「152. 起業の準備」では起業の狙いを決め、そこに向かって行くためにやらなくてはいけないこと(6W2H)も決め、その準備を進める4ステップをまとめました。これからは狙いを実現するための活動開始です。ただ、まだこの段階では、自分の考えていることが実現できるかどうかはわか りません。ちまたでは起業家の9割は3年くらいで脱落するといううわさも聞きます。少子高齢化の時代を迎える日本では成人になったばかりの貴重で元気な若者の活動を将来に生かすために、日常的にやる活動の一つとして起業の狙いの実現を促すことも必要です。しかし若くて元気があっても資金や人脈がまだ十分でない学生さんが、自分の持つ強みを使いつぶすことがないようにと起業計画を完全にしようとしても、経験不足のためなかなか良い案が見つけられないのが現実です。このためまだ社会での経験が少ない学生さんの場合はできるだけ早く現状に合わない行動を修正する方法を体験することも必要です。
ということで今回はまずは仮想現実の世界で自分の起業活動を始め経営の経験を積むことにします。すなわち、自分が今いる場所を起業を行っている世界と考え、自分の起業活動を試すことです。仮想ゲームの世界でのアバターゲーム・ガンダムゲーム・ファイナルファンタジーやドラゴンクエストのような、現実には存在しない世界で活躍するのと同じ方法で起業の腕をみがきます。
といっても、ゲームのように仮想現実感を作り出すことは難しいので、ここではコンピューター(通常はパソコン)の中に、起業に関連するフォルダーを作り、そこに自分のやりたい起業に関する書類等や情報を集積し、それらの情報から想定される状況(仮想の状況)を作り出し、そこで仮想の起業を開始します。その結果 想定される活動結果が不満足であれば、そのために設定した条件を変更しながら起業を繰り返します。想定結果が自分の満足するものになったら、仮想の世界で行った結果をもとに実際の起業活動を開始するという方法です。
図表1は「152. 起業の準備」 の「図表10 仮想現実の学生起業」の中心に起業の準備シリーズで述べた起業準備図を加えたものです。この図の青い太い矢印は作業のステップを示しています。まずこの図にあるように、左下にある「起業準備」が終わると「起業開始」に入ります。ここでは、多くの人が容易に 参加できるように起業開始はなるべく小さく始めます。すなわち、個人事業を行うフリーランスを演じます。起業開始が完了すると同図右の「ステークホルダー」枠に入り、仮想現実の世界で起業活動に関係のある人達を探し、見つけ次第連絡を取ります。必要な人たちとの関係が取れるようになると、つぎのステップの「生き残る」に行きます。この時テークホルダーの候補に挙がっていた人たちと連絡が取れないとか了解が得られそうもない時には、いったん左の起業開始に戻り、 起業の内容を修正します。こうして今一度ステークホルダーとの関係が取れるかどうかを繰り返します。
仮想現実の世界で必要なステークホルダーとの関係が取れるようになったら、今回の計画で起業活動が将来も続けられるか、すなわち「生き残る」方法を確認します。賄賂を払ったり・麻薬を使ったり・環境問題を起こしたりといった社会ルールにそぐわない行動をとっていると、たとえ事業収益を上げていても、その事業は続けることはできません。社会規範に沿って、起業を行いながらキャッシュフローがプラスであることが必要です。
キャッシュフローとは事業で現金などに入ってくるキャッシュインから、出ていくキャッシュアウトを差し引いた収支のことです。ここでのキャッシュとは、現金だけでなく投資活動や財務活動による資金調達による資金の出入りが含まれます。投資活動や財務活動を別にすれば、営業活動による現金の出入りとなります。初期の学生起業では事業継続の必要条件であるキャッシュフローすなわち儲かるかどうかを確認します。儲からない事業はそのうち破産すると考えられるからです。ということで起業用に準備出来た資金を超えない経営することが必要条件になります。
必要なキャッシュフローが確保できれば、次のステップに移り「起業継続」が可能かどうかを調べます。ここまでのサイクルは2週間から4週間くらいで行います。その結果を発表しアドバイザーや仲間の人たちの評価をいただきます。そこで起業継続が可能との結果が出れば仮想現実から抜けだし、ここまでに作られた計画に基づき、現実の起業を実施します。起業継続の条件が十分でないということになったら起業開始に戻り、今一度このサイクルを繰り返します。
これらの仮想現実での起業開始の活動内容は、大学の研究室で行われている実験のようなものです。学生さんの周りには、 研究をやっておられる多くの先生がいらっしゃいます。研究室で新しいことに挑戦するにときにやっていることを、起業活動でもやるのだと思ってください。幸せなことに大学はこのような新しいことをやる習慣がある環境です。そのような新しいことに挑戦する活動習慣のある研究室に入るか繋がりを持っておくこ とと、起業成功の条件が上がります。ただ研究と同じように実社会に悪影響を与えるようなことを目的とした活動に入らないようにご注意ください。
