2020年1月26日から7月5日かけてに川崎市麻生区で開始された、「あさお希望のシナリオプロジェクト」の以下のミーティングに参加しました。
2020年1月26日 キックオフミーティング
2020年2月9日 第1回 ミーティング
2020年7月5日 第2回 ミーティング
素晴らしいミーティングでしたが、新型コロナウイルの騒ぎもあり、自分が何をやりたいのかを整理するまでにずいぶん時間がかかりました。ようやく今後それを誰とどのようにやっていくかを打ち合わせることができる段階となりました。
また、このプロジェクトは、これまで掲載してきた「132. コロナ後のベンチャー」「133. 新型コロナ後の自業」「134. ジョブ型自業への道」で書いてきたことを農業に適用するとどうなるのかを検討するにはいい事例となるのではないかと考えて参加しています。
川崎市では10年後を目標に、多様なつながりや居場所があり、お互いに認めあい、誰もが幸せでいられる「希望のシナリオ」の実現を目指す取り組みが始まっています。
これには次の2つのキーワードがあります。
1.地域レベルの取り組みとして 「まちのひろば」の創出
2.区域レベルの取り組みとして 「ソーシャルデザインセンター」の創出
1.1 あそう希望のシナリオ
上記の趣旨に沿って麻生区で始まったのが「あさお希望のシナリオ」です。このプロジェクトの概要は下記HPに書かれています。
あさお希望のシナリオプロジェクトキックオフミーティング 資料
http://www.city.kawasaki.jp/asao/cmsfiles/contents/0000113/113266/kick_off_siryou.pdf
みんなでいかに書いてあることを考慮して、「あさおの10年後の姿」考えていこうということです。
・10年後の私はどうしたいんだろう。
・10年後の地域の姿に向けチャレンジしたいことは?
・様々な意見交換が必要。
・あさおの現状と課題を知ることも大事。
私が参加したのは川崎市の希望のシナリオのうち麻生区のプロジェクトです。ということで今回のプロジェクトのに絡みそうな部分を私なりに曼荼羅風にまとめたのが「図表1 麻生区の希望のシナリオ」です。
出典 あさお希望のシナリオプロジェクトキックオフミー ティング資料を参照して作成
あさお希望のシナリオプロジェクトキックオフミーティング(資料によれば麻生区の現状と課題)は
1.人口は10年後に1割程度増え10年後にピークに達する。
2.年少人口(0~14歳)の割合はほぼ変わらないが生産年齢(15~64歳)の割合は減少し、高齢人口(65歳以上)の割合は現在の24.6から10年後に28.5% と約15%増え、20年後に34.4% と約40%増え続ける。
3.生産年齢人口は今後とも減少し続け、老年人口は2030年ころまでに約18%増え2045年までには45%くらい増えその後減少する。
4.その内でも私の住んでいる地域はすでに人口減少地域に入っており、高齢者比率は14~21%であることを各種のグラフや表で示しています。
このように高齢化の予測値は、麻生区は2020年に川崎市の中で最も高く、24.6%でとなっています。10年後の2030年においても28.5%でありその後も市内の最高値を維持しています。私が知りたいことは高齢者の立場でいかに希望を持つかです。
現在新聞や報道機関では、新型コロナウイルスの需要減に対応するために、企業の人員削減がニュースとなっています。これは、「134. ジョブ型自業への道」の「図表1 メンバーシップ型社会とジョブ型社会」で述べたように、若い人より給料が高いが現在の仕事は企業や会社への貢献度がそれほどでもないと思われている「中高年」を最初に削減しようとする動きです。
