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07 トレンドリーダーからのメッセージ人とかかわれる場所へと一歩を踏み出そう。芥川賞作家の本谷さん。好きな演劇の世界に飛び込んだが、上京したてのころは、「何者かになりたい」と悩み、苦しんだという。それでも突破できたのは、やっぱり「好きだから」。必要なのは、「好きなことで食べてやろう」というエネルギーを持ち続けることと、その環境に身を投じることだ。劇作家・芥川賞作家 本谷 有希子Proleもとや ゆきこ 1979年石川県生まれ。2000年「劇団、本谷有希子」を旗揚げし、主宰として作・演出を手掛ける。2006年上演の『遭難、』で第10回鶴屋南北戯曲賞を受賞。2008年上演の『幸せ最高ありがとうマジで!』で第53回岸田國士戯曲賞を受賞。小説家としても活動し、2011年に『ぬるい毒』(新潮社)で第33回野間文芸新人賞を受賞。2013年、『嵐のピクニック』(講談社)で第7回大江健三郎賞、2014年には『自分を好きになる方法』(講談社)にて第27回三島由紀夫賞を受賞。2016年、『異類婚姻譚』(講談社)で第154回芥川龍之介賞を受賞した。劇団、本谷有希子2000年、本谷有希子氏を作/演出/主宰として旗揚げ。専属の俳優を持たない「プロデュース・ユニット」として活動を開始する。妄想過多な人間を軸に、独特の劇世界を展開する。本谷氏特有の「価値観」で切り出される切実で濃密な物語で、幅広い観客層にアピールしている。「2年間だけの上京」にすべてを懸ける 石川県白山市出身で、県立金沢錦丘高校を卒業しました。いまでこそ劇団を主宰し、小説を書いていますが、高校時代はなんの変哲もない女子学生でした。本も、親しくなったのは大人になって小説を書くようになってから。ただ、当時から図書室という空間は大好きだった。旧校舎にあって、誰もいない渡り廊下の向こうの、ちょっとカビ臭い図書室に入り浸っていました。ただ、あまりいい本に出会えなかったというのが正直なところです。いまのようにインターネットもないし、本好きの子も周囲にいなかったので、読書という世界への入り方がわからなくて、入口をうろうろしていた感じかな。部活は友達に誘われて演劇部に入りました。演じるのは恥ずかしかったので、演出や音響などの裏方メインで。脚本も書きました。石川県の一番大きな書店でも手に入る戯曲は限られていたか

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