172.宇宙時代への対応

宇宙時代への対応

ー戦争しないための対策ー

はじめに

 「新版 一冊でわかる イラストでわかる 図解世界史」には、いまやまさに「アメリカの1極支配」の時代は終わり不安定化する21世紀となっており、今後は次にあげる次の3つの世界があげられています。
第1世界 資本主義陣営に属する先進諸国
第2世界 ロシアを中心とした東側諸国
第3世界 東西両陣営に属さないアジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国

 最近の新聞やテレビを見ていると次にあげたように世界の各地で戦闘についてのニュースが報道されています。
・アメリカとウクライナ・イスラエル・ロシア・シリア
・中国・ロシアとアメリカ
・ウクライナとロシア
・イスラエルとガサ地区
・北朝鮮とウクライナ

 これらを見ると最近3つ世界も少し次のように、変わっているようにも見えます。
第1世界 主にEUを中心とした諸国
第2世界 中国とロシアを中心とした東邦国
第3世界 アメリカを中心としたアジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国

 いずれの世界の状況も3つに分かれており、私には第1次世界大戦や第2次世界大戦の前の世界の戦争状況に似ているように見え、現在は第3次世界大戦への道に向かっているのはないかと心配になります。
 今回はそのような状況に備えて学生起業家を目指す人は宇宙時代がやってくることを考慮にいれて企業の準備したらどうだろうということをまとめました。
 ただ、巾の広い範囲の情報ですので、今回は概要となります。ぜひご自身のやりたいことに合わせて、情報を集めながらご自分の活動にご利用ください。

アメリカとの関係

トランプ大統領の関税問題
 これまで第2次世界大戦後のアメリカは平和世界を実現するためのリーダーとして各国に対応してきましたが第2次トランプ政権は今後は、アメリカファーストでいきますと宣言し、2025年7月7日に日本に関税25%を提案、さらに日本時間2025年7月7日未明に8月1日より日本に15%の相互関税を課すと言うような表明をしてきました。この関税は変わり続け、今やいったい合意は何なのか解りづらい状況です。
 関税があると、国内の業者は海外から商品を受け取る時(輸入時)に自国に税金を支払い、商品を受け取ります。従って関税が高くなれば商品の仕入れ費用は高くなります。このため輸入業社は利益を確保すると販売価格も高くなります。このため輸入国のユーザーは国内業者の同様の商品の価格がそれより安くなれば、その後の購入を中止し、国内の競合業者の商品を仕入れることになるかもしれません。更に円安になればその分だけ日本にも影響が発生します。そのような危険を感じた輸入業者が販売価格をそれほど上げないようにすると、業者の利益は少なくなるか、場合によっては赤字となります。それでも代替え商品が購入国にない場合は、購入を続けられるかと思いますが、販売量は減少することは予想されます。今回はアメリカが当初言っていた24%から50%に引き上げるのですからだからはそれなりに考慮をしていると思いますが、今後のビジネスには影響はあります。
 ということで日本の関係する輸出入に関する取引の変更時には、国家として以下のようなことについて検討が必要になります。
・アメリカの関税政策はどんな結果になるのか
・製品価格の上昇はどれくらいか
・生産量はどう変わる
・輸出入のルートを変更するか
・その他の関連する国際取引における関税に何か影響は発生しないか。
 しかし心配事はいろいろあるがどのようになるのかよく解らないのが現状です。注意して対応をおこなう必要があります。

 これからの日本はどうあるべきかを決めるためにこれまでやってきたことを纏めると
・アメリカは、戦後は日本に戦争能力を持たせないようにしてきました。
・終戦後の朝鮮半島は北朝鮮と韓国に分けられ北朝鮮は中国の支援を受けています。それで日本海側がが中国のコントロールの下に入ってしまわないように、米国は韓国を支援してきました。1950年に北朝鮮と韓国の間に争い(朝鮮戦争)が始まりました。そして1953年に休戦となっています。

米軍費用の日本防衛の費用負担
 一方日本国に軍事対応力を持たせないことにしていても、日本には朝鮮半島からの攻撃も予測されるためにアメリカには極東地域を守るために軍事組織を持っていただくことになりました。たとえば、在日米軍司令部・国連軍後方司令部は、空軍・沿岸警備隊が使用する横田基地があります。それらの費用として日本は日米地位協定24条により、在日米軍駐留経費のうち、基地の地代や補償などを除き米側が負担すると規定しています。
 しかし、その後米側は「円高・ドル安」を口実にして駐留経費の負担を要求。1978年から基地従業員の福利費を手始めに米兵用の住宅や学校・娯楽施設、さらに戦闘関連施設などの建設費、基地従業員の基本給や光熱水料、訓練移転費を日本が負担するようになり、現在では「訓練資機材調達費」も加わっています。