日本の企業の中には「134. ジョブ型自業への道」の第4章に書いた、「東芝」や「日立」や「資生堂」のように「ジョブ型に切り替える」ことを宣言している会社もありますが、社内に代替の職場が多くある大企業であればともかく、中小企業では代替の職場が社内にないため、とてもじゃないがジョブ型に切り替える宣言はできません。なぜなら、日本の雇用制では、年功序列型賃金制度や高齢まで雇用する定年制度をとることとなっています。そのため仕事のやり方が変わり企業への貢献度が減ったからと給与を削減したり、それが嫌なら解雇するといったことはできません。ということでジョブ型制度を取り入れることが難しい企業では、これまでの制約を逃れようと「非正規社員」を増やしています。すでに40%に近い人が非正規社員として働いています。こちらは「メンバーシップ型社会」に比べれば、海外で一般的になっている「職種」ベースの「ジョブ型社会」に近い方法になっています。しかし「非正規社員」というだけあって、「正規社員」に比べると給与も少なく、社会保険等の報酬などが少ないので、「正規社員」から「非正規社員」移りたい人はほとんどいません。ということで、「134. ジョブ型自業への道」の第5章で述べたように、このような制度変更は難しそうだとして太田 肇 氏は「自営型」を追加するよう提案してい ます。こちらは、日本に伝統がある、自営業の考え方を企業運営に取り入れる方法です。
このような中で私の住んでいる麻生区は「図表1 麻生区の希望のシナリオ」の右上「10年後に向けてチャレンジしたいこと」にあるように、 次の7項目をめざしています。
1.芸術・文化のまちづくり
2.農と環境を生かしたまちづくり
たとえば、下記に挙げた農業を体験できる所は私の住んでいるところから電車で2,3駅離れたところでそんなに遠くありません。
明治大学黒川農場・収穫体験、岡上営農団地、早野野里、収穫体験ブルーベリー摘み
3.高齢化への対応とすこやか・支え合いのまちづくり
たとえば公園体操による健康づくり、地域包括ケアシステム講習会が行われています。
さらに地域で活動行っている事業者と協力し、次項にも関わりますが高齢者向けの「安心見守りネット」づくりが行われています。
4.安全・安心まちづくり
5.総合的な子ども・子育て支援
6.コミュニティ
7.スポーツのまち麻生
1.2 あさお希望のシナリオキックオフプロジェクト
このような状況の下で、2020年1月26日に麻生区では下の2つのテーマで「あさお希望のシナリオプロジェクト」が開始されました。
テーマ① 地域のプレーヤーになろう・育てよう。
町をもっと豊かで楽しくするために、多くの人が地域活動に参加していく仕掛けやイベントの開催などを考える。
テーマ② 地域のことをもっと知ろう・つなごう。
地域の情報をもっと多くの人に届けるために、地域資源の見える化のアイデアなどを考えます。
地域のことを知るためには次のようなことが必要となります。(テーマ2第1回ミーティング資料より)
・活動団体を知ることから?(さまざまな団体があるけど)
・さまざまな団体があると思うけど分野ごとの整理も必要?
・区内の現状と課題も知ることも大事?(統計データ等から)
・団体が活動している場所を知ること?(活動相関図の作成?)
・全国の代表的な地域情報も知ることも大事?(地域サイト等)
・区民が求めている情報は?入手方法は?
・興味ある活動団体を見ることも大事?(参加することも大事?)
・まだ活動に参加していない若い世代の「きっかけづくり」は?
・地域活動を身近に感じ、持続的に興味・関心をもつ方法は?
・麻生区内で求めているイベントは?各イベントとの連携手法は?
・これらを踏まえた社会実験はどのように?
・すでにある情報サイトとの連携手法は?
