148.人材の確保

148.人材の確保

―どんな人材をどうやってー

はじめに

 起業したいと思いついた時には、まず「142.ビジネスのアイデアとコンセプトの整理」に書いたように自分の思いをまとめます。

 そのうえで、考えたアイデアを実行するには、材料を仕入れてから、それを商品に仕上げ、お客様に買っていただき、その代価をいただく必要があります。その裏では、お客様の開拓、さらにその事業の狙いにあった、商品の開発・企画から材料の発注、代金回収に関わる作業や事務、さらに利益を計算し、税金の支払いをスムーズにするためのキャッシュフローの管理等様々な仕事を行う必要があります。個人事業の場合はこれらの仕事は事業主一人で行うわけです。

 そんな中で、世の中がICT化してくると、一人の人がいろんなことができるようになりました。さらにビックデータ化やAI化により専門家との付き合いも増えてくるという新しい時代に入ってきました。とはいえ事業主一人でICTやAIの開発まですべてを行うのは個人の能力を超えしまい難しいので、チームを作って行う時代に入りました。このチームの範囲が広くなり、大企業といえども1社ですべてを行うことができない時代です。こうして外部組織とのつながりも常態化する時代が始まっています。さらにネットワークが世界に広がり、価値観も多様化してきました。いまや組織にはSDGsのような仕組に対応すると同時に、「パーパス」のような目標設定が必要となる時代となっています。

 ですから、起業においても、これら新しい考え方を取り込む必要があります。このためには、事業主が新しい考え方を作れる人とつながりを持ち新しい考え方を使えるようになることです。言い換えれば、「人材戦略」です。しあわせなことに、過去とのしがらみが少ない起業の場合は、そのような「人材」とつながりを 持っても、それによってこれまでのやり方と違うとる反論する既存のメンバーがいないわけです。従って一番いい方法はそのような新しいやり方の開発をできる 「人材」を採用することでしょうが、それが難しい時には、新しいチーム員としてリンクを取る方法を採用することです。

 しあわせなことに、この目的で採用される人が「人材」 です。すなわち仕事をこなすために必要な「人的資源」のことです。

 起業する組織を作るための最初の仕事は、まずこのよう な人材(人財と呼ぶこともあります)を見つけることです。

1.創業者に必要な資源 

 142.アイデアとコンセプトの整理」図表7で取り上げたられた 創業者に必要な資源の中に

1.自分の志のために「何がなんでもやり遂げる」という熱い情熱と信念をもっていること
2.その事業の商品またはサービスが、同業者にない優れた独創性を持っていること
3.その事業に関して十分な経験を身につけていること
4.創業時に多くの人脈があり、起業後はさらにそれを拡大できること
5.事業に関する生きた情報を集め、それを活用できること
といった創業者の能力が挙げられています。

 4. の人脈のひとつには、社員も入っておりその中で、ステークホルダーの第1番に選びたい社員もいるはずです。

と考えていてふっと思いついたのが、松下幸之助氏と高橋荒太郎氏、本田宗一郎氏と藤沢武夫氏、井深大氏と森田昭夫氏といった経営者とナンバー2との関係です。経営者がアイデアを出しナンバー2がその実行を補うといった関係です。これにはトップと番頭、もしくはCEOとCOOのような関係といった表現としても使われています。

 スタートアップ時には、全ての人材を採用できる金銭的余裕も時間的余裕も無いのが普通です。このためとりあえず今必要な能力を持つ人だけでも採用してスタートすることになります。あなたのチームに今一番足りないものは何でしょうか?販売力なのでしょうか。それとも、技術力なのでしょうか。最初には採用をするための面接をするときには次の4つを行うことになります。

① 今必要なものは何かをはっきりさせることです。
② とすれば、基本スキルは、創業者と共有できる価値観です。
③ と同時に創業者は使用者に対して適切に応えることです。(フィードバック)
④ そのうえで、明確に期待することを伝えることです。

