2015/08/04(火)10:00~17:00 東京都千代田区神田駿河台4-6 御茶ノ水ソラシティ カンファレンスセンターにてアイディア社 (IDEA DEVELOPMENT株式会社)主催の「GLOBAL SKILLS FORUM2015~グローバル人材の育成~」セミナーに参加しました。
今回はその中からハイ・コンテクストとロー・コンテクスト、グローバル実践力に焦点を当ててご報告いたします。
HPによるとアイディア社の概要は次の通りです。
今回のフォーラムは主催者が重点的に取り組んでいるビジネスエリアイノベーション、コミュニケーション、グルーバルの3つの領域の一つ、 グローバルエリア(上図黄色の部分)でした。対象は、グローバル人材の育成に熱心に取り組まれている企業の責任者や担当者ということでした。 研修方法としては、上図Deliveryにあるワークショップ、コーチング、eラーニングについて事例も交えて、グローバル人材育成の戦略を考えるため研修を 疑似体験するフォーラムでした。
進め方の特徴は講師から基本的な考え方の説明や、企業の導入事例をお聞きし、他の参加者(チーム)ともに具体的なアイディアを考えるという方法です。 こうして参加者一人一人がそれぞれ孤立して考えるのではなく、同じグループに座った人とともに、ディスカッションやワークしながらアイディアを まとめるのです。
参加者は上記写真にあるように、5人から7人毎にテーブルの周りに座り、グループディスカッションを行い、学んだことを確認しあいました。
具体的なプログラムは以下のように4部に分けて進められました。
第1部のグローバルリーダーの育成で印象に残ったのは、グローバルにお付き合いするときには、相手と自分との文化の違いを十分に考えて行動する 必要があるということでした。
例えばこれまで日本人の多くは、日本語を話し、民族的にもほとんど同じ、宗教的には仏教が多く、教育水準も高等学校以上がほとんどで一部の人を 除けば中産階級でした。すなわち下図で言えばハイ・コンテクストであったわけです。更に製造業の現場意識とか官公庁の縄張り争いを見ていると全体重視の 意識は乏しく、自分の担当する部分について、細部までこだわってきているような気がします。すなわち下図(グローバル・マインド)の第Ⅰ象限です。 しかし例えば世の中には、ハイ・コンテクストで全体重視の国や、ハイ・コンテクストで全体重視、ロー・コンテクストで詳細重視の国があるはずです。
ただグローバル・マインドの区分は国によってのみ決まっているわけではなく、お付き合いしている企業や団体によっても異っていることがあります。
このようなグローバルマインドの違いをわきまえ海外で活躍できる人を育てるというのが、第1部 グローバルリーダー育成です。上記のような説明に加え、 サッポロビールホルティングの 岩佐様から「若手リーダーの育成施策」というタイトルで事例のご紹介をいただきました。また国内研修に対する海外研修の 効果のお話もありました。
第4部のグローバル実践力は、いかにして実践力を上げるかという方法やプログラムについてのお話でした。そのため人材の現状を知るための プログラムが「グローバル人間ドック」です。「グローバル人間ドック」では以下のポイント(項目)についてその人のグローバル実践力を評価します。
MEETING(Communication Techniques, Options, Summary skill)例えば、研修前と研修後にこの評価を行うことにより、研修の効果を知ることができます。いくつかのグローバル実践力強化プログラムでの事例を通して、 グローバル実践力の評価結果をお聞きしました。例えば、「実践力強化プログラム」では英語力はそれほど上昇していなくても実践力は強化できることも お話いただきました。これなどは、英語力がそれほど高くない人には朗報です。
そして最後に出席者の全員に自社の平均的な社員の英語力と実践力、更にグローバルビジネス関わる人の平均的英語力と実践力をどう思うかとの課題を いただきました。まず、各自が自分の所属する会社の状況を自分の資料に印をし、それを大きな紙にマークとしてを貼ることにより、下図のような参加者の 属する企業の全体操を作成しました。
この結果は、グローバルビジネスに関わる人材と全社員の平均では、あきらかな違いがあるということでした。この結果は評価者がフォーラム参加者 ひとりひとりの直感であること、「グローバル人間ドック」で行うような体系的基準で行っていないことには留意する必要があります。上図は、全員がマークを 記入した用紙を見ながら、私が例外的と思われるデータは除き、マークの分布を直感的に作成した楕円で表現したものです(元データがないので統計的処理が されたものではありません)。
しかしながら、
1.語学力と実践力の間には関連がある。
2.全社員の平均とグローバルビジネスに関わる人材の間では明確な違いがある。
ことは読み取れます。
これよりグローバルビジネスを強化するためには、英語力強化と実践力強化の両方が必要であるということも分かります。
同様な対応は企業のみならず教育機関でも行っています。例えば金沢大学では2013年に始まったKUGS(Kanazawa University Global Standard) プロジェクトが進んでいます。下図は、私なりにその概要を1枚にまとめたものです。
KUGSのなかで注目すべき項目は上図右上のめざす「10年後姿(2023年の目標値)」です。
戦略は、その狙いが評価可能になっていることが重要であることを典型的な例です。また「あるべき姿になる7つの戦略」(上図左上)の5番目には 英語教育そのものの対策(タフツ大学ELPによる英語力強化)も挙げられています。
これらの資料をまとめながら、グローバル時代のベンチャーを目指す人達もまた、グローバル・マインド(コンテクストについての考え方)、 英語力更にはグローバル実践力を身に付けざるを得ないことを実感した次第です。10年後に上記目標が達成された後、金沢大学に入学する学生は それほど心配する必要はないかもしれませんが、今ベンチャーを立ち上げようとしている人はKUGSの目標達成を待っているわけにはいけません。 とはいえベンチャーを立ち上げてからグローバル化スキル磨くといったことでは今の時代のスピードには追いついていけません。
対応としては
1.学生時代にKUGSに挙げられているようなインターンや海外実習、英語教育に積極的に参加し上記のような技量を磨く
2.グローバル・スキルの」強化を実践しているる企業に入って技を磨いてから起業する
3.海外留学・外国企業に入社し、チャンスを見て起業する
4.1,2、3でグローバル化スキルを身につけた人と協業して事業を立ち上げる
といったことが必要なりそうです。グローバル化スキルといいながらこれは語学力だけではありませんでした。特に今回取り上げた実践力はマネジメント力の 一部ですから、リーダーを目指す人で、実戦能力不足を感ずる方はとりあえず実践力強化の方法だけでも身につけておいても損はなさそうです。
2015/9/20
文責 瀬領浩一