といったことを知っておくことが必要となるということでした。
最後に全員の話し合いで、「みんながつながる みんなが輝く I Love ASAO」というキャッチフレーズが決まりました。
1.3 テーマ1 第1回 地域のプレーヤーになろう
私が参加した2020年2月9日 テーマ1.第1回「地域のプレーヤーになろう」では「多世代交流」、「交流社会の創出」について議論がなされました。
この結果は、テーマ1.第1回検討で出たご意見(PDF形式, 95.13KB)とテーマ2.これまでのふりかえり資料(PDF形式, 290.31KB)に掲載されています。
この2つのHPには、キックオフミーティングとテーマ1、テーマ2の第1回で討論された結果が見事に整理されて掲載されています。その他にも参考文献に挙げてあるような資料が掲載されており、自分が聞き逃したことだけでなく、参加しなかったテーマ2の打ち合わせ結果も見ることができました。大変ありがたいHPです。
これによると
テーマ1.の やりたいこととできること では、 交流機会の創出・多世代交流機
テーマ2.の 地域のことをもっと知ろう・つなごう では、 何を知りたいのか 何がたりないのか 何をしたいのか 何と繋げたらよいのか
が議論され、整理されています。
1.4 テーマ1 第2回 メンバーのやりたいこと
新型コロナウイルス騒ぎで、開催が遅れていたテーマ1.第2回は2020年7月4日に開催され、ようやく参加者各人が何をやりたいのかという発表がおこなわれまし た。
各人は次のクループに分かれて各々の分野でやりたいこと、 それをやるとどんな効果があるのか、課題は何か(コロナ禍も含む)を発表いたしました。
グループ1 食育
グループ2 福祉
グループ3 防災
グループ4 食育2
グループ5 美化
私の参加できたのは、定員の関係から当初希望した「福祉」ではなくはグループ4の「食育2」でした。
そこで出された発表の例は次のようなものです。
図表2 チャレンジしたいこと
内容は私の解釈したことを表示していて発表者のものとは異なります
この例ではチャレンジしたいことは図表2 の中央に書かれており、効果は同図中央上下の効果の楕円に囲まれた部分の上下に、課題は中 央左 右の効果の楕円の左右に書かれています。また、青枠は社会について、赤枠は参加する個人についての情報が書かれています。この図をみればこの人の「チャレンジしたいこと」は「野菜の一生」のような動画の作成であり、野菜がどこで作られ、どこで販売され、どこの店でどのようなメニューになるのか、今流行っているコマ送りのレシピ動画のようなものだということがわかります。
その効果は
1.地域の効果は動画を見て、お店に足を運ぶ人が増えれば地域活性化につながる。
2.作成に参加メンバーの効果は・麻生区の特色を知り、地元だけど知らなかった新たな発見が得られたり、新たなメニューのアイディアを知ることができる。
問題としては次に様なことを上げています。
1.社会的なものとして特定の農家やお店の宣伝になってしまう可能性がある。
2.チームやメンバーの問題として、動画作成費用の調達方法や広報の方法や、継続するための仕組みの検討が必要。
この曼荼羅図は、同じことをやっている人であってもそれぞれ自分のやりたいこととして描けばよいわけです(注)。特に問題部分は自分が解決の責任を持つことを意味することになります。自分で解決できない時は、それを解決する追加のメンバーを探すことになり、そのメンバーの解決すべき問題として考えるのがよさそうです。問題を自分で解決できないときは、できる人を探し・相談し、社会の部分に書けばよいわけです。それでも問題を解決する人が誰も見つからない場合は、やりたいことを変更するか、辞めるといった修正が必要になる時もあると思います。ただ変更される前の曼荼羅も今後のために残しておくと、最初は何を思って参加したのか振り返る時に使えます。とりあえず最初は自分で解決できそうなことに絞ることです。新たに学習して自分で解決できれば、自分のスキルに追加できます。そうなればジョブ型社会もしくは自営業型社会が見つかれば、そこで働き収入もしくは感謝をを得るチャンスをとなります。そのチャンスは次の希望のシナリオプロジェクトかもしれません。
こうしたことが期待できないプロジェクトを作っても、それは人材使い捨てプロジェクトになってしまいますから、遊びならともかく、希望のシナリオとして参加する意味はあまりないわけです。
