Diamond Business Planning から来た無料セミナーのご案内をみて、これは面白そうと参加のお願いをしたところ、「学生の偏差値コンプレックスをぶっ壊す方法」という大学のキャリアに関係する人たちに対するセミナー(第4回トップマネジメントセミナー)に参加できました。セミナーは、下記のような㈱会社ワークアカデミーの代表取締役会長の大石博雄氏の話と、大石博雄氏と浅田祥司 甲南女子大学教授の対談でした。
セミナープログラム
1 大石博雄 株式会社ワークアカデミー 代表取締役会長 偏差値コンプレックスという国民病からの解放を伝授!
・「偏差値コンプレックス」という国民病
・「しかって」ばかりの小学校
・「学びのサードプレイス」とは?
・UMEDAIプロジェクト
2 大石博雄氏と浅田祥司 甲南女子大学教授 の対談
甲南女子大学での学びの改革
学びの習慣化~学内の「とまり木」という仕掛けなど
・学生の成長を促す仕組み。 何にどう取り組み、学生がどう変わったか?
・なぜ改革できたのか?
3 参加者同士で課題・質問などの共有と質疑応答
4 情報交換会
これらのお話をお聞きし、大学における社会人教育の重要性を痛感しました。そこで大石氏の著作「偏差値コンプレックスよ、さようなら!」を読み直し、それと同じ時期に読んだ 勝間和代「高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人」等に書かれていることも含めて、社会人教育の充実を目指す、ベンチャーにチャンスがありそう感じたことをまとめました。
その結果、常に時代の要請に応えられることがワークアカデミーの特徴ではないかと思うくらい、いろいろなことをされてことがよくわかりました。
1982年に女性の社会進出を助けるために起業を決意し、当初は関西を中心とした地域でワープロ専用機を中心としたOAスクールを開校されました。この時代は電機メーカー各社がワープロ専用機を発売し、一家に一台普及するのではないかと言われるほど活況を呈していました。市場は手軽な教育で、起業はやりやすかったのか、多くの企業が全国にワープロ専用機の教室を展開し始めました。しかし1回の教育期間は1~3ヶ月であり常に新しい生徒を見つける必要がありました。当初市内の一等地に開業したため、どうしても運営経費が高くつきがちでした。その後汎用PC上で動くワープロソフトが開発され、さらに汎用PCの価格が下がってくると、ワープロ専用機の市場が縮小し始め、全国展開をしていては経費がかさむのか、いつの間にか全国展開からは撤退してしまいました。関西地方に集中していたワークアカデミーも、ワープロ専用機から汎用PCのワープロソフトに変更して対応しました。
この時、まだ全国展開していなかったために、全国展開を目指していた競合会社に比べ新しい教材を作るためのスキルのある人材も関西に集まっていました。このため、まとまって教材を作ることができ、インストラクターの再教育費も少なくて済みました。人材が一か所に集中しているローカル企業の強みが発揮できたわけです。
同様なことは、汎用PCのワープロソフトからPC業務 やITに進化した時にもおきました。学生時代にワープロ専用機や汎用PCのワープロソフトのスクールに通っていた人たちが就職後、転職や・昇進のために IT時代のスクールに通うことも始まりました。
次のステップはnoaスクールのノウハウを大学教育の現場で展開です。
その狙いは2つ
① 技術のスクールから資格というビジネスの世界へ
② さらにビジネスの世界からキャリアを築くためのココロの世界へ:
このために、大学での社会人教育に可能性を見いだそうとしました。
こうした学生と社会の橋渡し役を目指して学校と社会の橋渡し役の考え方は、できるだけ若いうちに始め、社会の風土にした方がよいため地方との結びつきが大きいはずです。したがってまずは小・中学生から始めることも考えられたのですが、その場をまず大学に求めたのは次のような理由からです。
小・中教育は地方の責任であり、市会議員や県会議員の意向が反映されるため、地域の利益にこだわり、世界的視野を持ちにくい。そのため、グローバル化や女性活用と言っても総論賛成・各論反対となり賛成してもらえにくいうえに、文部科学省の意向がかなり強く反映する政策が優先されているため、やり方を変えることは非常に難しい状況でした。大学も社会も文部科学省の意向はかなり反映されているのは同じですが、卒業後の社会のリーダーとなる人との連続性を持つため、学生も大学も社会で成功する方法に興味を持っている。ということで大学と組んで「資格サポートセンター」の設立を研究し、 2004年に最初にスタートしたのが今回のセミナーの講師でもある浅田祥司氏の甲南女子大学です。