ということで、最初はフリーランスとして小規模な個人事業として活動を開始し、改善を繰り返しながら成功の可能性があるように、活動範囲を広げる方法にします。
従って最初の起業開始活動を「図表2 起業開始活動」にあげてあるように、まずやりたいことの概要を示す図として描き、おおまかなスケジュールを決めます。
今回の仮想現実の個人事業では、次の各作業を各々1週間前後ですすめることとします。
・起業開始活動
・ステークホルダーの確保
・生き残るための活動
・起業継続性の検討
このサイクルを2回から3回繰り返せば実行可能な計画ができそうできそうです。ということで2ヶ月から3ヵ月後には、仮想現実で作られた情報を参考にして実際の起業活動に入れます。この期間に実行計画ができなければ、リスクをさけるためにいったんこの起業活動はを中止とします。
ということでまず初回の起業開始活動に入ります。
今回のテーマの「起業開始を」中心において、「図表1 仮想現実の学生起業」を書き直したのが「図表2 起業開始図」です。
図表をクリックすると拡大図が見られます
以下これらについて簡単にまとめます。
この図からお分かりのように、起業開始は図表2の下段に描かれている起業準備、できること、強みと弱みといった、自分の情報と左側にある解決策、やりたいことといった外部と関係のある情報をもとに、起業準備に描かれている内容を整理し、今後のステークホルダーとの関係や生き残るための準備を行い、起業継続につなげる活動です。
今回、やろうとしているのは、起業により、自分のやりたい狙いを実現する活動ですから、「152. 起業の準備」で検討した「図表8 学生起業の6W2H」をもとに作成した図を参考にして作ったものを「図表2 起業開始」の起業準備枠に入れてあります。
・起業開始活動
「図表2 起業開始活動」の中央にある起業開始を拡大表示したのが、「図表3 起業開始活動」です。
今回はここに描かれた次の3項目について検討いたします。
・やりたいことの企画と実施
・起業プロジェクトの計画作り
・集客用資料作りの検討
黄色い枠の中に描かれている
・関係者はだれ
・儲かるかどうか
・計画の評価
等については、次回以降に検討いたします。
・やりたいことの企画と実施
やりたいことを企画するために、「152. 起業の準備」で決めた「学生起業のW2H」を参考にこれから始める起業活動の狙いを実現するための起業家思考図を作りました。起業家思考図とは「142. アイデアとコンセプトの整理 ー大学発ベンチャーの独立に向けてー」の「図表2 起業家思考図」にそのフレームワークを描いたように、起業に関する情報を1枚にまとめたもの(大局図)です。これ等の作業中に気づいた関係者は誰か、かつ拠点はどこか、儲かるかどうか、計画はうまくいくかどうかであることいったような、頭の片隅に浮かんだ情報を整理して作製します。起業家思考図は起業活動の進展に伴って変化していきますので、内容が大きく変わったと感じた時にはファイル名に日付を追加して記録しておくことをお勧めします。こうした過去の資料を保存しておくと、方針転換の理由や時期を知るのに役に立ちます。
図面をクリックすると拡大図がみられます
この段階にきたら、まずは目指すところを明確にします。このためには「図表4 目指すところを明確に」の3つの円にあるようにやりたいこと、できること、さらに感謝されることの3つに分類してこの図を完成し、3つの円の重なる世界で、自分のやることを作成します。
この時には「114. 自業計画書案の書き方ー「@事業塾」の例ー」の「図表1 活動分野を設定する3つの円」の右側にこの図の説明が書かれていますので、それを参考にして、目指すことを作成してください。
「図表4 目指すところを明確に」の赤字で書かれていることは、自分のやりたい起業の目的になるものですから、自分のケースについ て、自分の言葉で具体的に表現してください。この時対象は固有名詞もしくはそれに近い言葉を使い、目標は数字で表現してください。すなわち1000個の注文を半年で達成するといった具合に表現し、大量にとか、短期間に達成するといった形容詞による表現を避けてください。まだ明確に決定していない時であってもおおよその数字で書いておけば、他人はその桁を知るだけでも、書いた人の意図するところを判断しやすくなります。
最近のマスコミ等では、SDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれてきています。このため、最近はこれまでのように金儲け第1主義で会社の経営をするのではなくSDGsに基づいた経営を行う経営者が増えてきています。