このような重要なことが、最初にチェックできる仕組みとなっていることは、今後のジョブ型社会を生きる人にとって非常にありがたいことだと感じた次第です。
(注)図表2はミーテイングでの議事録を参照して、私が解釈したことを図形表示したもので、ミーティングの席で出されたものではありませんし、勘違いも含まれているかと思います。
他にも以下に示すようないろいろな案が出されました、
・野菜などの「旬」を子どもたちに教えて、食に触れさせたい。
・農家のお手伝いなどを通じて、子どもたちと農業をつなぐ。
・「野菜の一生」のような動画の作成。
・生の食をもっと知ってもらうための広報
・クイズやビンゴを親子でしながら畑の観察会や収穫体験
・郷土の食イベント
・食に関連したカルタ作り
・粉末化した竹で抗菌の食器やゴミ袋作り地域資源の循環
この後は、こうして作成したことを具体的にどのように進めるかということとなります。
皆さん素晴らしいアイデアを出されており、それらを閲覧できる環境にあることもわかり、必要に応じて、テーマごとにグループを再編成して進めることもできることがわかりました。10年後を目指すプロジェクトですから、あまり細かいことは別として私は最近、高齢者問題以外に次の2つのことが気になっています。
1.IT後進国日本
しかし「132. コロナ後のベンチャー」「第3章 IT技術で世界が変わる」で書いたように、日本のIT技術の出遅れていることも解決すべき問題です。今の状態が続く、すなわち「5Gデータ通信の高速化」、「AI 人口知能によるデータを使った判断」、「クラウド ビックデータの保存」において日本が出遅れていると、IT先進国と比べて社会サービスがスムーズにいかないためです。
2.社会政策が遅れている
もう一つは、社会政策が出遅れている、個人の教育費低減政策が明確でない、インフレ促進政策等によって発生する年金等の時価低減のように高齢者の実質収入が減らざるをえない時代であることに対する対策がないと社会が安定できなくなりそうです。
これらは、あまりにも問題が大きいので、今回のプロジェクトの問題から外したほうがよいとは思いますがが、「1.IT後進国の対策」の一つ「ユーザーによるIT利用方法革新」は、今回のプロジェクトの推進の中の「学習」項目に取り込めればすばらしいと思っています。
私は日本ではITの利用者が自分でITの利用方法を考え、使い方を作り上げていく習慣が不足しているように思います。日本の多くの企業では、 「132. ジョブ型自業への道」で述べたように、仕事を行っている部門は与えられた条件で仕事をいかに効率よくこなすかといった「実務」に集中しており、IT化は情報処理部門の仕事と考え現場部門(事務現場も含む)は直接手を付けない習慣があります。さらにIT化を引き受ける情報処理部門は、システム開発そのものは外注し、少ないスタッフでいろんなことをやっていくことに専念し、現場の開発には直接関与していないため自社の本当の問題が何でそれをITでどのように解決すべきかを知らない人が多くなってしまいました。一方開発を請け負った会社は見積もった工数(人・時間)に応じて報酬が払われるため、顧客の提示仕様をいかに短時間で仕上げるかに専念し、顧客が本当に欲しているものは何かなど考えることはあまりありません。仕事の分担を進め、それぞれ単独に最適化を図った結果発生した問題です。
一方最近のITは実施の仕事をよく知っているユーザーがどのようにITを利用すれば、仕事が効率よく進むかを考えて開発できるようになってきています。ただここで問題が発生します。例えばソフトを作って、自分がやっている集計を自動化する仕組みを作ったり、AIでややこしい問題を解く仕組みを作ったり、レジの自動化システムを提案するといった自分のやっている仕事の効率化を提案すると、それを提案した自分の仕事が縮小されるか無くなってしまいます。そうするとその部門も縮小されたり時によって無くなるかもしれません。こうなると昇進がなくなるどころか解雇される可能性も出てきます。これでは仕事をやっている人は仕事をITに任せるようなことは提案する気になりません。このような状況を避けるためにはこの仕事改善の提案をし、それを実行できた人を別の職種として給与も大幅にアップして採用することにすればよいわけです。このような考え方を実現できるのがジョブ型社会です。現在の日本の社会では、このようにしてIT技術を最大限に使って、業務改善を行ってもメリットが無いわけです。こんな状況でトップが、現場担当者との接触や悩みを聞くチャンスが少なければ、改善事態がは自体がはじまりません。