昭和40年代(1955年)、50年(1965)代は大人に引かれた階層性はあったが人間力に差はなかった。したがって頑張ればなんとかなる時代でした。それが2000年ごろになると、若者が育った環境や経済力に差が出てきて、経済力が少ない人たちは、それなりの生活をしながらでは子供の教育やがんばりに投資するのは難しい状況となっていました。このため貧しい家で育った人たちは、若い時に十分な教育を受けられず大学入試の際参考 とされる偏差値が低くなる環境から抜け出すのは難しくなり、経済力も増やせない状況になりました。その結果偏差値格差階層を上下に動くのは難しくなり、 個人の経済力も階層依存となってしまいました(階層社会の定着)。
また、大学のカリキュラムだけでは学生に社会で生きていく方法は教えられない。 以前の大学は小学中学高校時代に学力(主に記憶力)を上げることができた環境にあった1割以下の若者に対すると教育でした。 また、多くの大学・大学院の教授は自分の研究を完成させることを目標としており、学生の教育にはそれほど、重点を置いていない人が多くいました。今や日本国が豊かになり、大学進学率は5割に近くになると、とてもエリート教育だけではすみません。
一方エリート大学に入学した学生は、受験勉強の疲れをいやし体力をつけるために、1.・2年の間はゆったりと、3・4年の間は就職活動に時間を使いがちでした。また社会の工業化が進むにつれ、就職後の企業で活躍できるようにと専門教育は強化され、以前にあった1・2年の間に教わった哲学・心理学・歴史といった教養教育は少なくなりました。このため4年生大学卒業生の研究論文は未熟となり、世界の学会で活躍できなくなるとともに、新規ビジネスもしくはイノベーションへの貢献もできなくなりました。この結果理系の学生は大学院に進学する人も増えてきました。しかしこちらは、就職が難しいという別の悩みを抱えることになりました。こうなると国の未来も危うくなってきます(日本の現状です)。
ちょうどセミナーに参加していたころ、私は横田増勢氏のかかれた「潜入レポamazon帝国アマゾン」という本に出合いました。その第1章は15年ぶり2度目の巨大倉庫潜入です。そこで働く人は社員ではなく派遣社員です。派遣社員はひたすら指示に従って作業を行うことに専念することが求められます。そこで作業をやっている「派遣社員」は、IT化やロボット化がまだできていないか、できても人間がやるほうがコストが安い作業となるように最適化が進められています。さらに、仕入れと配達プロセスを変革し、時間がかからないようにして、コスト削減を行っている様子も書かれています。 企業と してコストを下げる仕事の進め方は素晴らしいと感心するばかりです。そのうえ「グローバル節税」は収める税金を節約し、こうして得た利益を新しいことに投資し競争相手の先を走り、市場を広げています。これ自体は犯罪にはならないように十分考えられたやりかたです。ただ、競争相手や派遣社員は安心できません。油断していると会社や職を失いかねません。それなりの自覚をもって働かなくてはなりません。amazonに負けない会社となるために は、海外での仕事や、ITを有効に利用する方法学んで、海外での仕事もできるようになっていなければなりません。
さらにこの本の「第8章AWS(Amazon Web Service)はAIアナウンサーの夢を見るか」(p254ページ)に「藤原氏の言葉として」次の記事があります。「われわれは、AI記者が人間の記者から仕事を奪うということではなく、速報や定型業務はAI記者に任せ、生身の記者は自由になった時間を、リサーチや分析、独自取材に 基づく特ダネや企画記事などに、割り当ててもらいたいと思っています。」AIと人間は共存しましょうということです。
このためには、良い条件で働きたい人はこれまでの働き方を変えて行く必要が出てきます。そのためには、これまでと違った技能ややり方、これまでと違った考え方、時にはこれまで持っていなかった資格が必要となります。
