149.起業の手続き

149.起業の手続き

- 創業に必要な書類 -

はじめに

 最初に起業したいと思って準備してきたことを整理し、公式に個人事業もしくは会社事業として認められるために必要な手続きのいくつかについてまとめます。起業の手順ではありません。当初、やりたいことを起業家思考図に書いていたものを、事業としてまとめ、認可や許可の必要な物は手続きを取り、しかるべき組織に伝えることです。この結果、お客様はその製品やサービスを安心して使えるようになります。国や自治体はここで登録された情報を基礎 にしてその利益を確認し、税金の請求が行えるようになります。

創業に必要な届出書類

 創業に必要な届出書類については「143.起業の種類と事業形態」の第2章で個人事業主の届出書類、第3章では法人の届出書類の一覧表をとり上げその違いについて述べています。この2つの表を見ると、かなり似たように見えますが、その提出期限の欄に書かれている内容には大きな違いがあります。

 また、後程第5章届出の必要な業種で述べます「146.起業にかかる費用」の図表1 許認可の必要な業種にあげたように、いくつかの業種については、起業にあたり事前に「許可」「認可」「届出」「登録」が必要となります。同表の備考にあるように業種により届け出先が異なりますので、自分の起業と関係しそうな場合は注意深く確認してください。

 日本政策金融公庫の「創業の手引き」は新たに事業を始めるみなさまへということで創業全般についての解説が載っています。カラフルな絵の入った、わかりやすい本です。日本政策金融公庫の宣伝のような面もありますが、気にすることなく読んでみてください。

第1章 個人事業の届出

 日本政策金融公庫「個人事業開業の手続き」には「個人事業の開発の手続き」が開設されています。まず個人事業を始めるときに必要な手続きは、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)を提出し、都道府県税事務所と市町村に「事業開始等申告書」を提出し、従業員を雇用する場合は、社会保険の加入手続きの3つです。

税務署へ開業届を提出

 開業したら1ヶ月以内に、納税地の税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。一般に「開業届」と呼ばれる書類です。記入の準備として、マイナンバー、事業所の住所、開業日などが分かる書類を手元に用意しておきましょう。納税地とは一般的には住んでいる家の場所です。納税地と事業所の場所が異なり、事業所のある場所を納税地としたい場合には、現在の納税地に行って変更手続き行う必要があります。
 図表1は国税庁のホームページからからダウンロードした「個人事業の開業・廃業届出書」です。下半分の「個人事業の開廃業等について次のとおり届けます。」にあるように、開業の時は届け出区分の開業欄をチェックし、廃業する時には届け出の区分の廃業欄をチェックして使い分けます。

vbl-00801.jpg図表1 個人事業の開業・廃業届出

出典:国税庁「個人事業の開業・廃業届所成」
図面をクリックすると拡大図が見られます

 「個人事業の開業・廃業届出書の書き方」(URLは「参考情報」をご参照ください:以下同様)は 国税庁のHPからダウンロードし、これを参考にわかる範囲で記入してみてください。

 そのうえで、用意した書類と印鑑を持って、税務署に行き、記入に疑問のあったところを個人課税(所得税)の担当に尋ねれば、書き方も教えてもらえますので、そこで完成できます。開業届の用紙は税務署にありますので、失敗しても書き直せばいいわけです。

 開業届を提出する際は、開業届の控えに税務署の受付印を押してもらいます。この開業届の控えは、補助金の申請などの場面でコピーを求められることがあるので保存しておきましょう。

 国税庁のホームページからからダウンロードした「個人事業の開業・廃業届出書」に、記入した用紙を税務署に郵送することもできます。 この時は、税務署の受付印を押してもらった控えを、郵送していただくために返送封筒も送るようにしましょう。

所得税の青色申告承認申請書

 税務署へ開業届を提出するときに「所得税青色申告承認申請書」も一緒に提出できます。

 青色申告承認申請書は個人事業の開業にあたって必須ではありませんが、青色申告をしたい場合には、開業から2ヶ月以内(1月1日から15日に開業した人は3月15日まで)に提出します。

