AsukaFood Analyst
雅珠香(あすか)フードアナリスト
#03
2016.06.15
これまで行ったお店の数は…私が知りたいです。日本料理とかお寿司屋さんであれば旬で全然違いますので、リピートしているお店もあります。どうだろう…、2000件は確実だと思います。行かないジャンルのお店もあります。ラーメンとか。ラーメンはトップ10くらいは行って書くかもしれないですけど。私は年間600軒行っていて、ラーメンの専門家さんは年間600杯食べている。外食において使う金額が多いのは定食とラーメンの価格帯、650円から千円のジャンルだと思いますが、みなさん結構行かれてるんですよね。私よりもみなさんの方が経験値が高いと思います。ラーメンの専門家さんには勝てないし、みなさんが得意とされているところにわざわざ突っ込まない。ブログを始めた頃はよく「自分で料理作ればいいがに」とも言われましたが、私は作る専門家ではなく、作る専門家さんはほかにいるので。自分が行ったお店を紹介する発信の仕方は、新しい切り口だったかなと思います。
ブログで紹介するお店は、1日1軒。1年365日なので、2軒に1軒しか書いてないです。自分がオススメだと思ったお店から書かせてもらっていますし、自分の良さは「リアルなコメント」だと思っています。雑誌やCMの情報では分からない、見えてこないことも多々あります。予約の電話をするにしても、とてもいいジャケットで写っているけど対応が横柄であるとか、本当のところの清潔感ていうのは行ってみないと分からない。以前オーガニック系のお店に行ったら、喫煙可だったという矛盾もありました。逆にいいお店を見つけた!という発見がある時も!分かんないです、行ってみないと。「書いて」と言われて書いているお店はないですし、広告費をもらっているお店も一切ありません。私が勝手に選ばせてもらって、掲載させてもらってます。リアルな口コミが私の面白さだと思っているので。参考にしていただけなければ意味がない。
スケジュールやお店の情報がびっしり書き込まれた手帳。ブログを毎日更新できるほど外食しているって、ホントにすごいです。
行くお店さんは、結構幅広いです。手頃なお店から高級店まで。高級店はめっちゃ勉強になるので行きたい!調理法、食材もそうですし、本当に希少なものを仕入れて使われていて、作り手さんの顔が見える魂のこもった食材が食べられる。食べたことがあるのかないのか、ライターって経験値命なので。私は「百聞は一食にしかず」と言っているんですが、その経験値の差は非常に大きいんです。私の一日の目標は、今まで一度も食べたことがないものを一日ひとつは食べること。私が尊敬する人物は料理記者の岸朝子さん。「おいしゅうございました」で有名な先生で、大さじ小さじなど分量の規定の普及に貢献した、情報を数値化した人です。私もそういう風になりたいなと思っていて。で、岸朝子先生はたくさんのものを食べてるんですよ。昨年亡くなられましたけど、それでも「いまだに食べたことがないものはある、新しく出会うものはたくさんある」とコメントされていました。食べても食べても新しいものが出てくるので、常にアンテナを張って味わっておきたいなって思います。
行きたいお店はいつも50件くらいダーっとリストアップしていて、「この曜日でこの時間でこの近くにいるから、この店に行っておこう」みたいな感じで行っています。オープンと同時の時間の方が、店主さんとお話しができるので、時間をちゃんとチェックして。立て込んでいるところに行ってもご挨拶もできないですし。私はいつも、お店さんに行ったら一番最初に名刺をお渡ししてご挨拶しています。最初に伝えた方が気持ち良いと思うので。
お店さんに対しては深いところまで突っ込まないといけないので、料理に対する勉強はしていかないといけないですよね。時間という意味では、多分めっちゃ勉強してます。1日1時間は自分で何かしら勉強しないと、お店さんやシェフの話についていけないと思うので。食の世界に終わりはないです。常に新しい調理法が出てきます。特にフレンチが、毎年毎年新しい調理法が出てくるので。4、5年前には食材を泡にするエスプーマが流行りましたけど、今は瞬間スモーク。ここ一週間でフレンチのお店を食べ歩いたら、瞬間スモークを出されるお店がほとんどでした。ガラスの器などに食材が入ってて、蓋をしてあって、燻製のスモークを入れてあって、開けたらぱっと、魔法のランプみたいにほわほわっとして、かつ食材に軽い燻製香がついているスタイル。お店によって木のチップも違えば食材も違って、たまにデセール※で燻製するお店もあったりして。お店で使い方が違うので面白いです。
※デセール:デザートのこと。燻製香のするデザート、気になりますね。
食べながらメモはあまりしていませんが、一回喋ると覚えているんですよ。「何々を使った何々です」と説明してもらったら、「あぁ、何々を使った何々なんですね」とおうむ返しをする。そうすると、記憶に残そうとする。口に出したら覚えているし、食べると覚える。
味覚ってすごく不思議で、何となく食べていると、例えば今日の昼にカツ丼を食べたとしてもお腹を満たすだけで忘れてしまいがちなんですけど、「これは、羽咋市の、幻の豚と言われている何とか豚を使ったカツ丼です」って言われると味わおうとしますよね。記憶に残そうとする。ソムリエさんとかがそうですけど、これは失礼な表現になってしまいますが、同じような味わいの中でわずかな差をコメントしなければいけない。すごく、極端な言い方をしないと自分が覚えていないんですよ。アスファルトが焦げたようなとか、イチジクのようなとか、極端な表現をしないと自分が覚えていないんですね。その延長線上にある味わいを極端な表現で見つけておかないと、味わいの大きな違いがないものに対してはコメントするのが難しいです。