しかしすでに、1.1で紹介した、「あさお希望のシナリオ」で紹介に使われた資料の「 テーマ1第1回検討で出たご意見(PDF形式, 95.13KB)」にも「やっぱり情報が大事」が2か所に書かれています。
この情報を大事にする仕事は、今回のプロジェクトに参加している人が自分で情報を探し集め、自分で加工し、自分で配布するとの立場で進めていったらどうかと思います。この時 IT専門家に聞くのはいいが、専門家に任せるのはITの基本機能導入までで、それを使って自分もしくは自分たちで業務改革を行う人(このような人は業務専門家です)がITを学んで実現するという考え方です。自動車の製造や改造はメーカーにまかせるが、それに乗ってどこかに行くのは自分が行う。たとえ自動運転自動車が出てもそれは同じだというのと似ています。ただこの時は、自動車は買うものでなく、借りるものになっているかもしれません。
これが実現すれば、あさお希望のシナリオに参加し成果を出した人は、ITを有効利用できる人として、他のプロジェクトでも、ジョブ型雇用に対応可能可能な能力を持っているということで、参加を要請されるようになるかと思います。あさお希望のシナリオプロジェクトに参加している人は、若年者は少なく高齢者が多いように見えましたので、あさお希望のプロジェクト活動そのものが1.1章で明らかにしていただいた高齢化社会への対策の一つともなります。
今回テーマ1の「食育」チームに参加することになったのは、たまたまという感じですが、私が初めて食育の世界に入ったのは中学時代の授業で行った経験だけです。このころの中学生は「職業家庭」の授業で全員参加していました。
その時は学校の近くにある山間の土地を整理し、耕し、学校のトイレの廃棄物を棒運び肥として使い、麦づくり、大根づくり、スイカづく り、カボチャづくり、シイタケ栽培等を行いました。学校と畑の間には小さな山があり、資材の運搬は2人で天秤棒をかつで行なっていました。この時に肥しを入れた樽をひっくり返すといった、衛生上の問題はありましたが、肥料の購入や薬材の購入もない、ほとんど費用のかかからない植物栽培でした。そうして育てたものは、翌年の栽培のための種としてて保存し、残りは近所の家庭や旅館に売りに行き、いくばくかのお金を頂き、学校に収めました。これらは、地元の中学の授業の一貫でしたので、近所の皆さんには、品質を問わず、買っていただけました(約60年くらい前の大変楽しかった思い出です)。
これでは、単なる思い出だけですので、このシリーズの「新型コロナ後の自業」で参考にした「わたしの仕事」の中から農業に関する記事を見つけ、以下に示す曼荼羅図を作成しました。
出典 今井 美恵子「わたしの仕事 最新版 食べ物を作る人 売る人』、理論社、2000、p11を参照して作成
これは有機米を作り、精米し、お客様に届ける仕事です。精米して20日以内に届けるとかいろいろ工夫して、お客様においしいお米を届けるの米びつ機能を提供していると言っています。
1日の労働時間は朝4時半から5時に起き、約2時間田んぼの水を見てまわる
7時から9時までは朝食と読書
9時から除草と厳しい生活です。
5月の連休前に耕運して代かき(田植えのまえに田に水を入れ、土を砕きならす作業)を準備し、その後5月連休から6月の始めのころに田植えをします。
9月から収穫が始まります。
早く起き、仕事をしたり、1日の仕事が多い等、大変なビジネスであることがわかります。こんな中でボランティア的な感じで数回の作業に参加するだけであれば農家の仕事を乱すだけで、喜んでいただけません。さらに農業生産の多くは1年を1サイクルとした業務です。これを数回繰り返さないと、全体的な改善提案もできそうもありません。こうなるとプロジェクトは数年かかるということになります。米づくりややさいづくりといった農業は、 時間的にも大変な仕事です。
出典 今井 美恵子「わたしの仕事 12 生きる基本を支える人」、理論社、1994、p79を参照して作成