 ということで創業者はまずこれらを満たし自分の代行をできるパートナー 役の「人材」を探すことになります。

 すなわち、最も必要な 「人材」とは経営者の想いを形にする(具現化する)ことができる.次のようことをやってくれる人です。 

1.創業に必要とする知識(技術・方法論・専門性)を持ち興味を持っている
2.経営者と同じ志を持ち、常に経営者の相談相手になる
3.重要な経営判断が必要な時には経営者に助言を行う
4.経営者と従業員の間の意志の疎通を行う
5.新しい取り組みを実施する際の具現化と推進役を果たす

2.なぜ採用が必要なのか 

 ここまで、 パートナー役となる人についてまとめてきましたが、起業の初期に働く他の従業員についても、似たような考え方で、研修や普段の会話を通して、能力を上げていき、社会の生産性を上げていくことになります。そのためには、その他の従業員には自立性をもって自分の能力向上を厭わない人を集める必要があります。こちらの方は自立性の高い人を選びましょう。創業の最初のころはアジャイル方式で仕事を進めるのですから、言われたから学ぶとか、マニュアルに書いてあることだけを実行するというのではなく、現場の変化に自分で学んだことや、現場の状況を観察しながら、変化に柔軟に対応できる人が必要だからです。

 変化に対応するための提案ができるようになると、将来昇給や昇進の道が開けてくることを、新入社員のころから習慣づけていくことです。

 こうして、従業員が提案したことが採用される経験を積むことにより働き甲斐を感ずるようになると、早期退職といったことも少なくなっていきます。

 とはいえ、創業間際の個人事業や会社ではそれほど多くの人がいるわけでもなく、昇進などまだ早いという状況です。理想論を言ってもそのような人を集められないかもしれません。その対策として事業主や、創業者はまずは従業員との話し合い通じて、互いに知り合うことです。

 さらにその話し合いも一方的なものではなく、従業員の声を聞きながら進めるといった方法法を取ることです。

 その話し合いで、問題があるとの発言があった場合にはその解決に向けて手助けを行い、動機付けを行うようにして、一人一人のスキルアップを手助けできれば、本人の満足度も上がります。

 また、このような人材情報を社員が共有できるシステムを採用できれば、従業員の満足度向上に役に立ちます。

 このようなことを行っていることを、対外的にオープンにしておけば、新人の採用に応募してくる人も多くなりそうです。

 「146.起業にかかる費用」にも書いたように、中小企業庁の「平成30年  夢を実現する創業」には創業する1ヶ月前に準備することのひとつに図表1に示すよう従業員の採用が書かれています。

vbl-00701.jpg図表1 従業員の採用

出典:「平成30年 夢を実現する創業」(中小企業庁)p3
 

 個人事業の場合は創業当初の従業員は仲間という感覚です。

① まずは創業者自身が一人でやる感覚で考え、とても一人ではやりきれない時には仲間を探し、できればパートナーもしくは従業員(正社員、PP/A(パート/アルバイトのこと以降P/Aと略す))として働いてもらうわけです。

② そのためには、何のためにやってほしいのか(パーパス)、何をやってほしいのか、どんな気持ちでやってほしいのかといったことを、きちっと伝えるべきです。 同時にその役割ごとに給与・勤務時間・休暇などの労働条件を明確にします。このような気持と訴えるのに必要なキーワードは起業家思考図の「自己紹介」の中に書き込んでおきましょう。

業種固有の人材採用が必要なケース

 業種によっては、たとえば薬品製造業のような場合には薬剤師のようにその業種に固有な資格を持った人が必要な場合もありますので、必要に応じて認証を受ける と同時に、資格を持った社員がもしくは連携可能な要員が要求される場合もあります。この場合はそのための人件費も必要になるわけです。

 「146.起業にかかる費用」の「図表1許認可の必要な業種」https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list6/6-3-4.html(アクセス 2012/07/23)に認可の必要な業種として以下のものが挙げられています。

 公衆浴場
 旅館業
 食料関係の営業
 薬局
 医療品販売業者(薬局以外)
 火薬類、花火(煙火)などの販売・使用
 動物用医薬品の販売
 廃棄物処理費用
 建設業
 自動車運送業
 労働者流通事業