この状況を改善するために大学内(大学の施設を利用して)に大学と一緒になって設置するのが「資格サポートセンター」です。ここでは資格を取るための試験勉強だけではなく、資格を取るサポートを通じて学生たちに真剣に学ぶことを教えます。そのためにはまず個々の学生のやりたいことを明確にし、次いでその学生自身に役立つ受かりやすいレベルの資格に挑戦します。これは計画的に資格を取る方法を学び、合格の喜びを体験するためです。こうしてやる気をおこしてからで就職や将来の仕事に役立つレベルの資格を目指します。役立つレベルの資格獲得に失敗したら、その対策を相談します。こうして社会に役に立つにはそれなりの努力をしなければならないことを学びます。こちらは失敗すれば悔しい思いをしても、さらに頑張ることで資格が取れるまで頑張ります。こうして学生さんの目標達成を支援すると同時に達成感を得ることを学び、将来への希望を持っていただきます。この結果は当人のみではなく将来の大学受験生にも希望を与える学校にとっても喜ばしい状況となります。また、「資格サポートセンター」は大学の空いたスペースを利用して設立します。したがって学生には「民間の資格センター」より安く提供できるわけです。さらに「資格サポートセンター」 に派遣されているスタッフは通常、大学の就職相談室等の人事部門に座席を持ち、大学のスタッフと知り合いになり、大学の組織について理解できるように心がけます。こうして、派遣されたスタッフは授業で教えるだけでなく、組織の運営に関する情報を学ぶこともできます(これも学びです)。
またこれらの活動は、優秀な人だけでなく、伸び悩んでいる人にも手厚いケアを行なえる場所を作ることになります。寄り添って相談に乗ることで相互に信頼し合う環境を作れるわけです。こうして大学の中に民間企業の感性を持ち込み、学生たちに社会の視点を取り込んだ教育をサポートするという方法が可能になりました。
こうなると「資格サポートセンター」で学べる一番大きなことは、取った資格だけでなく、ここで行われた相談スキルです。何回か相談を受けているとそのスキルも身に付きます。こうなればしめたものです。この相談スキル(寄り添い相談法とでも呼んでおきましょうか)を習得したと感じた 「資格サポートセンター」の学生さんは、通常の仕事に役立たせるだけでなく、その経験を含めて、今度は「資格サポートセンター」スタッフとして働くこともできるようになります。そこで大学だけでなく、一般社会人も参加できる場としてつくられたのがUMEDAIです。
UMEDAIでは現在次の4つのことを行っています。
① 学生・若手活性推進:学生と若手社会人の交流の場とをつくり、少し先を歩いている社会人の社会を体験し、一方社会人はリーダーシップやマネジメントの必要性を体験します。
② 女性活動推進「UMECO」: 女性が「気付き」や「学び」を得る空間を提供し、ライフステージごとの悩みや不安の解消できるセミナーやイベントを実施し「稼げる女性」を支援
③ 海外人材活用推進:日本企業の中に海外人材を輩出し、社会のグローバル化の促進
④ 学習メソッド開発:IoT,AI時代に必要とされる学習
特に②の女性活動推進「UMECO」はワークアカデミー成立当初のワープロ教育の後を引いており、日本における男女同権の活動と絡む活動重要性を強調しようとしています。「図表1 非正規・正規社員の割合」は2016年の国民生活基礎調査に基づいて報告された、正規社員と非正規社員についてのグラフです。
出典 厚生労働省政策統括官、「平成30年国民生活基礎調 査(平成28年)グラフで見る世帯の状況」2018
これから次のことが分ります
・20歳から65歳以上のどの世代においても役員を除く非正規職員・従業員の割合は、男性のより女性の方が高い。
・同年代の「高校・旧中卒」・「専門学校・短大・高専」の卒業生の女性の非正規職員・従業員の割合はさらに高くなる。
・年代別にみるとどの学歴でも高齢者の非正規社員の割合が高くなる。
非正規社員には、契約により働く時間を選べる等の、良いところもあるが一般に時給は低く差別されていると考えられます。日本では、多くの人は正規社員を望んでいます。女性にとってこの状況を何とかしたいというのが②の女性活動推進「UMECO(女性向けUMEDAI)」です。
今回の生涯学習養成講座で学んだことを、私なりに1枚に整理したのが図表2 相談員講座です。「魚眼マンダラ-柴又 帝釈天の例-」で述べたマンダラ図法を使って作りました。
図をクリックすると詳細が見られます
図表2 ワークアカデミーの関連図は、今まで述べてきた組織の間の関係を私なりに整理しまとめた図です(会社や大学の発表ではありません)。
基本構造はワークアカデミーの職員が、大学・企業。機関を訪問し「資格サポートセンター」(大学によってはキャリアセンターのように異 なった名前となっているところもありますが、ここでは資格サポートセンターと統一しておきます)の開催を提案し、開催を行います。ドバイザー(講師) となる人はワークアカデミーに登録し(現在約3000名とお聞きしました)それらの方が大学、UMEDAI,その他の機関の教育コースでアドバイザーをします。noaスクールのキャリアアドバイザーには、相談に来られた方をお客さまと思わないという方針を持っています。お客様と思うと、どこかで営業しようと思って講座を売りつけてします。ということで、お客様ではなく、家族と思うようにしています。そうすると、講座を売りつけるのではなく、その人の人生にとってどのような選択があるのかと親身になって考える姿勢になります。こうして親身であっていることが伝わると、時には受講者に不愉快になるようなこともアドバイスできるようになります。