 青色申告承認申請書は、開業届と似ていますが、簿記方式(複式簿記、簡易簿記など)や、備付帳簿名(総勘定元帳など)にチェックを入れる欄があります。書き方にわからないところは税務署に尋ねるとよいでしょう。

地方自治体へ事業開始等届出書を提出

 税務署だけでなく、都道府県税事務所と市町村にも「事業開始等申告書」を提出します。地方自治体によって「事業開始等届出書」の名称や手続きは異なります。開業届を提出する税務署や、事業所の所在地を管轄する都道府県税事務所や市町村役場で、手続きを問い合わせてください。

従業員を雇うときは社会保険の手続きも

 従業員を雇用する場合は、労働保険(労災保険と雇用保険)に加入しなければなりません。労働基準監督署と公共職業安定所(ハローワーク)で加入手続きをします。提出する書類は提出先によって異なります。

1.労働基準監督署への提出書類
2.公共職業安定所への提出書類

 詳しくは、厚生労働省のwebサイト「「労働保険の成立手続」を参照してください。専門家に任せる場合は、社会保険労務士に依頼します。

 厚生労働省「労働保険の成立手続」によると原則として、常時5人以上の従業員がいる場合は、健康保険(協会けんぽ)と厚生年金に加入しなければなりません。

 年金事務所に「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」事業主の世帯全員の「住民票」などを提出します。

 詳しくは、日本年金機構のwebサイト日本年金機構「年金の制度・手続き」や「新規適用の手続き」を参照してください。専門家に任せる 場合は、社会保険労務士に依頼します。

従業員を雇うときにお勧めする書類

 従業員を雇用する場合は、税務署に「源泉所得税の納期の特例に関する申請書」を提出することをお勧めします。申請すると、従業員の給与から天引きする毎月の源泉所得税の納付が年2回にまとめて納付できるようになります。

 青色申告者であれば、税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出すると、生計を一にしている配偶者その他の親族に支払う給与を必要経費に入れられます。

第2章 株式会社の届出

 同様に株式会社設立の手順については日本政策金融公庫「株式会社設立の手続き」に掲載されています。

 株式のすべてを発起人が現金で引き受ける「現金出資による発起設立注」を想定した株式会社の設立の流れです。

注)発起設立とは設立時に発行される株式の全部を発起人が引き受ける方法です。すなわち発起人以外のものから株式を引きけるものを募集しないということで す。小企業のほとんどがこの方法です。

vbl-00802.jpg図表2 法人設立の届出書

出典:国税庁「法人設立届出書」
図面をクリックすると拡大図が見られます

 図表2 法人設立の提出書は法人設立に提出すべき提出書1ページ 目です。この2ページ目にはこの届出書の記載要綱が書かれ ています。

 記載要綱には提出書類は、定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるも の(以下「定款等」といいます)の写しを添付して1通提出してください。なお、資本金1億円以上の内国普通法人の場合は2通提 出してください。といったようなことが書かれています。記入時には参考にしてください。

 株式会社設立の手順は次の通りです。

1.発起人の決定
2.基本事項の決定
3.定款の作成

 定款とは、会社の憲法とも呼べるもので、会社の根本となる重要な規則です。株式会社の定款には、次の5つを必ず書かなければなりません。
・目的
・商号
・本店の所在地
・設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
・発起人の氏名又は名称及び住所

 これをみると、定款とはまさに5W2Hそのものです。目的(Why, What, Where)、本店の所在地(Where)、設立に際して出資される財産(How much)、発起人の氏名(Who)、定款の項目の説明(How)と言えそうです。定款とは改善活動の基本を定義している感じです。

 東京会社設立・起業サポート「定款とは何ですか?」によると上記の5つの項目は(1)絶対的記載事項と呼ばれていて、これ以外に(2)相対的記載事項、(3)任意的記載事項を加えての3つの記載事項があると説明しています。

 日本公証人連合会「定款等記載例」には起業者が参考にするための事例の1つとするために、定款の記載例が書かれています。 ここでは小規模な会社ということで株式が非公開で、取締役が1名のみの小規模な株式会社の定款記載例であり、定款の内容も簡潔なものを紹介しています。 起業者の方が小規模な会社からスタートしたいと考える場合に、定款ドラフトの作成に当たって、参考にされる1つの定款記載例です。といった具合に、複数のケースについてWordファイル、PDFファイル、さらには補足説明付きPDFファイルがアクセスできるよう掲載されております。