 これらの業種での起業を考えている方は、ぜひ上記HPにアクセスし、免許が必要な時には備考にある部署に連絡し、確認してください。

 これらの資格については都道府県、関係官庁ごとに決められているためか、官公庁の統合された情報サービスは見つかりません。例えば
2014「資格の取り方」国家資格の一覧
https://shikaku-fan.net/national_qualification.php(アクセス 2021/08/11)
といった民間のサービスをご利用ください。

 いずれにしても、資格の必要なビジネスは、創業者が自 分で取るか、社員とするか、資格を持っている個人もしくは組織とパートナー契約を結ぶことになります。

社員はステークホルダー

 これからの社会では「パーパス」を明確にすることが重 要と言われていますが、「140.未来から現在を考え る」でとり上げているように、この「パーパス」を伝えたい相手はステークホルダーと言われる人たちです。事業経営の場合は企業・行政・NPO等との利害と行動に直接・間接的な利害関係を有する以下のような役割の人をあげています。

 投資家
 株主
 債権者
 顧客(消費者)
 取引先
 従業員(社員)
 地域社会
 社会
 政府・行政・国民

 すなわち従業員は、顧客や株主と同じように重要な存在 だということです。すなわち従業員は働かせるだけでなく、満足も得てもらわなくてはならない存在ということです。

 更に、細かいお話を知りたい方は
中小企業白書「第二部の第2 章 中小企業・小規模事業者における人材の確保・育成」https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H27/PDF/chusho/07Hakusyo_part2-2_web.pdf(アクセス2021/08/08/)
にいろいろな情報が載っていますので、ご参照ください。

 中小企業庁の、
『2020年度版中小企業白書の第2部 地域で価値を生み出す小規模事業者の第3章 地域における雇用と小規模事業者』https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/shokibo/b2_3_1.html(アクセス 2021/08/06)
の第2-3-8図 従業員の労働環境の向上に向けて最も改善が必要だと考えるものによると「業務量・内容に対する適正な報酬の支払い」、「業務経験を通じた実践的なスキルの定着」、「従業員の事情に応じた勤務時」、「間・日数の柔軟な設定」については、相対的に取組が進んでいないことが分かると報告されています。

 このように中小企業白書なども時には見て、対策を考えるのもいい方法です。

3.人材は呼び込めるか

 既存企業でさえ、ようやく育成した人材を他社にひき抜かれてしまったとか独立してしまったというお話をお聞きします。待遇が悪ければ当然のことですが、これに懲りたので社員の育成をやめてしまったという中小企業の社長さんのお話もお聞きしたことがあります。さらに大企業で、社員教育に熱心な企業が業績不振につき希望退職を募ったら、そのころはやりのテーマについての社内研修を受けた人から順に出て行ってしまったというケースもあります。しかしその企業を訪問したら、業績不振のため会社負担の教育が少なくなったので、自分で社外教育を受けていますよといっていました。やめたい人はどちらにしてもやめてしまうようです。リンダ グラットン (著)、アンドリュー スコット (著)、池村 千秋 (翻訳) 2016『LIFE SHIFT』(東洋経済新報社)にあるように、人生100年時代に入り転職、起業が普通になってきたのか、会社勤めから、転職し成功した人が多い会社に就職したいと思う人もいらっしゃるようです。要は従業員満足度が問題のようです。

 こうなると、
 人材  資材と同じように必要に応じて集める
 従業員 企業で必要な仕事のやり方に従って働く人
という考え方ではなく、特に起業の初めの段階では、常日頃から活動結果のレビューをやり、よいやり方であると解った時はさらに徹底して実行し、まずいと分かった時は代替案を考え速やかに変えるピボット方式が重要と言われ始めています。これは第2次世界対戦で使われてOODA(Observe Orient Decide Act)とも通ずるやり方です。これまでの大量生産時代のPDCA(Plan Do Check Act)とは異なったやり方です。