またSDGsについては、「137. 心豊かに暮らせる社会ーSDGsの利用ー」においてその目指すところや17個の目標(ターゲット)、大学や公的機関、企業の取り組み事例について述べています。さらに、外務省のホームページにある次の2つの資料にも説明が載っていますので、ご参照ください。
・基礎資料:SDGsの概要及び達成に向けた日本の取組(PDF)
・パンフレット:持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組(PDF)
その他にも、中小企業庁のホームページ「j-Net21 の中小企業のためのSDGs活用」には、SDGsに関連する情報が載っていますので、ご興味のある方は、こちらも参考にしてください。
金沢大学でも「金沢大学SDGsひろば」のように新しい取り組みが始まっています。
(すでにSDGsが何かをご存じの方は、これ等を読まずに次にすすんでください。)
ということですので、SDGsは「図表5 目指すところを明確に」の感謝されることと関係が深いので採用するSDGsを決定に至っていない場合には思い付きでもいいですから17個の目標の中から今回自分が採用するSDGs目標とそのやり方の概要並びにどのような感謝が得られるかをまとめて記録に残しておいてください。
こうして仮想現実の下での、やりたいことが決まったら、「図表5 個人事業設立の準備」にあるような事業設立の準備に入ります。今回はここに描かれた次の3項目について検討いたします。
・先ずは屋号をつけましょう
国税庁「【確定申告書等作成コーナー】ー屋号・雅号の入力についてー」に「屋号とは、個人事業者の方が使用する商業上の名のことです。」・「雅号とは、著述家、画家、書家、芸能関係者などが本名以外につける別名のことです。」と書かれていす。これによると個人事業においても法人の会社名の変わりに「屋号」を使うことができます。ということですから事業のイメージが沸くような「屋号」をつけましょう。すなわち屋号は、株式会社の名前のように、個人事業に付ける名前です。 利用者が事業の内容を想像できるような名前や利用者が親密感を得ることができる名前等を指定すれば、顧客からの信頼を得る効果があるので、作成することをお勧めします。
この屋号は確定申告に使えるだけではなく、事業用の銀行口座の開設のときに口座名としても使えます。
・業務用の銀行口座作成
屋号が決まったら、開業地もしくは自宅の近くの銀行に行き個人用の銀行口座以外に事業用の銀行口座案をつくります。口座を作れる開業前後(銀行により異なりますので対象銀行にてチェックしてください。)に銀行口座を開きます。この時の費用は経費(開業準備費用)として記録しておきましょう。
・事務所、店舗の調達
個人事業でも事務所、店舗、仕事場を決め、備品・通信設備等の確保を行う必要があります。事務所、店舗を決めるときには、現場を訪問し、確認しておくことが必要です。
最初は仮想現実の下で起業する場合であっても、これ等の場所は実際の起業を行う時には現実の事務所や仕事場にするのですから、具体的に存在し、利用したい住所を選んでください。このためには想定されている地域に行って現場を見て、近辺の駅や駐車場、人通りを確認して決めてください。これが仮想現実の意味です。単に思い付きで書くことではありません。この時には、事務所、店舗の獲得にかかる費用も見積もる必要があります。「154. 起業の場所と設備ーどこで起業するかー」に出店の場所(起業の場所)を決めるときの注意点を描いてあります。ただ、最初のサイクルのフリー ランスの場合は事業所となりますが、営業店ほどには決定に手間をかけなくても結構です。
とは言え、一般的には個人事業主やフリーランスを名乗る人は、会社の社長と比べると信用度が低いために、賃貸物件を借りるような時には、賃貸保証会社の審査に通りにくくなりがちです。このため説明する資料などを十分用意しておくことは重要です。
設備の一部として特定の仕事をこなすためにいくつかの物を組み合わせ必要な事をこなすものは、機械装置と呼ばれています。このため、機械装置は起業する業務の特性にあわせて、それぞれ選ぶことになります。一方備品とはそれ自体で固有の機能を持ち、独立して使用されるもので、一般的に必要なものです。ここではまずフリーランスが必要とする備品についてまとめました。何度かの仮想現実での変更の結果機械装置が必要になった時に、別途追加しください。
・名刺の作成
まずは名刺を作ります。
その際、起業準備シリーズをお読みの方は「142. アイデアとコンセプトの整理」の「図表1 自己紹介」の詳細を参考にして、現在の自分の立場や強み弱みを明確にした自己紹介図を作成してから初めることをお勧めします。日本では、初めてお会いした人との挨拶時に、自分のことを伝えるために使う「55X91mm」のカードが名刺で す。欧米では「3.5インチx2インチ」(51x89mm)が標準となっております。
名刺の表面には肩書、名前、または自分の絵・住所・連絡先(メールアドレス)・キャッチフレーズを描き、裏面には業務内容やプロフィールを描くのが普通です。