こちらは、基本はシイタケの栽培とその販売です。私も中学生時代に授業の一部で、シイタケの生産をやってみましたが、シイタケの育つ木を集め、シイタケが育つ空間を確保して組み立て、その時々の気象状況にあった場所に、組み立てた木を移動するという仕事と適切な時期を見て、収穫する作業です。米作りほど大変なことはありませんでしたが、収穫時期を間違えると不良シイタケになってしまうので、育ち具合を見て収穫時期を決めるのに気を使ったような気がします。またシーズン性のシイタケだけでは、1年を過ごせないので、その野菜販売広場で、野菜だけでなく、手仕事屋の講座を開催しています。他にも仕事クラブや木工教室、さらに家庭料理の食堂もあり、常連客が多い広場です。ただ、あさお希望のシナリオのメンバーが「奉公」に近いことを 7~8年も頑張ることはむずかしそうです。
出典 今井 美恵子「わたしの仕事 7 日常の生活を支える人』、 理論者、1991、p183 を参照して作成
こちらは、当時13人の人が働く農業生産法人であり、今回の希望のプロジェクトとの目指すものではないかもしれませんが、あそう希望のシナリオの将来の姿もしくは夢としては面白そうです。
今回のプロジェクトは、新たにやることですから「134. ジョブ型自業への道」に書いたように、これまでの「日本型経営」の典型である「メンバーシップ型社会」を目指すのではなく「ジョブ型社会」を目指し、「自営業型」もしくはその一歩手前の「自営型」を組み立てるようにしたいものです。
「図表6 これからのやり方」か 今後の検討を行うために「133. 新型コロナ後の自業」の「図表5 新しい生き方を作る」を少し修正したものです。
図表6 これからのやり方
出典 「133. 新型コロナ後の自業」の「図表5 新しい生き方を作る」を修正して作成
最上段は「133. 新型コロナ後の自業」の「図表2 7つのメガトレンド」に書いた新型コロナ後の企業や個人の新しい秩序(構築しなおすべき秩序)とその後の社会が進むであろう重要な方向(下記に挙げた7つのメガトレンド)とその時使われる技術が書かれています。
7つのメガトレンドとは以下7つです。
1.ニューリアリテイ
2.分散型都市
3.デジタルレンディング
4.フル―ガルイノベーション
5.職住融合
6.ヒューマントレーサビリティ
7.コンタクトレス
1番のニューリアリティは拡張現実(AR) の時代であり、現実の世界に情報を加えたものです。例えばスマートフォンにGPS機能をつけ、近所にあるお店を紹介するような方法です。これを基本技術として、2,3,4の項目は主に希望のシナリオのチームを構築・運用する人が使います。一方5,6,7は希望のシナリオの成果を使用・参加する人が使う項目です。とりあえずこんなことが必要になるかもしれないことだけを知っておき新しいやり方が決まったら、それを実現するために、必要項目を検討すれば十分です。
すでに新型コロナ後の社会動向、必要な技術動向について、すでにご存知の方は、このステップは不要です。これに近いご自身のお持ちの情報を利用すればよいわけです。
そのうえで今回プロジェクトに参加されている人の頭の中にある 「これからやりたいこと」もしくはこれまでに経験してきたことを「図表6 これからのやり方」の左中「これまでの仕事のやり方」に書き込見みます。この時曼荼羅図の書き方をお知りになりたい方は「46. 魚眼マンダラで一枚に」をご参照ください。そのうえで、その図にコロナ時代にそなえテレワーク(自宅勤務)でどうなるかをて検討し補足修正した新しい働き型を「テレワークでどうなったか」に書き込みます。
ここまで準備が整ったら、参考事例(昔の人はどうやっていたのかについては、今回のレポートの図表3、図表4、図表5が参考資料の例です)に自分たちと似たことをやっている人たちの情報も調べ役立ちそうな情報が あればそれも追加します。もし現場を訪問できればそこに行って自分たちで感じたことを整理し追加できれば、それに越したことはありません。
その後、日本発経営慣行並びに今回の「あさお希望のシナリオプロ ジェクト」で得た情報を勘案し図表6右中の「新しいやり方」を完成します。
こうして作ったのが、「図表7 新しいやり方」曼荼羅図(FRB:framework by Example) です。
図表7 新しいやり方曼荼羅