 このような起業文化を育てながら、人との付き合いを進めていくことになります。
 こうして仕事をやりなら改善する学ぶ態度が重要です。今までのような知識を教える「社員教育」の発想ではありません。

 独立行政法人中小企業基盤整備機構の「J-et21」起業マニュアルの「 3 人・物を整理する」の「仲間を集める」
https://j- net21.smrj.go.jp/startup/manual/list3/3-1-8.html(アクセス 2021/08/09)
の面接時のチェックポイントのテーマは

 起業仲間を探すには
 起業仲間と出会う方法
 起業仲間との共同経営上の注意点
 従業員を探すには
 求人の方法
 雇用契約の方法
 求人広告の効果的な使い方
 面接・採用のポイント
の8つです。

 他にも
formie「資格がいる仕事と業界別の人気資格」
https://formie.net/news/1196(アクセス 2021/08/09)

といったHPもあります。

4.面接、採用のポイント

 ここまで、どのような人材が必要かを述べてきましたが、これからはその人材をいかに集めるかに入ります。社長の「パートナー」は社長の個人的人脈に絡む面が多いのでここでは省き、従業員に特化します。

 お客さまからみれば、自店で働く人は正社員もP/Aも同じです。何か問題を起こした際に「P/Aだから仕方ない」ではすみません。そのような対応をすれば、そのお客さまは二度と来店してくれないでしょう。すなわちP/Aの採用も正社員 同様、慎重に行う必要があるのです。

面接のポイント

応募者もお客さまのうちの1人

 P/Aは自店から30分圏内に住んでいる確率が非常に高いですから、応募者であると同時に自店のお客さま、または今後お客さまになる可能性のある人なのです。したがって、店や面接者の第一印象や応対はとても重要です。

面接時の座り方を工夫する

 面接は通常、応募者を面接者の正面に座らせて行われます。これは相手の表情や仕草をチェックできるという点では効果的ですが、応募者によっては面接者に威圧され、本来のよさを表現できないことも少なくありません。そこで、面接者と応募者がテーブルのコーナーを挟んで、L字型に座り、必要に応じて目線を合わせるスタイルのほうが応募者の緊張もほぐれ、面接がスムーズに進みます。

面接は適切な時間で

 1人あたりの面接時間は15~20分が適当です。これより短くては判断が難しく、これより長いと集中力に欠けてしまいます。まずは「今回はご応募いただき、 ありがとうございました」など、応募に対しての感謝の言葉を述べましょう。さらに学校のことやクラブのことなどから話をはじめ、相手をリラックスさせます。それから自店の紹介や仕事内容、時給や待遇面の話に移ります。面接は面接者が一方的に話すのではなく、なるべく相手に話をさせ相手の言葉づかいや表現力、表情、態度などを観察しましょう。
 そして最後に「何か聞いておきたいことはありますか?」と相手に質問をさせて面接を終わります。

以下の項目は、面接時のチェックの一例です。
vbl-00702.png図表2 面接時のチェックポイントとして

出典:中小企業基盤整備機構「J-Net21採用マニュアル」
https://j- net21.smrj.go.jp/startup/manual/list3/3-1-8.html(アクセス 2021/08/09)

 面接で合格すれば、いよいよ採用です。せっかく採用するわけですから、P/Aには 少しでも長く自店で働いてもらいたいものです。それにはやはり最初が肝心です。

関連ドキュメントのダウンロード

 起業を始めて突然人手が足りないと感ずることがあるかもしれません。そのような時には中小企業基盤整備機構の下記ダウンロード書類を参考に自社用のアンケート資料を作りましょう。
https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list3/t5drrv0000006ptm-att/data_19.zip
 アルバイト面接アンケートフォー マット(11KB)
 アルバイト面接アンケート雛型(73KB)
 アルバイト面接チェックシート(厨房スタッフ用)(9KB)
 アルバイト採用面接質問集(厨房スタッフ用)(79KB)
 アルバイト面接チェックシート (ホールスタッフ用)(9KB)
 アルバイト採用面接質問集(ホールスタッフ用)(77KB)
 アルバイト採用登録簿フォーマット (11KB)
 アルバイト採用登録簿雛型 (57KB)
 アルバイト就業規則および注意禁止 事項フォーマット(6KB)
 アルバイト就業規則および注意禁止 事項雛型(39KB)
 交通費申請用紙フォーマット (5KB)
 交通費申請用紙雛型(19KB)
 アルバイト雇用契約書フォーマット (7KB)
 アルバイト雇用契約書雛型 (43KB)

