人と地域のWEBマガジン ISHIKAWA DRAWER

Mai Takamori

高森麻衣北陸放送 株式会社 技術局 進行部

材料は時間と情報。「放送」という、スリルと楽しさのものづくり。

Person

#07

2017.08.15

放送萌芽は高校時代。

もともとは門前※の出身です。門前は私が生まれてしばらくしてから輪島市になったところで、総持寺とそばが有名なところ。高校受験は門前高校か輪島高校かで悩んだんですけど、輪島の方が都会だったんですよね、比較的(笑)。違う環境に出ることにも興味がありましたし、勉強をしたいなという気持ちもあって輪島高校を選びました。部活は放送部です。中学ではバレーボール部でしたが、怪我をしてしまったので競技を続けることに不安があったのと、新歓の部活紹介で放送部の先輩たちが自分たちで取材や編集をしたビデオを見せてくれて、「自分たちでもこんなことができるんだ!」と感動したのが大きくて。先輩たちもみんな仲が良くて、明るい雰囲気があったのも良かったんですよね。

※門前町:旧鳳珠郡門前町。2006年に輪島市と合併して輪島市門前町となりました。CREDOに登場したハイディワイナリーも門前です。

放送部では大会に向け、番組制作や取材をして原稿を書いて読むアナウンスに取り組んでいました。私は、本の一部分を読み込む朗読を行っていました。小さい頃から本を読むのがすごく好きで、本があればどこにいても練習できるというのもあって。輪島高校の放送部は全国大会にも出るくらい結構強かったんです。大会で東京に行ったり、総合文化祭※で島根に行ったり、いろんなところに行かせてもらいました。顧問の先生が熱心だったのも強さの秘訣だったのかもしれません。話をすごくよく聞いてくれる先生で、部活のことはもちろん、学校生活や進路のことも相談してましたね。その頃に、放送の世界が楽しいかもって意識し始めたんだと思います。

※総合文化祭:全国高等学校総合文化祭の略称。文化部のインターハイとも呼ばれます。

1階のロビーでお話を聞く。後ろに見えるのは松風閣庭園。静かで落ち着いた風景に癒されます。

いざ金沢。

大学は金大※1です。金沢って、進学する前までは夏休みや春休みくらいしか行かないところでした。親が映画を観に連れて行ってくれて、金沢は建物も多いし大きいし、田んぼがない!みたいな(笑)。中学、高校の時はマルキュー※2とか片町も賑やかで、確か高校生の時にフォーラスができたんですよね。友達が行っては「フォーラス行ってきた」って盛り上がってて、「私も行きたい!」って(笑)。金沢=フォーラスみたいな。金沢に来てからは、めっちゃ行ってました。

※1:金沢大学です。北陸以外で「キンダイ」と言うと、「近畿大学」を想像する方も多いです。
※2:109の略。現在のTOKYU SQUAREです。

金大の、国際学類に進みました。高校で英語の勉強が好きだったので、その流れでという安易な考えです(笑)。でも、進んだのは英語の方ではなくて、日本・日本語教育コース。授業で留学生と話をしていて、「このふたつの表現は似ているけど、どういう違いがあるの?」と聞かれても答えられなかったり、ホームステイしている留学生のお世話をしてもまったく日本語を教えることができなかったことが背景にありました。世界を知る前に日本のことを知らなきゃいけない!と感じてこのコースを選び、日本語の文法や構造について勉強していました。
サークルは、web-KURS(ウェブクラス)※という放送サークルです。その存在を知らなくて、入ったのは1年の冬ころだったかな。バイトに明け暮れていたので入るつもりはなかったのですが、授業で一緒だった先輩がWeb-KURSの人で、「高校の時って何やってたの」という会話の流れから、「じゃあ入ります」っていう感じで。主に「喋り」を担当していました。お昼の時間に15分とか30分くらいの学内放送を流したり、金大祭の時に公開生放送をしたり。自分たちで取材をして番組を作り、NHKに出品したこともありました。

※web-KURS:正式名称は金沢大学放送局web-KURS。エフエム石川のラジオ番組「金沢大学Radio Campus」に出演しているのはこちらのメンバーとのこと。

良く学び、佳く飲んだ。

学生生活は本当に楽しかった。特に、バイト先のみんなと飲み会をするのがすごい楽しみで。鈴見台のチューリップ※というスーパーでバイトをしていたのですが、幅広い年代の先輩がいて、ほんっとーーに愉快な人たちで。居酒屋にもよく行きましたし、その日にシフトが入ってない人がチューリップで買い出しをして、家で飲み会をするとか。「バイトが終わったら来いよ」みたいな感じで、いつも大体フルメンバーで集まってました。15、6人はいましたね。やがて就職などで人がいなくなるので悲しくはなるんですけど、たまに買い物に来て近況報告をしてくれたり。特に仲が良かった2人とは、今でも年に1回金沢で集まります。静岡と三重から、わざわざ車で来てくれて。飲んで、イベントをして。毎回、お菓子の家をつくることを3人のイベントとしていて、テーマを設定してつくってます。アナ雪とか。バカなことばっかりしてますね…(笑)。私たちはもりの里で学生時代を過ごしたのですが、彼らも金沢に来ると「もりの里に行きたい」って言うし、私もよく、もりの里のスーパーに行きます。今の自宅の近くにもスーパーはあるんですけど、行きたくなっちゃう。落ち着くんですよね。4年間いたからかな。

※現在のアルビスです。

扉の向こうはニュースの現場。中に入らずとも、ピリッとした空気が伝わってきました。

“過ぎない”ところが合うみたい。

就職先を考えた時にマスコミも頭をよぎりましたが、甘くはないだろうと。放送業界は狭き門ということは知っていたので、銀行や商社など、ほかの業種もたくさん受けました。受けたのは県内の企業が多かったですね。親からは石川に残ってと少しは言われたものの、何で金沢にとどまろうと思ったのかな…。都会過ぎても疲れるし、田舎過ぎてもいないので、私にちょうどいいかなって。何より、大学時代を楽しく過ごせたというのが一番大きいと思います。

いろいろ受けると自分が分かる。

マスコミで受けたのは、厳密にいうとMRO1社です。MROを選んだのは、大学3年生の時のインターンの影響が大きいです。2、3週間いさせてもらって、ラジオの制作現場を見学したり、記者に同行もしました。報道研修を担当してくれたのがとても熱い方で、報道に対する情熱をインターンの私にも伝えてくれて、「こういう人に自分はなりたい」「こういう人がいる会社ってすてきだな」って思ったのが志望のきっかけにつながったと思います。人事の人にもよく話を聞いてもらいましたね。入りたいオーラを出し過ぎてウザかったかもしれませんが(笑)、私という人間を何となくでも知ってもらえたかなという実感がありました。
インターンではほかの企業にも行きました。「国際学類に入ったからには、自分は国際問題に興味がある」と信じていたのですが、国際問題を担う機関でワークショップを受けるうち、私が目指している方向はこちらではないと実感しました。インターンは仕事を体験できるのはもちろんですが、自分が本当に働きたい業界なのかどうかを知るきっかけにもなると思います。

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