 自分の起業がどのタイプに似ているかを考えて、その補足説明付きPDFファイル(すべてのファイルが補足説明つきではありません:この時はPDFファイル)を見ながらWordファイルを自分の状況に合わせて変更していけば、自社の定款の原案が出来上がります。

 更に、そうやって決めた定款が起業家思考図のどこに関係しそうかを考えていくと、定款の各条項が何を意味するかが理解できます。起業家思考図を描かれている人は、ぜひトライしてみて下さい。仕事のやり方の改善のヒントにもなります。

 日本公証人連合会、「定款認証」にもその意義が述べられていますから、こちらもお読みください。

 他にも法務局「商業・法人登記の申請書様式」に株式会社の設立、役員変更、商号・目的の 変更、本店移転、解散・清算結了、その他についての事例が載っています。

4.定款の認証

 また設立当初の定款(原始定款ともいいます)について、公証人の認証が必要とされるのは、次のようなことのためです
1.発起人が原始定款を作成したこと
2.その内容の明確性を確保し、後日紛争になったときにそ の内容を確実に証明し、不正行為を防止すること
にあるためです。

 行政書士や司法書士などの専門家に作成を依頼する方法もありますが、どのような会社にしたいかは専門家から尋ねられるはずですので、基本的な事項については考えておきましょう。
 公証人によって、定款の記載に法令上の問題がないかなどを下記のリンク先を参照してチェックし、間違いのない定款であることを証明してもらえます。公証人は、法務大臣に任命された法律事務の専門家です。
  法務局「管轄のご案内」
  法務局「商業・法人登記申請手続 株式会社」
  法務局「商業・法人登記 Q&A」

5.会社の印章を注文する
6.出資金の払い込み
7.登記申請

 設立登記は、本店所在地を管轄する法務局などに申請します。法務局の管轄は末尾の「参考情報」URLをご覧ください。
 国税庁「税務署などの所在地を知りたい方」

 設立登記には登録免許税が必要です。登録免許税は資本金の1000分の7の額ですが、この額が15万円に満たない場合は15万円です。

登記を申請した日が原則として会社の設立日になります。登記申請の詳細は末尾の「参考情報」URLを確認してください。
 法務局「管轄のご案内」
 法務局「商業・法人登記申請手続 株式会社」
 法務省「商業・法人登記 Q&A」

といった記事があります。

8.設立後の手続き には次のものがあります。

(1) 年金事務所への提出書類

「健康保険、厚生年金保険の資格取得届は事実発生から5日以内に、事務所の所在地を管轄する年金事務所、電子申請、郵送、窓口持参する必要があります。詳細は下記を参考にしてください。  

日本年金機構「健康保険・厚生年金保険 適用関係届書・申請書一覧」
 日本年金機構「厚生年金保険」
 日本年金機構「健康保険・厚生年金保険の届書」
 日本年金機構「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険70歳以上被用者該当届」、
 日本年金機構「健康保険・厚生年金保険の保険料関係」
 日本年金機構「新規適用の手続き」

(2) 税務署への提出書類
 国税庁「内国普通法人等の設立の届出」
 国税庁「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」
 国税庁「青色申告書の承認の申請」
 国税庁「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」
 国税庁「棚卸資産の評価方法の届出書」や「減価償却資産の償却方法の届出書」も必要に応じて提出します。
 国税庁「新設法人の届出書類」

(3)役場への提出書類
 本店を置く都道府県税事務所や市町村役場にも「法人設立届出書」を提出します。それぞれの地方自治体で書類名や手続きが少し異なりますので、詳細はそれぞれの地方自治体に問い合わせてください。

 ただ定款や登記に関する書類は難しいので、行政書士や司法書士に依頼される方は多いのですが、書籍や設立キットを使って自分で作成される方もいますし、インターネット上で項目を入力すると書類を作成する日本公証人連合会「定款等記載例」のようなサイトもあります。