5.初出勤の準備

 面接で合格すれば、いよいよ採用です。せっかく採用するわけですから、P/Aには少しでも長く自店で働いてもらいたいものです。それに はやはり最初が肝心です。

 初日は、まず本人の名札やタイムカード、ユニフォームの用意をしておきます。また、雇用契約書を作成し、時給の説明や給与の支払日、支払方法、休憩や食事に関することなど必要事項を説明します。従業員名簿も作成し、これには緊急時の連絡先、給与の振込口座、ユニフォームのサイズなどを記載しておきます。

上司の部下への配慮

 この時の上司の留意事項は次の2つです。
1. どんな社員とも積極的に情報交換する
2. 社員の声に耳を傾ける
 いい付き合いのできる職場の雰囲気であることが大事です。この時参考になりそうな情報は以下のHPにも書かれています。疑問がありお時間があれば見ください。

「リーンキャンバス」 100.自業の夢を描く
「ジョブ型組織」   134.新型コロナ後の自業
「ティール組織」   121.縦社会からの脱皮
「ホラクラシー組織」 121.縦社会からの脱皮 
「人生100年時代」   110.高齢者は、75歳から

新人の指導

 新人の指導では、オーナーや店長が新人のP/Aに対して自店の経営方針を理解してもらい、従業員として接客時の心構えなどの意識づけをすることが重要です。

 そして次に店内のルールを具体的に一つひとつ説明します。
 これらが終了した後、基礎訓練として発声練習やサービスの基本用語と言い方などの訓練を行います。これらの基礎訓練は継続して行うようにしましょう。

6.コンサルタントのコメント

 ここまで、創業にあたり、人材についてはどのような人を集めるか、どうやって集めるか、どのように学習させるかを簡単にまとめてきました。すでに多くのことは公知となっていますので参考にあげたHP、文献を読むかセミナーに出席すれば、何とか理解はできるかと思います。

 ただ創業者の時間が実務のような他の仕事にとられ、十分とれない場合や具体的な自分の創業とからむことを聞けられない方もいらっしゃると思います。このような時には、創業アドバイザーやコンサルタントを語る人に相談されるのが良いと思います。HPの検索していても一般論が多く、具体策はアドバイザーにご相談 くださいとなっていることが多いと思います。

 たとえば、「創業手帳」では、良い税理士であれば、創業期から顧問税理士をつけることをおすすめしています。企業の顧問税理は税金のこと以外に多岐に渡り、税理士に依頼できる主な内容として次のようなことを上げています。
・資金調達
・経営のアドバイザー、相談相手
・細かな手続き
・事業計画の作成
・会計や税務の後方支援
 実際にこれだけの内容を、起業家が一人で行うことは大変です。

 プロには情報が蓄積されているので、素人が行うよりも作業が早く、より品質の高い仕事をしてもらえます。

 「税務の相談」だけではなく、「経営の良きパートナーになれるかどうか」が創業期の税理士を選ぶ重要なポイントです。

 今後の事業をどう作っていくのか、事業の相談役になってくれるタイプの税理士さんが好ましいです。
 事務のアルバイトを雇うことに比べれば、経営の相談役にもなる税理士に顧問を依頼 するほうが、コストパフォーマンスが高いと言えます。