これは素晴らしいと感心しました。
資格サポートセンターの運営・管理はワークアカデミーに登録されたスタッフが行います。大学は大学のスペースを資格サポートセンター に提供します。
学習ために大学外の教室に行くまでの距離が長いと無駄な時間が取られますが、大学内にあればその大学の学生や近辺の住民、UMEDAI であれば、そこに参加されている企業と大阪近隣の住民がスクールの学生ですのでそのような負担は少なくなります。
スクールで学ぶ人は、自分の関心の強い資格を取ろうとするわけですから、終了後そのスキルを活かして、地域の企業やスクールでアドバイザーになれる方も多いようです。この時は、スクールで学んだことを、生かした活動をするわけですから、スキルはさらに向上するし、時には新たなテーマに向かって他の資格を取られることもあります。
このようにスクールで、活動するためにはアドバイザーの話を聞くだけではなく、そのコースに特有なスキルや基本情報を学んでおく必要もあります。noa出版はこのような教育に関する教材を約70冊発売しております(http://noa- prolab.co.jp/store/products/list.php 2020/02/08 アクセス)。
「図表3 これからの大学教育」は資格サポートセンター導入した大学ではどのようになことが起きるかを、「商品コンセプトの探索」で述べた多次元思考の一つ、4次元思考を利用して私なりにまとめたものです。図表 3の青枠はワークサポートセンターを含めた外部環境、赤枠はそこで学ぶ学生、黒枠は資格サポートセンターでの活動を示しています。また赤い楕円部分は学生の活動、青い楕円の部分は大学としての活動を示しています。活動チーム、活動、学生のスキルまたがる横向きの楕円は活動を進めるための仕組み(人・もの・金・情報といった)作りに使われる資源を、縦軸の知識、活動、心の楕円は活動をするための仕掛けを作るものを示しています。さらに左上から右下への社会・変わる世の 中、活動、立ち位置をまとめた楕円が、資格アカデミーが置かれた空間を示し、左下から右上への、これまでの自分、活動、新しい生きる力を「資格サポートセ ンター」で学ぶ個々の学生の活動を示しています。
図表3の「立ち位置」を見ると、今の学生の多くは、将来どうなりたいかのビジョン持っている人が少ない。あってもそれを成し遂げる自信が無く、環境任せになっている。そのためうまくいかないときは、誰かのせいにしがちである。また、男女同権といいながら、働く女性への差別が行われているといったことも分ります。
一方「社会・変わる世の中」を見ると、同期生の1割以下人たちが進学していた50年位前の大学は、意欲ある学生が多く、エリート教育を目指していました。しかし現在のように同期生の5割くらいの人達が進学するようになると、エリート教育というわけにもいかないし、若者の人口減少とともに、意欲ある、 やる気のある学生を偏差値といった制度で選抜しても、定員を満たすことができなくなり、学校経営を続けるために偏差値の低い学生ややる気のすくない学生も採用せざるを得なくなりました。この結果、一部の有名大学を除けば、大学を出ただけで、やる気のない学生は就職もままならない状況になってしまいました。そこでこれまでの大学教育に加え、社会人として生きていくための基本的なスキルや習慣を学ぶ仕組みを作る必要が出てきているわけです。
日本の教育基本法では日本の教育の目的には、注1)にあるように「心身ともに健康な国民の育成」を目指すとなっていますが、社会人教 育については、述べておりません。こうして日本の学校では、社会人教育を追求するところは多くありませんでした。むしろ大学存続に向けての、学生募集 について論議が進められているようです。
またITについては、IT技術の専門家としての教授の研究課題には上がっていますが、教育活動についてのITの利用はあまり進んでいませんでした。
そこで、ITを利用する人の多い民間企業の知識を、大学の中に取り込もうと図表2のような活動が始まったわけです。
注1) 教育基本法(第1条) 文部科学省のホームページhttps: //www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/004/a004_01.htm(2020/01/29アクセス)