法人設立ワンストップサービス

 マイナーポータルでは、法人設立後の関連手続をオンラインで、ワンストップで行うことができます。下記をご参照ください。

 内閣府「法人設立ワンストップサービス」
 日本公証人連合会「定款等記載例」

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図表3 法人設立ワンストップ

出典:「法人設立ワンストップサービス」
図面をクリックすると拡大図が見られます

 これを見ると法人設立の多くの手続きが法人設立ワンストップサービスでサポートされているのがわかりま すの次図はワンストップサービスの利点を絵にしたものです。

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図面4 ワンストップサービスの利点

出典:「法人設立ワンストップサービス」

 図表4を見ればその効果は一目稜線です。これからは元データを1回いれれば、関係部門に自動的に送付されるようになることがわかりま す。

 定款の作り方については、参考情報ものせられているように、日本政策金融公庫、「定款の作り方」というHPもあります。

従業員を雇うときは社会保険の手続きも

 会社では、従業員がいるのは普通ですが、個人事業に比べれば人数が多いのは普通ですから、十分注意して対応する必要があります。

第3章 合同会社の定款に必ず書く項目

 143.組織の種類と事業形態」でも述べましたが。出資者全部が有限責任者となる、 法人です。個人会社では力不足だが株式会社ほど手間もかけられに人向きです。個人事業、会社事業等との比較は「143 .組織の種類と事業形態」の図表8 起業形態比較表にかかれていますので、そちらを参照ください。

 合同会社の定款には、次の6つを必ず書かなければなりません。
・目的
・商号
・本店の所在地
・社員の氏名又は名称及び住所
・社員が有限責任社員であること
・社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準

 前半の3つは株式会社と同じです。ただ、合同会社の場合、商号に必ず「合同会社」の文字を入れます。

 株式会社との違いは後半の3つです。出資者である社員の名前や住所、社員全員が有限責任社員であること、出資する金銭や物などの価額を書きます。

複数人で会社を設立するときは特に慎重に

 定款は重要な規則ですから、作成した定款の案を、会社設立に詳しい専門家である行政書士、司法書士、中小企業診断士、弁護士などに見てもらうとよいでしょう。

 出資者が一人で会社を設立するときは、書籍やwebサイトの記入例をもとに作成しても大きな問題にならないかもしれませんが、複数人で会社を設立するときは注意が必要です。

 特に合同会社は、議決権の配分や利益の分配、業務執行にあたる社員などの重要事項を定款で決めます。合同会社の定款の変更は原則として総社員の同意が必要です。株主会社でも株主総会で議決権の3分の2以上の賛成が必要です。複数人で会社を設立するときは専門家に相談することを強くお勧めします。

第4章 起業時に認可の必要な業種

 各種の届出の中で許認可とは、事業を行うにあたって、安全性や衛生、防犯などの理由から必要な認可のことであり、「146.起業にかかる費用」の図表1 許認可の必要な業種にあげたように、保健所や警察など、管轄となる役所(申請先)は業種ごとに異なります。

詳細は下記のホームページをご参照下さい。
 日本政策金融公庫のホームページ  
 日本政策金融公庫「創業の手引き、創業のポイント集」
飲食業、中古自動車販売業、婦人服・子供服小売業、ソフトウエア開発業、内装工事業、学習業、クリニック(診療所)、歯科診療所、接骨院・整骨院、介護 サービス事業、インターネット活用といった業界の創業ポイント集と創業計画に入例の情報が掲載されています。

 たとえば石川県健康福祉部薬事衛生課、2021「食品関係営業 許可申請・営業届出の手引き」では営業許可の申請の手続きのプロセスを下記のように説明しています。

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図表5 営業許可申請の手続き

出典:国税庁「個人事業の開業・廃業届所成」
図面をクリックすると拡大図が見られます

事前相談

 事前相談は営業所を管轄する保健所の食品衛生窓口で行われます。

 施設工事着工前に施設の設計図等を持参のうえ、施設基準に適合する内容化どうか、必ず事前に相談します。衛生的管理運営をするため、施設ごとに食品衛生管理者をおかなければなりません。井戸水等を使用する場合、水質検査に適合していることが必要となります。  
*食品衛生責任者の資格者がいない場合や水質検査が未検査である場合は、早めに相談くださいとなっています。