図表7の左上「あさお希望のシナリオ」はセミナーに参加している一人の立場から見ると環境のようなものです。その下の食育GXX青色楕円枠に書かれているのは、今回私が参加ししたグループ4の情報を参考に作成したものです。食育については他にもグループ1. オンライン検討チームの中にも食育のテ ―マが上がっていますが、今回は「新しいやり方曼荼羅」の説明用なのでそれらによる検討。修正は省略しました。右下の赤枠楕円に書かれている情報は、 自己紹介の時に作成した自 分自身の感性やできること並びに普段の自分立場です。その間にあるのが、今回の自分の活動に関係のありそうな今までやってきたこと(過去の経験)、プロジェクトでやりたいチャレンジと達成したい希望です。このように、ビジネス環境の中に自己を入れ込む方法は「123. 幼児教育に学ぶ」の「図5 自己紹介図と組織の整合性(ワークライフバランス)」で書いたものを一歩進めたものです。また曼荼羅図でアイデアをまとめる方法は「80. 起業のアイデアをまとめるに」に書いたものがありますので、概要はそちらもご参照ください。
いかがでしょうか、これまでやってきたことを整理して、「新型コロナウイルス対策のために何を考慮すべきかについて」まとめ、「新しいやり方曼荼羅」を作成しました。
今後の日本の農業がどのような方向に向かっていくかについては、次の2つの資料をご参照ください。
1.「スマート農業の動向」
東京大学の 梅津 裕 氏監修の「スマート農業の再研究 ICT・ロボット技術でどう変わる?」には、農家の人の負担を減らし、生産性を上げる技術としての 「スマート農業」について書かれています。図表や写真にコメントを付けた、若者向けの書籍ですので、私のような農業に無関係な仕事をした来た高齢者にも分かりやすく書かれています。素晴らしい技術が載っており、地方型の大規模農業事業の今後の発展方向を考えるのには役に立ちます。
2.「都市型農業について」
一方日本経済新聞編集委員 吉田 忠則 氏著の「逆転の農業 技術・農地・人の三重苦を超える」には、再生のカギを握る農協、稲作という難題の未来、農場で生まれるアグリテック、東京ネオファーマーズの登場、農をその手に取りもどせなどが書かれています。この第5章「農をその手にとりもどせ」は、都市型の顧客志向の農業を実施するときに役に立ちそうな事例が書かれています(例えば「脱サラの生きがい農家たち」)。
2020年1月16日にスタートした「あさお希望のプロジェクト」は新型コロナウイルスのため、スケジュールは何回かも変更しながらも2回目を終え、これから第3回目の取り組みチームの結成に入ります。ここで意見交換を行い、取り組みの準備、取り組みの実施を行うことになっています。
今後、調査、調整は行われると思いますが、この後プロジェクトは既存の団体の取り組みへの参加あるいは活用、他分野とのコラボという段階を踏んでいきます。図表7は、その時の自分のやりたいことを整理するにの、自分の立場をまとめた原案として使っていきたいと考えています。
ただ、60年位前の大学院性時代に、FORTRANプログラムを作成して以来、プログラム作成をしたことが無いので、現在の私は「第3章 コロナ農業」で述べたような ITシステムの開発や利用のためのプログラムはかけません。このため「あそう希望のプロジェクト」で皆さんの役に立つことができるこかどうかは疑問ですが、今回は挑戦項目として、できる範囲で「新しい時代をつくる」のに役立ちたいという思うばかりです。
そのうえ、私は農業、さらには食育については全く素人です。プロジェクトへの継続参加が可能であれば、今回参加されたメンバーの皆さんと一緒に、 さらなる調査を行いながら、何をどうするかの計画を立てたいと思っています。
参考文献
梅津 裕 監修、「スマート農業の再研究 ICT・ロボット技術でどう変わる?」、2020、PHP研究所
吉田 忠則 著、「逆転の農業 技術・農地・人の三重苦を超える」、2020、日本経済新聞出版社
あさお希望のシナリオプロジェク キックオフミーティング 資料
http://www.city.kawasaki.jp/asao/cmsfiles/contents/0000113/113266/kick_off_siryou.pdf (2020/08/03 アクセス)
キックオフミーティングで出たご意見 まとめ(PDF形式, 103.62KB)
http://www.city.kawasaki.jp/asao/cmsfiles/contents/0000115/115371/kickoff_matome.pdf (2020/08/03 アクセス)
あさお希望のシナリオプロジェクト 第1回キックオフミーティング結果について (PDF形式, 71.10KB)
