金沢大学能登学舎

NEWS

ニュース

寺家の舟小屋群

私が好きな珠洲の景観の一つに「寺家の舟小屋群」があります。

海岸沿いに建つ舟小屋群を見ると、海が身近にある暮らしが営々と行われていることを実感するからです。

「奥能登と時国家 研究編2」(神奈川大学日本常民文化研究所奥能登調査研究会編,2001.8)によると、寺家は内浦街道と外浦街道が合流するところで、海上の要所でもあったとのこと。

寺家の舟小屋群は、主屋などが建つ高台の崖下、通称「かいまわし」に立ち並んでおり、この伝統的な舟小屋の建設方法は、以下のように書かれています。

「柱は栗の自然木の掘立柱で、柱の上端近くで梁材を鼻栓留めに繋ぎ、柱上端に桁をほぞ差に置き、さらに桁上梁に掛ける。小屋組梁中央に棟束を立て棟木を支え、棟木から桁に垂木を掛け下ろす垂木構造である。屋根勾配は、矩勾配(四五度)ほど、屋根は切妻造の茅葺で妻入りである。規模は間口が一〇尺あるいは一五尺ほど、奥行きは三~四間ほどである。」

この伝統的な舟小屋群が地震後にどのようになっているか、ずっと気になっていたので現地を確認してきました。

上の写真が2021年11月時点、下の写真が2024年6月時点の様子です。

2021年11月時点
2024年6月時点

写真のアングルが異なるので少し見にくいのですが、多くの舟小屋はその姿をとどめていますが、一部の舟小屋は倒壊していました。

珠洲には、文化財にはなっていないものの里山里海の暮らしを伝える建物や風景などが多く残っています。今回の地震で大なり小なり被害を受けてしまったことは残念でなりませんが、地震があっても残ったものをいかに次の世代へつないでいくかということも今後の課題と感じました。

(金沢大学先端科学・社会共創推進機構研究員 須田)