申請書の提出

 次いで申請書類の提出を行います。この時は下記のものをご持参ください
・営業許可申請書
・営業施設の構造及び設備を示す図面
・許可申請手数料

 その手続きの中の保険所長に提出す申請書はA4両面の用紙の【新規】営業許可書の書き方として別ページで詳細に説明をしています。

 営業届出書の提出方法は紙で保健所に提出するか、食品衛生申請書等システムを使って保健所に提出しますと書いてあるように、インター ネットを通じて申請書を送ることができます。その詳細は上記「食品関係営業許可申請・営業届出の手引き」からご参照ください.。

施設検査の打合せ
 申請の際、担当者と検査日を打合せ

施設の検査
 検査の際は、営業者が立ち会い。施設基準に適合しない場合は許可されない、不適事項を改善しあらためて、検査を受ける。

許可証の交付
 検査後数日かかかる

営業開始
 営業施設の見やすい場所に、営業許可証を掲示

 といった具合に厳しくチェックできるようになっていますので、許可を受けるには、各々関係部署に連絡して、手続きを調べて行うことが必要です。

 そのために資料には申請・届出に関するお問い合わせ先ということで起業を行う地域ごとに問い合わせ先とその住所電話が掲載されています。
 さすがに、国民の健康を守るために厳しくチェックされるようになっています。

 このルールは2021年の6月1日から施行されたもので、現在すでに営業を行っている所では数年の移行期間が認められています。

おわりに

 起業の手続きとして、個人事業、会社事業を中心にまとめました。合同会社については簡単に。起業資金の獲得についても参考までにということで、追加してあります。
 今回の起業の手続きをまとめるにあたっては日本政策金融公庫「個人事業の開業の手引き」と「株式会社の設立手続き」を参考にさせていただきました。

 「個人事業の開業の手引き」によれば従業員の採用が無い時その手続き自体が簡単です。

 まずは税務署に行って、「開業届」を提出し、その後地方自治体へ事業開始等届出書と青色申告承認申請書を提出すれば済むという感じでした。従業員の採用があるときは、それに加えて労働機銃監督署への労働保険関係成立届と労働保険概算保険料申告書を提出しと公共職業安定所への提出書類労働保険関係成立届と労働保険概算保険料申告書を提出する必要があり、それ以外にお勧めが2つあるということです。

 ところが会社設立の場合は、さらに複雑になり発起人を決めたり、定款を決めたり、会社の印鑑を登録したり、出資金を払い込んだりして、 登記を行うという複雑な話でした。それぞれ所轄が違えば訪問先が違うということでややこしいと思っていました。ところが第2章の最後にあげたインターネッ トによる「ワンストップサービス」から入力すれば、平成3年2月27日より法務省への設立登録申請書も定款認証の委託も送付できることがわかりました。

 さらに、日本年金機構「新規適用の手続き」にあるように、これらの制度はその実施機関や実施時期により変わります。手続きをとるときは、手続きをとる場所を決めてから(通常は自宅近くの税務署)、そこにある最新の情報を集めて実行してください。

 こうなれば、間違いも減るでしょうし、創業者の手間も減ります。法務省も部門間の縦割り制度を超えるためにインターネットも使えるようになったサンプルです。これから立ち上げる会社も部門間の情報共有にITの利用を進める動機になってくれればと感じた次第です。


参考情報

石川県健康福祉部薬事衛生課、2021「食品関係営業許可申請・営業届出の手引き」(2021年3月)
https: //www.pref.ishikawa.lg.jp/yakuji/syokuhin/documents/shinseitebikisyo.pdf(アクセス 2021/08/12)

厚生労働省「労働保険の成立手続」
https: //www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/daijin/hoken/980916_2.htm (アクセス 2021/08/12)

国税庁「個人事業の開業・廃業届所」
https: //www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/05.pdf(アクセス 2021/08/13)

国税庁「個人事業の開業・廃業届出書の書き方」
https: //www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h29/01_kakikata.pdf(アクセス 2021/08/14)