http://www.city.kawasaki.jp/asao/cmsfiles/contents/0000113/113266/kick_off_kekka.pdf (2020/08/03 アクセス)
あさお希望のシナリオプロジェクト 第1回キックオフミーティング結果について
http://www.city.kawasaki.jp/asao/page/0000113266.html (2020/08/03 アクセス)
希望のシナリオプロジェクトについて(PDF形式, 297.48KB)
http://www.city.kawasaki.jp/asao/cmsfiles/contents/0000115/115371/theme1- 2_siryou1.pdf (2020/08/03 アクセス)
あさお希望のシナリオプロジェクト テーマ1検討会の開催結果 07/22
http://www.city.kawasaki.jp/asao/page/0000115371.html (2020/08/03 アクセス)
テーマ1検討の進め方について(PDF形式, 126.20KB)
http://www.city.kawasaki.jp/asao/cmsfiles/contents/0000115/115371/theme1- 2_siryou2.pdf (2020/08/03 アクセス)
テーマ1第1回検討会資料(PDF形式, 258.57KB)
http://www.city.kawasaki.jp/asao/cmsfiles/contents/0000115/115371/theme1-1_siryou.pdf
テーマ1第1回検討で出たご意見(PDF形式, 95.13KB)
http://www.city.kawasaki.jp/asao/cmsfiles/contents/0000115/115371/theme1- 1_matome.pdf (2020/08/03 アクセス)
テーマ1第1回検討会結果概要(PDF形式, 94.08KB)
http://www.city.kawasaki.jp/asao/cmsfiles/contents/0000115/115371/theme1-1_kekka.pdf
テーマ1第2回検討会 主な意見(PDF形式, 98.18KB)
http://www.city.kawasaki.jp/asao/cmsfiles/contents/0000115/115371/theme1- 2_iken.pdf (2020/08/03 アクセス)
テーマ2検討の進め方について
http://www.city.kawasaki.jp/asao/cmsfiles/contents/0000116/116504/1.pdf (2020/08/03 アクセス)
テーマ2第1回検討会資料(PDF形式、1.84MB)
http://www.city.kawasaki.jp/asao/cmsfiles/contents/0000116/116504/theme2-1_siryou.pdf
テーマ2第1回検討会結果概要(PDF形式, 108.99KB)
http://www.city.kawasaki.jp/asao/cmsfiles/contents/0000116/116504/theme2-1_kekka.pdf
テーマ2これまでのふりかえり資料(PDF形式, 290.31KB)
http://www.city.kawasaki.jp/asao/cmsfiles/contents/0000116/116504/2.pdf (2020/08/03 アクセス)
132.コロナ後のベンチャー
https://o-fsi.w3.kanazawa-u.ac.jp/about/vbl/vbl6/post/132.html (2020/08/03 アクセス)
133.新型コロナ後の自業
https://o-fsi.w3.kanazawa-u.ac.jp/about/vbl/vbl6/post/133.html (2020/08/03 アクセス)
134.ジョブ型自業への道
https://o-fsi.w3.kanazawa-u.ac.jp/about/vbl/vbl6/post/134.html (2020/08/03 アクセス)
2020/08/12
文責 瀬領 浩一