人と地域のWEBマガジン ISHIKAWA DRAWER

Keishiro Takase

ライオンパワー株式会社 代表取締役社長
高瀬 敬士朗

Credo
#02
2016.12.26

Introduction

ライオンパワー株式会社は、さまざまな機械に搭載されるプリント基板や制御盤を製造する電子機器メーカーです。元Jリーグ1軍のコーチという経歴を持ち、現在も社内のチームづくりに情熱を傾ける、高瀬社長のクレドをお伺いしました。

Q.1

御社のクレド(信条・行動規範)、教えてください。

創業が45年前になるのですが、当時は技術者が石川県からどんどん出て行ってしまって。それで技術を楽しめる会社を、との思いで先代がつくったのがライオンパワーのはじまりです。技術を楽しむために大量生産ラインの仕事は受けないと決め、何千、何万個とつくらないといけない仕事は全てお断りしています。先代は最初から、付加価値の高い多品種小ロットでの生産をメインにしようと決めていたようです。だから、うちの社員で同じ製品をずっとつくっている人というのはほとんどいませんね。お客さんにはリーズナブルな価格で商品を提供していますが、低価格だけを求めていてはただの下請けになってしまいます。最先端のことを勉強して、わざと自分たちより価格帯の高いところとお付き合いする。その物件は赤字かもしれないけれど、学んだことが次の仕事につながっていきます。ゆっくりゆっくり進んで、ふと後ろを振り返ったときに利益がついてきている。うちはそんな、カタツムリみたいな会社なんです。

6~7年前から「未来へのハーモニー活動」というものに取り組んでいて、これは、社員みんなで企業文化を良くするためのプロジェクトです。部署や年齢層もバラバラになるように、ぼくが社員の中から7名選抜してひとつのチームをつくります。その活動の中では敷地内を掃除したり、作業着を変えたりと少しずつ環境を良くしています。会社にいる時間は人生のうちでとても長い時間ですから、それを充実したものにしたいと常日頃から考えていますね。また、彼らに会社のホームページや会社案内をつくってもらったこともあるのですが、社長直轄のプロジェクトとして、これからリーダーとして動いていけそうな人を見極めるねらいもあります。最近ではサークル活動も行っていて、現在はゴルフと釣りのサークルがあります。女性で釣りサークルに入っている社員もいますよ。ただし、釣りにはいかないで、会社で火と網を用意して待っているという、バーベキュー担当なんですけれどね(笑)。

Q.2

「働く」って、なんですか?

ぼくにとって社長業は「楽しいこと」です。全然つらくない。ハーモニー活動やサークル活動をしているのは、社員にとっても、会社にいる時間が少しでも楽しい時間であってほしいから。うちは中小企業だけれど、うちの社員には「自分は大企業に行けなかった。ここはただつらい仕事をしてお金をもらえるところだ」って、会社をそんな風に思ってほしくないんだよね。会社に行ったら釣りの仲間やゴルフの仲間がいる。そう思ったら、行くのが嫌じゃなくなるでしょう?社員には、自分の人生を楽しんでほしいな。ぼくは、人生を楽しむことが働くことだと思っているから。

人生を楽しむためには、自分のやりたいことに全力で向かっていく。だって、考えてみてよ。好きな人ができました、そうしたら、その人のためにおしゃれをしたりデートプランを考えたり、付き合うための努力をみんなするでしょう?そのプロセスってすごく充実しているじゃない。その人生版を実行すればいいだけ。その間につらいことがあったりしても、別に大した問題じゃない。それは、長い人生のうちの、ひとつのイベント。そういう考え方ができるようになれば、人生は楽しくなるよ。ぼくが今、その状態。

Q.3

いしかわで働く意義って、なんですか?

う~ん、特にないね(笑) というのも、自分のやりたいことができるなら、場所は関係ないと思っているから。

この間、東京の大学で勉強している地方出身の子と話す機会があって、「大学を卒業したらすぐ地元に戻った方がいいですか」って聞かれたんだ。そこでぼくは「戻ってこない方がいい」って答えたの。6~7年は都会で揉まれた方がいいよって。石川県の欠点はどこかというと、ディズニーランドもUSJもないところ(笑)。でもディズニーランドやUSJが必要なのは若いうちだけ。せいぜい大学に入ってから6~7年の間でしょう。その時は彼氏や彼女と行きたいかもしれないけれど、そのあとはいらないと思うから、そのタイミングで帰ってくればいいんじゃないのって。そして、都会で成功しても失敗してもいいけれど、それを忘れずに持って帰ってくるのが大事。帰ってきたら、石川県っていうのはいいところですよ。庭付きの家が買えるし、車も持てる。環境もいいし食事もおいしい。実家に入ればお金の余裕も生まれるから、起業だってできるかもしれない。東京にいて、自分で何かやろうとしてもすごく難しいよね。都会で揉まれた後、自分でやりたいことが見つかったら帰ってくるところって考えたら、最高の場所なんじゃないかな。

Q.4

休日の過ごし方、教えてください。

サッカーかな。うちの社員にも、ぼくのチームの選手が2人いて、休みの日にも彼らと会いますよ。 あとは、先ほども話したけれど、釣りもゴルフもしているし。平日と土日の差があまりないんだよね。火曜と金曜がサッカーの練習の日なんだけど、みんなそれを知っているから、会社に残っていると「社長、今日は練習行かないんですか?」なんて聞かれたりして(笑)。

ぼくは社員のみんなにも趣味を持っていてほしいと思っていて、面接でも必ず聞くの。「趣味はありますか?入社しても続けてくれますか?」って。「続けます」って言ってくれると嬉しいね。例えば、「今日は太鼓の練習があるので、早く帰ります」って言う子は、仕事を早く終わらせるためにその日はすごく頑張るでしょう。「この仕事、明日でもいいですか?」とかね。そういうメリハリを持ってほしいんだ。家に帰ってもすることがないとか、自分の生活がなんとなく忙しく見えるように飾っているやつほど仕事が遅いんだよ。遊びたいやつはすぐに帰るし、ゴルフが好きなやつは練習ばっかり行ってるし。ぼくより上手くなりやがってと思うけれど(笑)。仕事以外の時間にやりたいことがあるかないか、その差はすごく大きいと思っていますね。

あとは、奥さんとデート。買い物にもちゃんと付き合うよ。奥さんに着てほしい服をぼくが選ぶんだ。 趣味が合わないって言われちゃうんだけどね(笑)。

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  • 私物だという自慢のゴルフカートに乗ってスマイル。
  • 社長机後ろのホワイトボードにはサッカーチームのフォーメーションが。
  • チェックに次ぐチェック。検品作業がプリント基板の高品質を守っているのです。
  • 「彼は我が社のリアクション王。飲み会で撮った面白い動画があるよ」と高瀬社長。
  • 社長が子どもの頃からライオンパワーで働いているという、ベテラン社員さんと。