Zhang QichaoManeger of Global Sales Department
張旗超グローバル営業部 マネージャー
#08
2017.12.22
時折金沢弁を交えて話す張さん。中国語に英語に日本語、3ヶ国語を操れるって本当にすごいです。
就職活動はいろいろ苦労しました。そのころ、外国人を採用する企業は少なかったんですね。あったとしても、大手企業で1名とか。日本で就職したいという留学生は少なくないので、採用情報が回るとその企業に応募が集中してしまうんです。東京や大阪とか、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしてました。奥さん※も一緒に就活してました。
私は東京のある企業からも内定をもらっていたんですが、ある日、北大の就職支援担当の先生から、石川県、それも金沢の不動産会社が初めて外国人社員を募集するという情報を教えてもらいました。暮らしてみて金沢のことを好きになって、第二の故郷と思うようにもなったし、もともとは金沢に残りたいという気持ちが強かった。早速採用担当の方に電話をしてみたら、次の日が面接だと言われました。事前に応募はできていませんでしたが「ぜひ一度チャンスをください」と伝えたところ、「間に合うなら履歴書を持ってきて」と。その時は就活で一時的に東京に滞在していたのですが、翌日金沢に戻って履歴書を用意して、どうにか参加することができました。
不動産という業種に決めていたわけではありませんが、接客の仕事が好きなので興味はありました。外国人を採用する企業は、都会も少なかったけど、金沢ではものすごく珍しかった。このチャンスをどうしても手に入れたかったので、面接では外国人としての自分が役に立てる仕事をしたいという熱意をアピールしました。のうか不動産は雰囲気が明るくて、社長も面白い。同年代の社員も多いなど、いいなと思うところがたくさんありました。
※奥さん…張さんが北大に編入したのと同じ年に留学してきたクラスメートで、中国・遼寧省出身の方だそうです。「ご縁があって、」と、照れ気味な張さんでした。
入社後は営業部に配属され、小立野店で働いていました。留学生のお部屋探しのサポートと、入居から退去までの全般の仕事が担当です。基本的に営業は物件の紹介をするんですが、自分は外国人のお客さまが多いので、入居した後も生活面の相談に乗っていました。自分も分からないことだらけだった経験もあるし、日本に来たばかりの人は情報を持っていないので。最初って何も分からないんですよね。スーパーがどこにあるか、入学式のスーツはどこに売っているかとか、ここに行くには何番のバスに乗ればいいのかとか。不動産とは直接関わりのない部分かもしれませんが、できるだけ協力していて、「本当に助かった」という声もいただいています。
近隣の方やオーナーさんとの調整も大事な仕事です。留学生って、結構電話をするんですよね。親や友達と話しているんですけど、声が大きいから喧嘩してるんじゃないかと心配されて会社に連絡が来たこともありました。ほかにも以前は家賃の滞納やゴミ出しの問題などもありました。でも、問題が起こるのは、結局は情報が伝わっていないからなんだと思います。日本人スタッフが日本語でていねいに説明したとしても、外国人は日本語が分からないから「はい」としか言えない。でも、「はい」と返事をされた日本人スタッフは、説明したことを理解し、納得していただけたと思ってしまう。こうした行き違いが起きないよう、生活に関する説明や契約ルールなどの情報を中国語や英語で作成しました。情報がきちんと伝われば、分かっていただける。今は問題はほぼゼロです。
今のところのうか不動産に外国人社員は私1人。外国人のお客さまは、入居者や退去予定の方も含めて400名くらいいらっしゃいます。一番多い時期は500名以上。そのお客さまからの質問や相談は、みんな私が対応しています。大変と思ったらすごい大変なんでしょうけど、大変とは思ってないので楽しいです。ひとつずつクリアしていけばいい。
ただいま接客中。おすすめの物件や地域の情報など、すらすらと出てくるのはさすが。ちなみに張さんは宅地建物取引士の資格もお持ちです。
仕事で印象深いことはいろいろあります。ある時、金沢大学の研究者の方がお部屋を探しに来ました。そのお客さまは英語を話す方で、自分が休みだったのでほかのスタッフが対応したんですけど、改めて来ていただくことになり、後日私が対応しました。実は、その方は世界で論文を発表するような有名な研究者。それでも、日本語を話せないというだけで部屋探しもスムーズにできなくなってしまった。自分も15歳から一人暮らしをしているからいろいろできると思って日本に来たけど、スーパーで簡単な買い物すらできなかった。「これいくら?」って聞くこともできないし、支払いの時に何か言われても分からんかった。悔しいというのとはちょっと違うけど、すごく複雑な気持ちですよね。本当はできることだけど、できない。そういう思いをしている方が毎年たくさんいらっしゃるんですよね。言葉は大事ですね。言葉ができないだけで、生活の基盤をつくれなくなってしまう。
お客さまはいろんな国の方がいらっしゃいますね。中国、インドネシアやベトナム、韓国、マレーシア…。今日はイタリアから来られた方の対応をしました。このエリアを歩いていると「張さん張さん」ってよく声をかけられることもあってうれしいです。自分が少しでも役に立ったんかなと思って。お客さまが友達や後輩を紹介してくれることもあって、どんどんつながりができるようになってきました。自分の成長も感じるし、やりがいも感じます。留学生は卒業して国に戻る方も多いけど、あいさつに来てくれたり、遊びに来てくださいと言ってくれたり。連絡をくれることもあります。世界中、どこの国に行ってもお客さんが1人か2人くらいおるんじゃないかなと思います。LINEとか、LINEの中国バージョンともいえるWechatというアプリもあって、いまでは数百人くらい友達がいます。