人と地域のWEBマガジン ISHIKAWA DRAWER

Mai Takamori

高森麻衣北陸放送 株式会社 技術局 進行部

材料は時間と情報。「放送」という、スリルと楽しさのものづくり。

Person

#07

2017.08.15

高森さんのデスク。放送スケジュールを記載した資料をチェックするそうです。手にしているのは7つ道具のひとつ、ストップウォッチ。ゴツいです。

日々鍛えられる目力。

今はラジオを離れ、テレビの仕事をしています。異動してもう3年になりますね。テレビの仕事は番組を撮り、映像をつくるテレビ制作部、番組編成を行う編成部、番組がきちんと放映されているかをチェックする進行部などがあり、私は進行部にいます。たとえば水戸黄門※が4時から4時53分に放映されるとしますよね。そのひとつの番組の中で、ここで1分36秒水戸黄門の映像が流れたら1分半CMが流れる…というように、水戸黄門が1つの番組としてきちんと流れるよう、放送データをつくる仕事をしています。同時に、映像を見ながらテロップに漢字の誤りがないかを確認したり。時には謎の縦線とか、いきなり砂嵐が出たりもするので。ちなみに、放送データの作成や確認は、オンエア日の前日までには終了させ、オンエア当日を迎えるという流れです。

※水戸黄門:水戸藩主・徳川光圀が各地を漫遊しては悪をたしなめる時代劇ドラマ。「この紋所が目に入らぬか」というセリフが有名。

神経を使うので本当に怖い仕事です。何かミスをしたら放送事故になるので。異動してきたばかりの時は眠れなかったくらい。横にはなるんですけど、ずっとテレビを付けておかないと安心できないし、何か事故ったら自分で確認しないといかんかなと思っとったし。電話がかかってこないかなとか。他局の番組を見る余裕はないですよね。CMの並びも実は考えられていて、車とビール、住宅の3つを入れるとしたら、ビールと車を並べると飲酒運転を連想させてしまうので、そうならないよう気を遣ったり。私を教えてくれた先輩が細やかな人で、やっぱりベテランはすごい。仕事を見ながら日々鍛えられています
醍醐味は、事故ることができないこと。常にその危機感、スリルがあって。担当日の翌朝を無事に迎えられた時の安心感といったらもう…。それに尽きます。でも、いつかはものをつくる現場に戻りたい。自分で番組をつくることを、もう1回したいって思っています。

スタジオでお知り合いと再会中。ネックレスを何かしています。会う人会う人、高森さんを「まいちゃん」と呼んでいました。

時には受け止めてもらおう。

仕事は大変なことも多いです。でも、本当に辛かった時でも、話を聞いてもらえるだけでギリギリ頑張れる、ということが何度もありました。ラジオにいた時に、すごく仲良くしてくださった女性がいました。契約社員の方だったので現在はMROにはいらっしゃらないのですが。「先輩にこんなこと言われた」「ここが全然上手く行かない」など、何でも話していました。私はカレーがすごく好きで、何かあると「もう無理。カレー行こう」って、二人でせせらぎ通りにあるアシルワードによく行っていました。アシルワードのカレーはまろやかで、サイドメニューも本格的でおいしいんです。見たことのないメニューもめっちゃあって。カレーを食べながら、悔し泣きしてましたね。周りから見えないよう、隅っこの席で。
いつも「そうだよね」「そっかそっかー」って話を聞いてくれて。その人と話せるというだけで何とか会社に行けていたし、辛い状況を乗り切ることができました。支えてくれる人、話を聞いてくれる人の存在って本当に大きい。これから会社に入ろうとするみなさんには、出会いの大切さを伝えたいですね。

プロフィール

高森麻衣(たかもり・まい)さん:1989年、輪島市・門前出身。金沢大学の国際学類(第1期生!)を卒業後、MRO・北陸放送に就職。制作局ラジオ放送部(当時)を経て、現在は技術局・進行部に在籍し、テレビ番組がきちんと流れるよう、放送データの作成や確認作業を行っている。目薬とパソコン用メガネは必需品。

読了おめでとうございます :-D 

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