現在の日本の軍事活動関連状況
 北朝鮮と韓国は休戦中のため現在は北朝鮮とアメリカとの間で軍事的な争いは発生していませんが、この記事の最初の部分に書いたように世界的にはほかの地域では争いが発生しています。そのうえ戦後の世界全体の政治・経済に絡んで、調整の先頭に立っていたアメリカも、今や全世界の調整をしなくなりました。世界は3つのグループに分かれており、アメリカも各国は自分のことは自分で責任をとれと言う状況です。

 しかし私は学生時代以降最近まで、どうすれば戦争に巻き込まれられないで過ごせるかというようなことはほとんど考えてきませんでしたし、学習の話題にもなりませんでした。こうして戦争は他人事のようになった日本は平和な国としての活動が中心となり、研究開発や製造業のような技術・生産活動に集中できました、その結果日本から見た世界は効率的活動を追求しながら活動できる幸せな状況でした。

世の中は変わった

 こうして第2次世界大戦からほぼ80年間たった現在戦争経験のない日本は戦争を避けるための活動が必要になっても、アメリカに頼る以外ほとんど役に立つ体験は思いあたりません。その対策のために何か役に立つ情報はないものかと探していると図書館でエリノア スローン著の 「現代の軍事戦略入門:陸海空からサイバー、核、宇宙まで」が見つかりました。この本では軍事戦略に役立つ戦略(対策)は次のようにまとめられています。
 「知能とは情報処理技術である」という哲学的前提を取り入れているハイデッカーの言葉を借りて言えば「西洋の形而上学がサイバネテックスにおいて頂点に達したとすれば、人工知能における最近の困難は、工学的限界を反映しているというよりも、むしろ科学技術そのものを浮かび上がらせているためです。」となっています。
出典:ヒューバート・L.ドレイファス著「コンピューターには何ができないか:哲学的人工知能批判」 

 それでも「News24-web」によれば、現在日本の世界軍事力ランキングは下記のように第8位となっています。1.アメリカ(United States)
2.ロシア(Russia)
3.中国(China)
4.インド(India)
5.韓国(South Korea)
6.イギリス(United Kingdom)
7.フランス(France)
8.日本(Japan)

 戦争能力を持っていないといっているのに世界第8位というのは、理解に苦しみます。国際社会で言われている日本の軍事力は、どのようなものなのでしょうか。このシリーズの「起業の準備ー狙いを定めるー」の「図表1 実現可能な企業の道」で利用した6W2H手法を使って分析できないかと考えて作成したのが「図表1 誰がいつ何処で如何にやるのか」です。

vbl17201-3.jpg図表1 誰がいつ何処で如何にやるのか

 しかしながら、日本で戦争に関わっている組織や、その活動について公表されている具体的な情報が見つからなくて、「図表1 誰がいつ何処で如何にやるのか」は完全に作成できませんでした。

戦略の作成

 ということで、今回は学生起業家が実行することで役立つ対策に焦点を絞り検討いたします。とりあえず多くの企業が実行しようと思っている事業が持つべき4つの戦略を図表2のように書きとめました。

vbl17202-3.jpg図表2 戦略の統合

 「図表2 戦略の統合」の左上の「自国での戦略」は、現在実行している、自国での他社に対する戦略ですからすでに検討中の関係者であれば、少なくとも原案をお持ちかと思います。お持ちでないかたは、過去の同業他社に関する発表資料を参考に作成して、ご自身で理解した次のような戦略を作成してください。
・自国での戦略は国内で誰と何をやるかの戦略案(目標・方針)を作成してください。
・グローバル戦略は、海外の国どのようなやり取りを採りたいか
・情報化社会との戦略は IT化やAIをどのように使うか
・新技術は自分がこれから使いたい技術にどのようなものがあるか
 いまやこれら4つの戦略は程度の差はともかく、多くの日本企業が行っていることです。各戦略の目標設定と達成度をみなおしながらすすめていくことになります。
 まずこの4つの戦略の内、不要と思う戦略は削除し、新しい戦略が必要なら追加してください。

 以上学生起業でやりたいことを「戦略」ということでまとめました。

戦術

 こうしてやりたいことを戦略としてまとめましたのでこれをどのようにやるのか(戦術の概要)を検討いたします。
 このような状況でいる時に「現代の軍事戦略入門」に書かれている8つの理論 を見付けました。 2015年に書かれたこの本には、下記にあるような8つの理論について書かれています。
1.シーパワーの理論
2.ランドパワーの理論
3.エアパワーの理論
4.テクノロジーの進化と統合理論
5.ゲリラ理論
6.サイバー戦争の理論
7.核戦力と抑止理論
8.スペースパワーの理論

