじまりました。自分の属する組織や宗教にとらわれることなく、すべての人間にとって何が公正で適正であるかが問題となってきます。達成型組織は、客観的な事実、専門家からの助言、シミュレーションに求づいてトップダウンで、意思決定をしますが、多元的組織はボトムアップ的意思決定を行います。ただ多元型パラダイムのあらゆる考え方を尊重するべきだという寛容性は、とんでもない悪用を行う人も尊重することになりかねません。このためルールを無くすることは必ずしも良くないし、順応型や、達成型からの反撃も受けます。多元型は古い構造を壊すのには役立つが、実践的な対策案をだすのはそれほど得意ではありません。多元型組織の視点は権力や階層になじまずどちらも無くしてしまいたいと思っているが成功事例は少ない。

 多元型組織がもたらしたものは1.権限の委譲:達成型 組織の実力主義を残しているが意思決定の大半を最前線の社員に任せている。2.価値観を重視する文化と心を揺さぶるような存在目的。現場の最前線にいる社員が、がんじがらめのルールではなく、組織で共有される価値観に包まれて、正しい判断をするものとして信頼されます。3.多元的組織ではステークホルダーは 投資家だけに責任を負うのではなく、経営者、従業員、顧客、サプライヤー、地域社会、社会全体、そして環境に対する責任を持っていると考えます。すなわち組織のCSRを果たすことがビジネスの中心と考えている。いわば組織に家族に近い状況を持ち込むこととなりました。

組織の発達段階

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図2 組織の発達段階
 

 ここまでが今までに発達した組織の概要です。組織の発達段階として説明していますが、以前の組織の型がすべて新しい組織に置き換わっているわけでもありません。図2にあるように組織は約1万年前に衝動型が始まり、その後新しい型に移行する組織もあれば、そのまま残っている組織もあります。現在でも望ましいかどうか別としてもマフィアやギャングのような衝動型組織は残っています。順応型の典型事例である軍隊は今でもトップダウンで、大統領や首相のような国の指導者が決めたことに対して逆らうことができません。達成型企業の多くが株主利益を目標としています。

 ただ、特定の人がどのパラダイムに属しているかを決めるのはというのは難しそうです。例えある人ば会社で営業をやっているときは達成型で行動しますが、同窓会に参加しているときは順応型で、趣味の会に参加している時は多元型で行動するというように、人は何かを行う時に参加する組織型に従って行動することになります。このように組織型は組織の型をいっているのであって個人の型をいっているのではありません。
 ここまで見てわかるように、社会生活の大きな変化となる、力関係、農業社会、科学技術の変化、多様性の普及といった社会の基本に影響を及ぼす変化を機会に新しい組織型が発生してきました。

 現在はインターネット、AI、IoTといった新技術が普及し始めた時期です。これらの技術を使えば、情報交換、蓄積、新しい使い方の開拓といったことがスムーズに行うことができるようになりました。ラルー氏が調査し、提案しているのはそのような技術を有効に利用できる進化型組織です。ラルーの 「ティール組織」の本では12の企業が調査の対象となっています。日本企業はこの中に入っていませんが、事例としてオズビジョンが取り上げられています。

進化型組織

 これまでの組織は、自分たちの世界観だけに価値があり、ほかの人は間違っていると考えてきたが、進化型では意識の進化する世界に対処するために複雑で洗練された方法に移行すると認識することになりました。これは人生の豊かさである「信頼と潤沢に満ちた人生」を超えて、予想外のことが起きても、間違いを犯しても、物事はいつか好転する。そうでないときは学び成長する機会だと考えます。このように個々のメンバーが自己実現を目指す過程で生み出される大きな力を、組織が社会的使命を果たすための原動力として活用しようという考えから生み出されたのが、1970年代から始まった進化型組織です。

 達成型組織の経営者たちが組織を機械に例え、多元型組織の経営者たちが組織を家族に例えたように、進化型組織の経営者たちは組織を生命体や生物に例えています。

 こうして命を宿した組織は創業者の想いを正しく理解し、社会的使命を果たすために何をするべきかについて自ら考えるようになりました。 また、必要に応じて柔軟に方向性やプロセスを切り替えるなど、時代や環境の変化に対応するため進化し続けることができます。
 これらを参考にして組織活動を整理したのが 図3 進化型組織の活動項目です。この図を見ると進化型組織の概要が想像できます。

