人と地域のWEBマガジン ISHIKAWA DRAWER

Naoko MatsudaDirector

松田尚子野々市市情報文化振興財団 企画担当ディレクター

子どもたちがこの街で将来を描けるように。気づきと刺激の種まき人。

Person

#05

2017.04.27

バスルームがリビングだったあの頃。

高校の時に物理にハマり、環境問題にも興味があったので、それらを学べる金沢工業大学に進学、環境システム工学科(当時)でGPSを使ったバリアフリー地図の更新に関する研究をしていました。もともと石川が好きなのでずっと地元にいたいと思っていたんですけど、大学に行って研究室に入って就職活動をしても何かピンと来なくて。周りも就職活動をしているけど「自分は何がしたいんだろう。このままでいいのかな」という不安があって、何をしたいかを振り返るためにも自己分析をすごくしました。友達や家族に頼んで他者分析もしましたね。
 
自己分析をすることで、自分が第一希望の研究室に入って面白さを感じながら学んでいること、就職活動をしながらも研究が楽しくなってきていることが改めて分かりました。最終的に「就職するのは今じゃない」という答えに至り、家族とも相談して大学院に進みました。院では踏み込んだ研究もできましたし、せっかくなら大手の航空測量の会社に行きたいと思い、関東にある第一志望の会社に入社しました。
 
その会社ではカーナビの元データを作ったり、レーシングゲーム用に峠を撮影して3Dデータをつくったり。航空写真測量の地上班の一員として航空機の撮影計画を立てることもありました。地滑りが起きた時に上空から撮影する際の飛行の高さを出すような。数値を誤ると航空機が山や建物に接触してしまう危険性もあるので、慎重な作業が求められました。やりがいのある仕事で楽しかったのですが、本当にもう、朝早くから終電まで仕事という生活が続き、長期間にわたり休みがないことも。わずかでも睡眠時間を確保したくて、一週間くらいお風呂に入っていない時もありましたね。眠いけど、お腹空いたけど、お風呂にも入りたい…!っていう時は、ラーメンを作って湯船で食べてすぐ寝るっていうこともありました(笑)。仕事の内容は苦ではなかったですし、忙しかったことだけが原因ではないけれど、一度立ち止まってみようかなと。次の当てはなかったのですが、地元に戻りました。

カメリア2階「ホール椿」。300人が収容できるホールは、床がヘリンボーンでおしゃれです。

さて、次はどうするか。

帰郷してからは、地元のコンサルタントを紹介しようか?というお話もいただいたのですが、別のアプローチも考えてみようと思って。もともと空間情報の技術は専門家が扱うものと思っていたら、2005年にグーグルアースが出まして。それまでモニター込みで有料で納めていたようなサービスが、誰でも無料で使える時代なんだ!と大きな衝撃を受け、技術を知りさえすればいろんな活用ができることを多くの方に知ってほしいという思いもありました。また、離れてみて初めて分かる石川の良さというのもあったので、地元を知って貢献できること、前職がガリガリのパソコン仕事だったので、もう少し人と接する仕事をしてみたいなと思っていました。とはいえ、全部がかなうわけではないので、要素的にやってみたいと思うところ、こうありたいと思う姿が合致するところを受けて、一番最初に採用されたのが野々市市情報文化振興財団の企画担当ディレクターだったというわけです。
 

※ガリガリ:夢中で行動するさま。

ディレクター職はボランティア団体「カメリア・パルの会」の事務局長も兼任しています。会では、初心者向けパソコン講座や、子ども向け自然体験活動、野々市の歴史や文化を紹介するコンテンツづくりやのっティに関するイベントなどを行っています。会のメンバーは会社の第一線を退いた年配の方も多くて、その中にペーペーの小娘が事務局長として入って右往左往しているようなものですから、最初の頃は「えらいところに来てしまった」と感じていました。でも、一緒に物事を進めていく中で助けていただくことも多くて、今では顔を見るたびに「最近どうや?元気か?忙しくないか?」って声をかけてもらっています。野々市はコンパクトなまちということもあって物事がスムーズに運びやすいなと感じています。「こういうことをしたい」と言うと迅速に話が通りやすく、人と人との距離も近くて「それじゃあ誰それさんに連絡しておくから挨拶に行っておいで」みたいな。
 

※のっティ:いつのまにか野々市に住みついていた不思議ないきもの。2003年に運行開始したコミュニティバスに採用されたそのキャラクターはかわいらしさで話題となり、2010年2月に野々市の公式キャラクターとなりました。市役所に居候し、ツイッターなどを通した野々市の広報活動を手伝っています。

この職場に来て10年。町から市になるという節目を機に発行した情報誌に携わるなど、まちの大きな転換期に関われたことは大きな喜びです。あとはもう、すべて毎年毎年の積み重ねというか。JAXAの連携も大きな話ではあるんですけど、発端として部分日食があったから観望会が開かれ、そこにニーズを見つけたことで体験教室を開いたり、そういった背景からJAXAの第一線で活躍する先生に講演してもらったり。地道な積み重ねがいろいろな形で花開いているのを感じていて、そういう意味ではまちの履歴を一緒につくっているような感覚がありますね。

野々市市役所の中庭にて。市民や犬が楽しそうに散歩していました。

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