 この本にあげられている8つの理論は事業をすすめるときや、国民の悩みや苦しみを解決することきに企業もより多くの利益を得るために利用できるものです。ただ民間部門でそのまま使えるものではなく修正が必要なものもあるかと思います。ということで、ここに書かれている8つの理論を6W2Hの一覧表としてまとめたのが以下の「図表3 理論と6W2H」です。

vbl17203-3.jpg図表3 理論と6W2H

 これらの理論処理について見ていくとサイバー戦争の理論、核戦力の理論、スペースパワーの理論等新技術に関わる理論入っており、将来への展開が期待される物も入っています。
 防衛業務については下記資料をご参照ください。

防衛白書 令和7年度 日本の防衛
(https://www.mod.go.jp/j/press/wp/wp2025/pdf/R07zenpen.pdf)
防衛産業における下請適正取引等の推進のためのガイドライン
(https://www.mod.go.jp/atla/soubiseisaku/soubiseisakukaigishiryou/kentoukai00_guideline_r070324.pdf)

 しかし「現代の軍事戦略入門」には民間企業においても無視できないことがかかれていますので、図表3に書かれていることを利用して、民間企業の仕事の進め方の参考にしていきます。違いは国の「国民の生命を守る」だけを目標にするのではなく「学生起業として利益を得る」を目標に加えていることです。
 「サイバー戦争の理論」以外でも、「核戦力と抑止理論」は軍事施設、「スペースパワーの理論」は「宇宙空間」から情報を得る施設が必要となります。
 「図表3 理論と6W2H」に書かれた理論を利用するためには、同表に書かれている6W2Hに書かれていることは民間企業に役立つように修正し、ブランクに項目に具体的な情報をいれる必要があります。図表3では半分くらいの項目は未記入で、記入済みの部分も普通名詞で書かれており、例えばスペースパワー理論の「ロケットで」のように具体的な情報がなく利用計画が作れないものもあります。
(注)ゲリラとは 人員が少なくても戦える戦場を見つけ出し、独自の強い武器を手に入れて戦う競合相手(非正規の戦闘員や)のようなチームによる戦闘方法のことです。

 「図表1 戦略の統合」の左上の「自国での戦略」が現在実行している、自国での他社に対する事業戦略ですからすで検討中の関係者であれば、少なくとも原案をお持ちかと思います。お持ちでないかたは、過去の同業他社に関する発表資料を参考に作成して、ご自身で理解した自国で行う時の戦略案を作成してみてください。
 これでは大変と思う戦略があればそれを削除し、新しい戦略を追加したいときには、その戦略を追加し、各々の戦略の実施に役立ちそうな理論を書きこんだのが「図表4 理論の進化と統合戦略の統合」です。

vbl17204-3.jpg図表4 理論の進化と統合

 「図表2 戦略の統合」の「新技術」は「図表4 衛論の進化と統合」では「技術の進化と統合戦略」に統合され、ゲリラ対応戦略が追加されています。この時戦略を実現するための戦術を決める参考に使うのがつぎの5つの理論です。
・シーパワーの理論
・ランドパワーの理論
・テクノロジーの進化と統合理論の理論
・ゲリラ理論
・サイバー戦争の理論

 戦略の実行のため戦術の6W2Hを纏める

 たとえば、自国での戦略では、ランドパワーの戦略に書かれていることを参考に戦略の見直しを行います。
また予定以外のゲリラが現れた時は、新たにゲリラ理論を参考に戦略を作成し、シーパワーの理論とテクノロジーの進化と統合理論の理論を参考に戦略を見直します。
 さらに、「サイバー戦争の理論」やのように自社以外の活動で行われていることも 自分が現在行っている活動のヒントとして利用可能なものもあるでしょうから、今後とも目を通しておくことは良さそうです。

 ただ民間企業が防衛産業に関わることで企業の信用やイメージが損なわれると言われる「レピュテーションリスク」への懸念は根強いとも言われています。
(注)企業にとっての「レピュテーションリスク」とは、自社に関するネガティブな評判や噂が社会全体に拡散され、ブランド毀損や企業価値・信用の低下を招くリスクのことです。
 この資料では、日本の事業に関わっていた組織や、その活動も書かれていますので、現在の日本では学生や一般市民の受験先の決定や、学問や研究の材料としても使えます。

 日本の、中小企業以下の小規模企業では実行できない部分もあり、その詳細は「学生起業家とは?成功事例15選と失敗しない5つのステップを解説」(M&A・事業承継・売却の仲介はM&Aロイヤルアドバイザリー)に書かれていますので、ご興味があればご覧ください。