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図3 進化型組織の活動関連項目

出典 ティール組織、ラルー著、鈴木訳、嘉村解説、英治出版、 2018、を参考に作成

図をクリックすると拡大して見ることができます。

 図3の各枠内のタイトル部分で、青色で書かれているのが次の3つのブレークスルーです。

1. 自主経営:大組織にあっても階層やコンセンサスに頼ることなく、仲間との関係性の中で動くシステムであり従来の人間関係を変えていきます。すなわち他者を変えることは不可能だが自分自身を変えることはできる。自分の思想、信念、言葉、行動は自分のものである。意見が一致しないときには当事者同士で解決を図ります。他の人々を巻き込こんで悪い噂を拡散させたり、陰口を叩かないことです。問題の責任を他人になすりつけ、チームのほかの誰かを非難するのではなく、自分たちがどの様にその問題(と解決策)の一部となっているかを振り返る良い機会と捉えて自分たちの行動を検討します。

2. 全体性:精神的な全体性を呼び起こし、自分をさらけ出して職場に来るように行動します(人生と自然、個人とほかの人々の全体性)。全体性の実現を動機とする行動は、合理的な意思決定以上の行動を求めます。合理的な判断力と、直感と誠実さからにじみ出る知恵を組み合わせ、思い切った飛躍を目指します。利益を最優先とする考えを超越し、世界との関係を改善するために誠実さと全体性を優先させます。進化型組織は、高度な会計制度よりもこの点を信じています。

3. 存在目的:進化型組織はそれ自体の生命と方向感(魂と目的)を持っています。組織メンバーは将来を予測し統制するのではなく、組織がどうなり たいのか、どのような目的を達成したいのかに耳を傾け、理解し、無理に方向を決めようとしないよう気をつけます。合理的な判断力と、直感と誠実さからにじみ出る知恵を組み合わせることにより、思い切った飛躍が可能になります。

 これら3つのブレークスルーを重視して組織や人間の持つ未知なる可能性に挑戦します。

進化型組織の組織構造

 進化型組織以前の組織は階層構造をしているがこれは無くなり、それに代わるものとしてラルー氏は仕事を実行する単位をサークルと呼んでそのサークルがどのように関連しているかによって図4にあるような3つの構造モデルを挙げています。

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  図表4 進化型組織の構造
出典 「ティール組織」、ラルー、1981、 p519~521をもとに作成
 

 進化型組織として参照されるホラクラシー組織は、図3の入れ子組織の代表で、ホラ憲法という形で公的に文書化されたモデルがあります注1)。組織運営(仕事の進め方とその役割)について書かれているので、理解しやすい。あまりにも有名なためついつい、ホラクラシー組織が進化型組織と思いがちだがそうではない。もっと簡単な組織もあので、気軽に取り組んで欲しい。

 進化型組織には部下を統制管理する従来の管理者(マネジャー)やリーダーなどの役職が存在せず、上司や部下といった概念もありません。また、組織構成員のことをメンバーや同僚と表現します。図4の各サークルは少人数(例えば10人くらい)の人の集まり(チーム)を示しています、図3の右下「個人の立場」にあるように行うことは組織のための責任を果たすことです。したがって問題意識を自分の役割にとどめてはいけません。

 この組織の問題を解決ために、チームの役割を実現する責任者、会議の進行係と書記係を決めて打ち合わせを行い、存在目的を達成する方法を決めます。この時自分たちだけで実現できればいいができないときには、他のサークルの助けを得ることもあります。決めることは自分のサークルのその時の実行方法で一般的決議ではありません。

 進化型組織では、この全メンバーに対して平等に権限と責任が与えられるために、たとえ創設者が相手であったとしても対等な立場で向き合 い、話し合いながら共に自己成長や組織の成長を目指すことができます。

 メンバーたちは組織に与えられた社会的使命を常に意識しながら、『自分にできる最善の行動は何か』や『それは本当に自分がしたいことな のか』といったことを考えます。

 そして、やるべきこととやりたいことが一致した時、その仕事に対して責任を持って全力で向き合います。

 進化型組織には、図4のように従来の階層組織とは異なり階層組織がなく権限と責任がセットになっているため、出世競争や派閥争いの原因となる、メンバーによる暴走や権利の乱用といった問題はほとんど発生しません。

 進化型組織の各チームの中では、目の前の課題を解決することが本当の目的だとメンバー全員が正しく理解しているため、それ以外のことについて会議を行うことはありません。したがってミーティングは短時間で終了することができ、生産性が上がります。

進化型組織検討手順


 進化型組織検討のステップを1枚の図にしたのが、図5です。

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図5 進化型組織への道

図をクリックすると拡大して見ることができます。

 ここでは、組織形態としては、図5の左下の「起」 の部分はホラクラシー型組織注1)を参考にして作成してあります。今回は起業を目指す方を対象としているために、自社は組織構造も単純な、図4の一つのサークルのケースを考えています。ありたい組織のアイデアにあるようにまずは組織のルールや権限構造を決める役目を果たす人、組織のガバナンスや運用規定を定めることに参加することに同意した人、サークル自体のルールを決めるガバナンスプロセスに参加できる人を決めます。

