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21Proleくちき ひろし 1969年、富山県生まれ。北陸大学外国語学部卒業。大手旅行会社等で格安航空券、ホールセール等を経験し、1998年に高付加価値サービスを目指し、マゼラン・リゾーツ・アンド・トラスト(株)を設立。ウェブサイトでアマンリゾートなどのラグジュアリー・リゾートへの送客業務を開始。The Real Japan いしかわプロジェクト推進協議会ファウンダー。マゼラン・リゾーツ・アンド・トラスト㈱金沢に本社を置き、ラグジュアリートラベルという高付加価値の旅行企画、販売、手配業務を専門とする旅行会社。海外ラグジュアリー・リゾートを提案するアウトバウンド事業と、日本への旅行ニーズをテーラーメードで作成するインバウンド事業の両機能を持つ。「トラベル・ボランティアプロジェクト」は海外で話題となり、Newsweek誌にも紹介された。という感じでした。 その3年を支えたものは、なんとかなるだろうという楽観さと、やはりモチベーションです。当時の日本には、ラグジュアリートラベルを専門にする会社は多くはなかった。だから「ラグジュアリートラベルのマーケットを自分が率先してつくり、そのニッチな業界のトップ、いや世界一になる」という起業当時からの熱い思いがありました。 幸い、2005年から行ってきたインバウンド(海外から国内への旅行)のための先行投資が2009年ごろより花開き、日銭を稼ぐような状況とは決別できました。しかし、これでようやく軌道に乗るだろうと思った矢先、東日本大震災が起きるのです。抱えていたツアーはすべて吹き飛び、かかってくる電話は支払いの督促ばかり。しかし泣いてばかりもいられません。会社一丸となって状況打破の方向性を探っていたところ、社員のひとりから「トラベル・ボランティアプロジェクト」というアイデアが生まれました。風評被害を払拭するため、真の日本の姿を伝えてくれるトラベルボランティアを募集するという企画です。なんと世界85カ国から1,897 名の応募があり、その中から選ばれたイギリス出身の男女が100日間かけて47都道府県を旅し、その様子をブログで発信してくれました。このプロジェクトは2011年12月に終了したのですが、不思議なもので、年が明けてから旅行の問い合わせが殺到し始めました。いまだにあれは、神様がこのプロジェクトをやり遂げたご褒美をくれたのではないかという気がします。会社を救ってくれただけでなく、「旅行とは、普段できない体験をしていただくこと」という本質的な気づきも与えてくれました。 会社を立ち上げて18年経ちました。まだ道半ばであり、これからも成長に向かって頑張っていかなくてはなりません。苦労は続くでしょう。しかし、そこが、いまの自分の強烈な自信にはなっているかもしれません。ぱっと思いつき、成功するビジネスは、いつでも追いつかれます。でも、私の現在のビジネスは、苦労の上に積み重なったものなので、誰にも真似できないものだと確信しています。これからは「地方の時代」 考えてみると、常に私の原点にあったのは、「何でも見てみたい」という好奇心です。閉ざされた田舎の空間で育ったこともあり、自自分の人生はまだ何も決まっていないんだ。誰かに決められるものでもないんだ。

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