 でも、実はそういったタイプの税理士さんは少数派。また、良い税理士さんは人気 があるので受けてもらいにくい傾向もあります。

 税理士の資格を持っているだけではなく、いかに「創業の起業関連の実務を経験しているか」や「実際に付き合ってみた人からの評判」も大切です。そのため、必ず人づて、紹介で契約するのが望ましいといえます。「創業手帳」では、全国に税理士の提携ネットワークがあるので、そういった創業向きの税理士さんを紹介しています。必要な場合は、予算が低めで、税務会計だけでなく、経営の相談役になれる、資金調達もできるなどご要望に沿った税理士・会計士の方を紹介しています(創業相談:https://sogyotecho.jp/consulting/)といったことがかかれています。

 概要はできたが時間の足りない人は、このような方策をとってみるのもよいかと思います。

おわりに

 今回はどのような人を、どのように集めるかに重点を置いて説明しました。人集めは騒がず労働条件(給与・勤務時間・休暇など)のようなことを決める必要があります。具体的な方法が決まったあと、お金やその後の実行ための具体的方法を決めることになります。そのほか最低賃金制度などがあり単に組織を作ればいいものでもありません。SDGsのような、これからの社会常識を身につけて置くことが必要です。

 またここでは、述べませんでしたが、これからはITを使えるのは基本能力となる時代になってきます。業務の効率化を担当する人には、業務のプロであるとともにIT時代を生きていく基本スキル ( Pythonや会計システム)がわかる人、パートナー役の人には、コミュニケーションソフト(例えばSNS)とコミュニケーションデータの管理をできる人、その他従業員については仕事ができるとともに自動化ソフト(各種ICTT)を利用できるようにする能力、そして全員にコミュニケーションソフトと会計システムを使える人を採用することです。

参照資料
formie「資格がいる仕事と業界別の人気資格」
https://formie.net/news/1196、(アクセス 2021/08/09)

資格の取り方、2014「資格の取り方」
https://shikaku-fan.net/national_qualification.php(アクセス 2021/08/11)

瀬領浩一、2017「100.自業の夢を描く
https://o-fsi.w3.kanazawa-u.ac.jp/about/vbl/vbl6/post/100.html

瀬領浩一、2017「110.高齢者は、75歳から
https://o-fsi.w3.kanazawa-u.ac.jp/about/vbl/vbl6/post/110.html

瀬領浩一、2017「121.縦社会からの脱皮
https://o-fsi.w3.kanazawa-u.ac.jp/about/vbl/vbl6/post/121.html

瀬領浩一、2017「134.新型コロナ後の自業
https://o-fsi.w3.kanazawa-u.ac.jp/about/vbl/vbl6/post/134.html

瀬領浩一、2017「140.未来から現在を考える
https://o-fsi.w3.kanazawa-u.ac.jp/about/vbl/vbl6/post/140.html(アクセス 2021/08/10)

瀬領浩一、2017「142.ビジネスのアイデアとコンセプトの整理
https://o-fsi.w3.kanazawa-u.ac.jp/about/vbl/vbl6/post/142.html(アクセス 2021/08/10)

創業手帳「創業手帳」https://sogyotecho.jp/(アクセス 2021/0/09)

創業手帳 創業相談:https://sogyotecho.jp/consulting/

中小企業基盤整備機構「 J-Net21採用マニュアル 許認可の必要な業種」 
https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list3/3-1-4.html(アクセス 2021/08/09)

中小企業基盤整備機構「 J-Net21採用マニュアル 仲間を集める」
https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list3/3-1-8.html(アクセス 2021/08/09)

中小企業庁『中小企業白書「第2部の第2章 中小企業・小規模事業者における人材の確保・育成」』
https: //www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H27/PDF/chusho/07Hakusyo_part2-2_web.pdf(アクセス 2021/08/08)

中小企業庁『2020年度版中小企業白書の第2部 地域で価値を生み出す小規模事業者の第3章 地域における雇用と小規模事業者』
https: //www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/shokibo/b2_3_1.html(アクセス 2021/08/06)

中小企業庁、2016「平成30年 夢を実現する創業」
https: //www.chusho.meti.go.jp/keiei/sogyo/pamphlet/2016/download/h30Sogyo.pdf(アクセス 2021/08/09) 


2021/08/13
文責 瀬領 浩一