国税庁「法人設立届出書」
https: //www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf/201602h001.pdf(アク セス 2021/08/12)

国税庁「内国普通法人等の設立の届出」
https: //www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_2.htm (アクセス 2021/08/12)

国税庁「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」
https: //www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm (アクセス 2021/08/12)

国税庁「青色申告書の承認の申請」
https: //www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_14.htm (アクセス 2021/08/12)

国税庁「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」
https: //www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_14.htm (アクセス 2021/08/12)

国税庁「新設法人の届出書類」
https: //www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5100.htm (アクセス 2021/08/12)

国税庁「税務署などの所在地を知りたい方」
https: //www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm(アクセス 2021/08/17)

財務省「令和3年度税制改正について」
https: //www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2021/explanation/p003-008.pdf (アクセス 2021/08/17)

瀬領浩一「143.起業の種類と事業形態」
https://o-fsi.w3.kanazawa- u.ac.jp/about/vbl/vbl6/post/143.html(アクセス 2021/06/12)

瀬領浩一「146.起業にかかる費用」
https://o-fsi.w3.kanazawa- u.ac.jp/about/vbl/vbl6/post/146.html(アクセス 2021/07/27)

東京会社・設立サポート「定款とは何ですか?」
http://www.tokyo- kaisyaseturitu.jp/category/1334658.html(アクセス 2021/08/15)

内閣府「マイナポータル:政府が運営するオンラインサービス」
https: //www.cao.go.jp/bangouseido/myna/index.html (アクセス 2021/08/15)

内閣府「法人設立ワンストップサービス」
https://app.e-oss.myna.go.jp/Application/ecOssTop(アクセス 2021/08/15)

日本公証人連合会「定款等記載例」https://www.koshonin.gr.jp/format(アクセス 2021/08/15)

日本公証人連合会「定款認証」http://www.koshonin.gr.jp/business/b07_4/(アクセス 2021/08/12)

日本政策金融公庫「株式会社の設立手続き」
https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list6/6- 2-1.html(アクセス 2021/08/12)

日本政策金融公庫「個人事業の開業の手引き」
https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list6/6 -1-2.html(アクセス 2021/08/12)

日本政策金融公庫「創業の手引き」
https: //www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/pdf/sougyou_tebiki_book_202106.pdf(アクセス 2021/08/12)

日本政策金融公庫「創業の手引き、創業のポイント集」
https: //www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/sougyou03.html(アクセス 2021/08/12)

日本政策金融公庫「定款の作り方」
https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list6/6-2-3.html(アクセス  2021/08/12)

日本年金機構、「健康保険・厚生年金保険 適用関係届書・申請書一覧」
https: //www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo.html(アクセス 2021/08/18)

日本年金機構、「健康保険・厚生年金保険の保険料関係」
https: //www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/index.html(アクセス 2021/08/18)

日本年金機構「年金の制度・手続き」
https: //www.nenkin.go.jp/service/riyoushabetsu/jigyonushi/index.html(アクセス 2021/08/12)

日本年金機構「新規適用の手続き」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho- hiho/jigyosho/20150311.html(アクセス 2021/08/12)

日本年金機構「厚生年金保険」https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/index.html(アクセス 2021/08/18)

日本年金機構「健康保険・厚生年金保険の届書」
https: //www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/index.html(アクセス 2021/08/18)  

日本年金機構「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険70歳以上被用者該当届」
https: //www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hihokensha/20140718.files/0000002415.pdf(アクセス 2021/08/18)

法務局「管轄のご案内」http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html (アクセス 2021/08/12)

法務局「商業・法人登記申請手続 株式会社」http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/houjin1.html (アクセス 2021/08/12)

法務局「商業・法人登記申請様式」http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html (アクセス 2021/08/12)

法務省「商業・法人登記 Q&A」http://www.moj.go.jp/MINJI/minji69.html(アクセス 2021/08/12)

法務省「商号にローマ字等を用いることについて」http://www.moj.go.jp/MINJI/minji44.html(アクセス 2021/08/12)

国税庁「税務署などの所在地を知りたい方」
https: //www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm(アクセス 2021/08/17)

2021/08/19
  文責 瀬領 浩一