金沢大学 先端科学・イノベーション推進機構

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東京大学総合研究博物館での実験に参加しました

VBL

東京大学研究総合博物館タンデム加速器実験施設(MALT)出張レポート

博士研究員 宮田佳樹

 平成29年2月7日(火)~10日(金)東京大学総合研究博物館での実験参加に参加しました。

 

 これまでに土器や動植物遺体などの遺跡出土遺物の科学分析を通して、古環境、古食性解析を行い、非常に興味深い当時の環境、食性に関する情報を得てきた。日本の発掘の大部分を占める行政発掘でも同様の科学分析が行われているが、その分析成果は充分に活用されておらず、日本の歴史を再評価し、新たな知見を得る貴重な機会を失ってしまっているのは、非常に残念である。もし、最先端の文化財科学的な視点から、特に、行政発掘試料を分析解析することができれば、新たな資料価値の創造、資料の再評価が進み、遺跡、遺構を管理する市町村など行政機関にとっても好都合であろう。

(目的)

 炭素14年代測定、脂質分析、バルク、および、分子レベル安定同位体分析法などを活用して、土器や動植物遺体の科学分析を行い、古環境復元、古食性解析を行う。特に、最新の脂質の分子組成計測法と分子レベル同位体分析技術を組み合わせ、土器を用いた古食性解析法を新たに開発し、文化財科学研究に活用し、より詳細な古環境復元手法を創出することが本年度の目的である。

(結果、今後の予定)

 内面土器付着炭化物(コゲ)や土器胎土吸着物中の脂質組成から起源物質を推定するバイオマーカー分析法と生物一般に含まれる炭素数16、 18の直鎖状飽和脂肪酸の化合物レベル炭素同位体組成(δ13C16:013C18:0)を現生と遺跡時代の生物と比較することにより、調理食材の直接推定法を組み合わせた、最新の古食性復元手法の立ち上げが終了し(参考文献1)2))、現在、外部委託事業の本格的な受け入れを実施するために、考古分析会社との業務提携に関する打ち合わせを開始し、より多くの試料を同時に処理するための分析法の効率化、ルーチン化の段階に進んでいる。

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参考文献

1)Horiuchi, A., Miyata, Y., Kamijo, N., Lucy, C. and R. P. Evershed. (2015) A dietary study of the people of the Kamegaoka culture during the Final Jomon period、 Japan、 using stable isotope and lipid analyses of ceramic residues. Radiocarbon 57, 721-736.

2)[t1] Miyata, Y., Horiuchi, A., Kondo, M., Onbe, S., Yoshida, K., Nagao, S., Paleo Labo AMS Dating Group and Nishimoto, T. (2016) Marine reservoir effects deduced from 14C dates on pottery residues、 bones、 and molluscan shells from the Hamanaka 2 archaeological site, Rebun Island, Hokkaido, Japan. Radiocarbon 58, 755-770.