ここでは、教育の目的として 教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。さらに昭和22年の貴族院・本会議や教育基本法案委員会での討論の様子が載せられています。
これらのお話は、勝間和代氏が「高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人」で取り上げている、「ストリート・スマート」に繋がると ころがあります。日本人は、学歴が高いとか、与えられた勉強に対して、良い成績をとれること、すなわち「アカデミック・スマート」が重要だということを親や、先生から教えられています。これらの教育は決まっている課題に答えを出す方法です。 この方法は難しい2割の問題をすてて、残り8割の 「解ける問題を着実に解き」良い成績を上げる方法を学ぶには良い方法です。しかしこれではイノベーションを目指す人や、業務改革を目指す人は生まれません。 イノベーションを目指したいという立場から考えると、この選定方式には致命的欠陥が含まれているとも言えます。有名大学を卒業して政府高官になるキャリア官僚などが典型的なアカデミック・ス マートな人たちです。国家資格を活かして仕事をしている人もアカデミック・スマートに含まれるそうです(このケースのような情報を中心としたものをブッ ク・スマートと呼ぶ分類法もあります)。
一方日常の生活や会社経営は挑戦と失敗の連続です。思ったことがその通り実現するわけではありません。計画は立てても、そのとおり実現 することの方が稀です。このような時にはチームの人たちからアドバイスをもらい、日々仕事を行いながら実践を通して経験を積んでいかざるを得ません。このような人を「ストリート・スマート」といいます。イノベーションを目指す経営者はこのようなストリート・スマートな人がそばにいてほしいと思うと 同時に、自分もストリート・スマートでありたいと思うでしょう。
図表4 ストリート・スマートの要件は、「高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人」で解説している「ストリート・スマート」を 「頭をよくする7つの条件」を中心に、マインドマップ風に整理したものです。
図面をクリックすると、拡大図が見られます。
勝間和代、「高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人」、小学館、2011を照してして作成。
この本では、「ストリート・スマート」になる方法を次の4章に分けて説明しています。
・頭がいい人の7つの習慣
・頭がいい人の7つのスキル
・新しい考え方がもたらす7つのスキル
・頭を良くする7つの方法
図表4 は、この中の「頭をよくする7つの方法」を中心に図示してあります。
方法1は「知識・教養を楽しみながら習得し続ける」となっています。さらに詳細には「仕事場や学校のように多くの時間を過ごしているところで、習得する」や「過去に得た多種多様な情報や経験ヒントからしか、新しい問題に対する答えを得られない」、「専門家の罠:専門家が不可能といっているからダメと決めつけてはいけない」などはまさにワークアカデミーの「資格サポートセンター」はこのための組織のようです。
さらに、「学校での勉強は、仕事に繋がらないものと考えて、スキップしがちであるが、それこそ基礎体力である。ただ、そのまま受け入れるのではなく、クリティカル・シンキングを行うこと」などは、大学教育の重要さを強調しているだけでなく、その結果を使う時にはそれなりの覚悟でやること の重要性を言っています。さらにこの項目から出ている曲線矢印は「新しい考え方をもたらす7つの視点」の「視点2クリティカル・シンキング」にその説明 もしくは関連事項がかかれていることを示しています(このような表現ができることがマインドマップの特徴です)。
さらに詳しいお話は、勝間さんの「高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人」をご参考にしてください。
UMEDAI学生・若手活性推進:学生と若手社会人の交流の場として学生は自分で考える力は。まさにこのための学習と感じた次第です。
ここまで大石氏の著作「偏差値コンプレックスよ、さようなら!」を中心に、時代の変化に応えるワークアカデミーの、大学で行う「資格 サポートセンター」の活動と社会に開かれた「一般社団法人 未来教育推進機構(以下UMEDAIと略す)」のお話をお聞きし、学生・若手の活性化推進のためにも人間教育に対する重要性を知った経緯をまとめりました。 今後は日本の大学教育に、実学と人間教育の必要性を感じた次第です(できれば、義務教育でやるのが良いかと思いますが、ここまで述べてきたように、それは現在難しそうです)。