 そして「起」、現状認識と準備を始めます:まずは会議の進め方を説明し、そしてサークルのメンバー決め、ついで組織目標の討議を行います。サークルメンバー(役割を果たす人)の中か 1.リーダー(サークルの役割を任された人で、役割のメンバーを任命し、役割の担当者として適切であるかを見て、よりよくするよう話す、サークルの評価基準を決め、戦略や優先順位をきめ、サークル内の資源をプロジェクトに割り当てる)、2.代表者(サークル自体の目的を持っている人)、3.司会者(サー クル憲法に沿って管理、運営する人)、4.書記を決めます。その後戦略目標の定義を行います。

 「承」その後、自分達で新しいサークルの運営ルールや目的を定めたメンバーが自分や自分たちの目的を達成するための活動を始めます。自分達が作ったルールですから、やりがいを感じながら始めることはできます。実行しながら、目標が達成されているかどうかをチェックします。目標が達成できなかった場合や、よりよい提案があったばあいには、サークルに属して いる人たちで相談し対策を取りやり方を改善していきますこれが「転」です。

 この時右の列にあるように方向転換には組織目標として株主の利益だけを考えるのではなく、チーム員が社会から感謝され幸福を感ずることを前提とします。このため「113. 自業戦略と計測尺度」で説明した図表5の戦略 マップの「感謝」を「幸福」に「自業運営」を「組織運営」と変更した図となっています。

 ここに挙げた図5はあくまでも一つの例であり(FBE:Framework By Example)、実行するときにはこのような形を参考に、自分の道を作成することとなります。

あとがき

 このようにして進化型組織は現在の日本社会において次のような部類のニーズのいくつかを解決します。

1. 組織の責任体制が組織のメンバーに明らかになる。このため組織の「不祥事」が減る
2. 組織の活動方針改革に参加するころにより働くことに幸福感を感じさせることができる。「働き方改革」
3. このため、チーム員の積極的参加による、「生産性の向上」が期待できる。
4. 組織のメンバー全員の多様な知恵を活用でき、「イノベーション」の機会が増える。

 このためには組織の構成員間のスムーズなコミュニケーションができることが前提となっています。

 現在はIT、IoT、AIが普及してきており、生産ラインからの在庫や配送に至る情報も意思決定に集めることができる時代です。これらの中から必要な情報をサークルのメンバーに開放するだけだ無く、関係するほかのメンンバー、時には組織資源(例えばロボットや設備の)と共有していく時代が来ています。

 このように、技術的には不可能ということはなく、すでにチャンスが始まっているわけです。むしろこのような社会環境に遅れないことが最大課題という時代になっているようです。これはこれまでの組織発達の経緯を見ても明らかです。このような社会の基本に影響を及ぼすような情報技術変化とともに、タテ型社会から脱皮して新しい進化型組織が発生してきたことがおわかりと思います。

 進化型組織はこうした、時代を取り込める組織体系ですが、既存の組織で実施するとなると、管理者の部下に対する指示は大幅に制限されることとなり、既存管理者(各部門の長や管理部門の人々)の権限は大幅に減少します。このためこの人たちの賛成を得るのは難しそうです。最高権力者の確たる信念、リーダーシップ、現場を知っていること、現場の人々の信頼を得ていることが重要となります。この時は、図3の中上「学び」の項目にあるようにあらゆる問題を、学びと成長を促すチャンスとして生かすことです。正規の学習時間だけでなく、「いかなる時でも学習者になれる」を心に銘じておきましょう(失敗は成功のもと)。

 もう一つの実施のタイミングはこのような能力を持った新たな最高権力者が任命されたときです。すなわちベンチャー企業立ち上げの時、新規事業の開始の時、企業危機時の組織再編成の時です。Uber, Amazon, Facebook, Airbnb, Wikipedia, Google, Apple等がが世界を制覇しはじめているのを見ると急がなくてはいけません。


参考文献
ティール組織 https://bizhint.jp/keyword/113325 (アクセス 2019/01/26)

注1) 「ホラクラシー組織のルール「Holacracy Constitution」をまとめてみた。」、を参考に作成 https://medium.com/@hirokishimada_80077/ホラ クラシー組織のルール-holacracy-constitution-をまとめてみた-前編-cb72d4cba0d7(20181105 アクセス)


2019/01/30
文責 瀬領 浩一