人と地域のWEBマガジン ISHIKAWA DRAWER

Kosaku Tsukabayashi

株式会社 小松電業所 代表取締役社長
塚林 幸作

Credo
#05
2017.01.30

Introduction

株式会社小松電業所は、建設機械の部品メーカーです。 国内2工場、海外3工場を拠点に建設機械を中心としたグローバルメーカーへ部品を提供しています。 淡々とした語り口の中にも揺るぎない信念を秘めた、塚林社長の「クレド」をお伺いしました。

Q.1

御社のクレド(信条・行動規範)、教えてください。

クレドと言えるかどうかは分かりませんけれども、会社として成長し続けなければいけないとは考えています。「成長」とは、目指さないといけないことと、最低限しなければならないことを足したものです。ぼくの言葉ではありませんが、「資本主義社会とは成長なくして存続し得ない」。「成長したい」じゃなくて、「成長しないといけない」。止まったら死ぬという感じですね。といっても、この間までぼくは「成長」という言葉の意味を誤解していて、「成長」を「拡大」と捉えていたんです。会社を大きくすることだけに一生懸命になりすぎていたなと反省しました。今考えている「成長」とは、内的成長です。社内の仕組みを整えたり、従業員の技能の育成、管理職の管理レベルを向上させるとか。そういうことをせずに事業を拡大することばかり考えていてはだめだなと。こんな風に、その時その時で「成長」の意味を再定義し続けてもいますね。

Q.2

「働く」って、なんですか?

本来、労働というものは収入を得るためのものだと思いますし、どんなに楽しい仕事でも無報酬だと言われれば誰もしないと思いますね。ただ、お金をもらえるということを最低限の条件として、その上で仕事とは他者貢献なのであるという風に捉えられればいいなと思っています。ぼくらの仕事はものづくりですから、つくったもの自体が世の中の役に立っていると実感できること。例えば、トイレと井戸が近くて赤痢にかかったりしてしまうような衛生状態の悪いところに住んでいる人たちがいて、ぼくたちのつくった機械で上下水道が整備できたことによって清潔な生活を送れるとか。ぼく自身はそういったことを実感しやすい立場にあるのですが、社員が同じ気持ちになるためには何が必要なんだろうと最近考えたんです。そのためには、逆説的ですけれど、十分な収入があってこそ他者貢献の気持ちになれる。自分が生きるために必死な状況で「社会貢献」や「他者貢献」を考えられるかっていったら、たぶん無理ですよね。ですので、社員みんなが他者貢献の気持ちを持てるような待遇であったり、労働環境をつくっていきたいと考えています。

Q.3

いしかわで働く意義って、なんですか?

「人間到る処青山あり」というのがぼくの座右の銘の一つです。どこでも生きられるしどこでも死ねると思っているので、いしかわで働くということについて特に思い入れや意義は感じていません。

仕事でよく中国に出張しますが、帰国するたびに空気がきれいなことに驚いて、視力が良くなったかのような錯覚をします。ご飯も日本の方が美味しいなあとも思います。そんな風に中国と日本で比較をすることが多いので、いしかわのことを特別に考える機会があまりなかったのかもしれません。もちろん中国での仕事は面白いですし、ご飯もちゃんと美味しいものもありますけれどね。

仕事を離れた生活の面では、首都圏といしかわで暮らすことには大きな違いがあります。住居をはじめとする固定費や子どもの学費についても安く済ませることができると思いますし、休みの日にいろいろな場所に行ってもそれほど混んでいない。そういったメリットは感じていますけれど、いしかわと他の地域、例えば近隣の富山や福井と比べて大きな違いがあるかというとないんじゃないかな。ディティールの違いはあるかもしれませんが、AKBの後ろの方にいる子たちの区別がつかないのと一緒で、一般の人にはなかなかわからないと思いますよ(笑)。

※「人間(じんかん)到る処青山あり」…人はどこで死んでも青山(=墳墓の地)とする所はある。故郷を出て大いに活躍すべきである、との意。(『大辞林第三版』より)

Q.4

休日の過ごし方、教えてください。

妻と愛犬と一緒に過ごすというのが今までの休日だったんですが、実は、愛犬が1月20日に14歳の寿命で亡くなってしまったんです。はじめて飼ったペットだったので、とても思い入れがあって。正直、今はペットロスの状態です。家に帰ると思い出して悲しくなってきてしまって…。

今まで休みの日に何をやっていたのか、具体的なことはあまり思い出せないのですが…。朝起きて、今日はこれとこれとこれをやろう、と決めたことの3割しかできずに終わる。それが休日というものである、というのがぼくの考えです。休みの日にもうちょっとじっくり本を読んでおこうとか、あの仕事のことを考えてまとめておこうとかはしないことが多いですね。そういった自己啓発に関わることは、休日にできなかった7割の中から出てきて、平日に「やらなければいけないこと」に入っていくので。

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  • 小さい頃から「ものづくりが大好きだった」という塚林社長。
  • エンジンフードなどの外装部品をはじめ、あらゆる部品を製造しています。
  • 独自の多工程一貫システムを実現する製造ラインを一望。
  • 電装部の看板は、自社で制作されたオリジナル。総務部のSさんと。