また偏差値差別だけでなく、正社員と派遣社員の差別、男性と女性の差別等、上司と部下の差別等いろいろな差別問題があることも改めて認識いたしました。
しかし、同時に「資格サポートセンター」や「スマート・ストリート」に見るような、それらの解決手段もあり、解決しようとしている組織があることも知りました。これらは、企業が行う働き方改革(実質は働かせ方改革)ではなく、働く人が行う働き方改革を支援する活動です。
今はこのような、働く人から始める働き方改革 すなわち働き方イノベーションを目指すこともベンチャーのチャンスではないかと感じた次第です。
思い切って自分自身の「明日に備えて」に挑戦してみませんか?この時どこに向かっていこうか迷う人は、セミナーで配布された『保本正芳、中西將之、池田靖章、「自分ごとから始めよう SDGsワークブック」注2),ワークアカデミー、2019』はいかがでしょうか。SDGsの簡単な 説明から入って、いろいろな国をめぐるワークショップを行う方法とともに付録にSDGs17の目標が紹介されています。(同様な内容は、国際連合広報セン ター「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」としても報告されています。)この中には17個の目標と169項目の具体 的なターゲットがかかれています。この中から自分の幸せに貢献しそうで、実現可能性を組み合わせてSWOT分析を行えば、明日のイメージがわくかもしれま せん。これならイノベーションに貢献できる、起業になるかもしれません。そのために、まずは「自業の夢を描く」で述べた自業としてやってみたらいかがでしょうか。
注2)SDGsとは「持続可能な開発のためのアジェンダ」のことです。2015年5月に、ニューヨークにある国連本部にて合意された「21世紀における人間と地球の憲章」です。
参考文献
大石博雄、「偏差値コンプレックスよ、さようなら!_夢と勇気が人を育てる」、ダイヤモンドビジネス企画、2019
勝間和代、「高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人」、小学館、2011
「目指せ!Street Smart(ストリートスマート)!」、 https://www.keiichi-toyoda.com/2019/02/19/ (2020/01/28 アクセス)
noa出版、「2019年度版_情報倫理ハンドブック」、株式会社ワークアカデミー
保木正芳、中西將之、池田靖章、「自分ごとからはじめよう SDGs 研究ワークブック ~旅して学ぶ、サスティナブルな考え方~」、株式会社ワークアカデミー、2019
20190611_なぜ今、ストリートスマートな人が重要なのか https://shigopro-labo.com/street- smart/business/streetsmart-jyuuyou/ (2020/01/27 アクセス)
横田増勢、潜入レポamazon帝国、小学館、2019
セミナーでいただいたその他の資料
「good way」、 株式会社ワークアカデミーの紹介パンフレット
「教育教材総合カタログ」、noa出版、2019
株式会社矢働丸プロジェクト、「賢者の選択 One's Style株式会社ワークアカデミー 代表取締役社長:大石:博雄」、2017年サンテレビジョン放映のDVD版
男性21.2%・女性55.3%は非正規...就労者の正規・非正規社員率をグラフ化してみるhttp: //www.garbagenews.net/archives/1954673.html(20/01/31 アクセス)
厚生労働省政策統括官(統計・情報政策担当)、」「平成」30年国民生活基礎調査(平成28年)グラフで見る世帯の状況」2018(https: //www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-h28_rev2.pdf)、p43
横田増生、「潜入レポamazon帝国」、小学館、2019
本正芳、中西將之、池田靖章、「自分ごとから始めよう SDGsワークブック」、ワークアカデミー、2019
国際連合広報センター、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」、
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000101402.pdf(2020/02/08 アクセス)
2020/02/28
文責 瀬領 浩一