 さらに、政府・与党が海外への輸出を促進する動きを進めているのに対し、野党の間から「平和国家」としての歩みを覆すものだと反対する声もあります。
 政府として、そうした声にどう向き合っていくのかも問われることとなるわけです。

 ただ日本政府の誰か(たとえば防衛事業庁)がスペースパワー理論を採用して宇宙空間の情報を集め、民間企業向けにも情報を提供していただけるようになると政府だけでなく民間企業は「図表5 スーパーパワーで世界を纏める仕組み」を作って兵器の活動状況をオープンなサービスとして全世界に対して公開できるようになり、世界の関連国家に知られるようになると第3次世界大戦の可能性はかなり下げられるように思います。

 「宇宙空間」や「大気圏」というような言葉の定義は国家や組織や発表時期によって異なった定義が行われているようですので、その時々に確認のうえ状況にあわせて利用してください。
 たとえば日本の場合は「宇宙開発戦略本部」決定し、2024年6月13日に閣議決定された「宇宙基本計画」(https://www8.cao.go.jp/space/plan/plan2/kaitei_fy05/honbun_fy05.pdf)が発表されていますので、これも参考に学習してください。

vbl17205-4.jpg図表5 スペースパワーで世界を纏める

 学生起業用のため抗戦力とその抑止は削除してあります

 サイバー攻撃とは直接人的攻撃をおこなうものでなく、サイバー空間における敵対的行動やコンピューターのネットワークに対する攻撃で、相手のコンピュータシステムやネットワーク、その中にくみこまれたり、受け渡したりするプログラムを改竄し、混乱させ、騙し、劣化させたりして破壊するために長期的な行動として行うもので、相手にとってはコンピューターが誤動している感じになります。ただ学生企業としては難しいかもしれません。

仕組み作り

 いずれにしても、地球のほぼすべての地点を宇宙空間から観測できる仕組みをつくりオープンできる時代になれば、以下のようなことが可能になります。

vbl17206-4.jpg

図表6 宇宙時代の戦略図

 以上「現代の軍事戦略理論」に書かれている8つの理論について簡単な解説を行いました。

おわりに

 ここで書かれた8つの理論は自国でマーケットとする事業から、宇宙でマーケットとする事業まで非常に広い範囲について書かれているため、ご自身の国が戦争の危機の状況にあると、思われた方は、あらためて「現代の軍事戦略入門」をお読みになって対策を検討してください。

 その中から、興味がわき、これからやったみたいことがあったらメモを取っておいて下さいください。8つのテーマについてひと通り読み終わって、使えそうと思うことが残っておればメモを保存してください。
 こうして日本の将来に役だつと思った時は参加しますが、防衛省の現在のお金に対する対応方法は民間企業に利益をもたらすことは少ないので、十分注意して会社や人類の不幸を生みだしそう思った時には、不参加を決心し、要件を見直し、人類の幸福に役立つ方法を見付け全力を尽くしてやることをお勧めいたします。
 こうして宇宙時代となると、学生起業家はご自身が作成した「図表6 宇宙時代の戦略図」への対応をされることをお勧めします。

参考資料
瀬領浩一「152.起業の準備ー狙いを定めるー」
(https://o-fsi.w3.kanazawa-u.ac.jp/about/vbl2/vbl6/post/152.html)

芙蓉書房出版 「現代の軍事戦略入門ー陸海空からサイバー、核、宇宙までー」エリノア スローン 著、奥山 真司・関根 大助 訳(2015/3/16)

「News24-web」日テレNEWS(アクセス 2024/07/22)
(https://news.ntv.co.jp/live)

産業図書「コンピューターには何ができないか:哲学的人工知能批判」ヒューバート・L. ドレイファス 著、黒崎政男・村若修 訳 (1992/4/1)

成美堂出版編集部 (編集)「新版 一冊でわかる イラストでわかる 図解世界史」 (2020/8/5)

防衛白書 令和7年度 日本の防衛(アクセス 2024/07/22)
(https://www.mod.go.jp/j/press/wp/wp2025/pdf/R07zenpen.pdf)

防衛産業における下請適正取引等の推進のためのガイドライン(アクセス 2024/07/22)
(https://www.mod.go.jp/atla/soubiseisaku/soubiseisakukaigishiryou/kentoukai00_guideline_r070324.pdf)

宇宙基本計画(アクセス 2024/07/22)
(https://www8.cao.go.jp/space/plan/plan2/kaitei_fy05/honbun_fy05.pdf)

学生起業家とは?成功事例15選と失敗しない5つのステップを解説(アクセス 2024/07/22)
(https://ma-la.co.jp/m-and-a/student-entrepreneur/)

2025/07/22
瀬領 浩一