名刺はミニパンフレットといった考え方で作製すると、会社の都庁や製品の概要を書き込んだ名刺が2つ折り名刺になることもあります。2つ折りだとその 場で開けて見られるので、自分を知ってもらうのには都合がよいのですが、個人事業主のような活動分野が限定されている時は役に立ちますが、会社経営のように色々な分野の人がってくると十分な内容を伝えるのは難しくなります。このようなことが必要となりそうと思ったら、「142. アイデアとコンセプトの整理」の「図表3 自己紹介」図を用意しておくことをお勧めします。ということで、仮想現実の中で作るときは2つおりではなく1枚両面の普通の名刺を作るのがよさそうです。
一度このような名刺をソフトウエアで作っておけば、その後起業内容が変更になった場合は変更内容を反映させるだけで、容易に変更ができます。
・標準的な文書の用意
以下にあげるような標準的な文書は
・領収書
・請求書
・見積書
・契約書
素早く処理する必要があり、まだデジタル化が十分進んでいない日本の現状では、必要に応じて印刷することが必要になります。
このような文書は事業者が自分で作成することもできますが、今回のような個人事業者でフリーランスを目指す学生さんのようにお忙しい方は、出来合いのテンプレートを利用することも考えたらと思います。自分の案がない場合は、インターネットのホームページもしくは文献からさがしてください。
「標準的なビジネス文書」、にはいくつもホームページがありますので、それらを参考にダウンロードし、自分の業務にあわせて修正すれば十分です。例えばマイクロソフトのソフトを導入している場合なら、参考文献にあげた「企業さまにおすすめOfficeの無料テンプレート」で文書名を入力するといくつかそのテンプレートが表示されます。その中から自分の起業に最も適していると思うものを選び方保存します。その後は必要に応じて修正して いけばいいわけです。
・お店の看板、パンフレットの作成
事務所や店舗を設立する時は、道を歩いている人や初めての人でもわかるように、何をやる事務所もしくは店舗なのかを描いた看板を作っておきましょう。街を歩いていてお判りだと思いますが、看板はいろいろなところに掲げられています。フリーランスで個人起業の場合は、それほどお客様が訪れてくることもないでしょうから、訪れるお客様にオフィスの場所を知っていただくために、屋号と簡単な説明を書いた立て札で十分です。事業の拡大を目指す時期がきたときには、遠くから見えるような大きな看板を作ることにしましょう。その代わり、一度こられた訪問者に再び来られるように、店の地図・業種やサービス内容がかかれたパンフレットを作りましょう。起業の前の場合は、顧客となりそうな知り合いや、過去にお付き合った人の名刺をチェックし、関係を持っておきたい人に対して開業の挨拶状を出しましょう。
・パソコン、スマートフォンの利用
いまやパソコンやスマートフォンは昔の大型コンピューター以上の力を持ち、用途も増えています。起業時に利用しない手はありません。
プリンターも用意しておきましょう。ネットワークが発達してきたとはいえまだ紙を使うこともあります。コンビニ等で印刷することができるようになりましたが、適宜少量のデータを記録に残す時のように少量の印刷をする時は外部の印刷装置より便利です。
・SNS等の利用
パソコンやスマートフォンを用意できたら、SNSの利用も考えましょう。現在の学生さんには当たり前のことになっているSNSですが、お使いになってお分かりのように知り合いに情報を発信するには便利なツールです。今やいろいろなSNSがプロモーションツールとして使われています。「図表7 SNSの種類と特徴」にそのうちいくつかの特徴を纏めました。これらをすべて使ったりすると、SNSに取られる時間が無視できなくなりますので、起業する事業に関係がありそうなツールを1つプロモーション用に使ってみましょう。SNSは自分で作成することができればHPや広告用のパンフレットに比べても費用はそれほど掛かりませんので、起業を行う時までには使い方を考えてみてください。
出典 J-Net21「SNSでの集客方法」の目次を参考に作成
・J-Net21
J-Net21は、独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営する、中小企業とその支援者、創業予定者とその支援者のためのポータルサ イトです。様々な経営課題ごとに、知りたい情報を簡単に探すことができます。
そこには全国の中小企業向け施策を毎日更新する次の様な情報が載っています。
・支援情報ヘッドライン: 補助金・助成金情報など、全国の中小企業向け施策を毎日更新
・経営ハンドブック: 中小企業経営者の虎の巻:経営のノウハウが詰まっている
・ビジネスQ&A: 経営者の様々な悩みに専門家が回答
・特集・事例 :企業事例や様々なテーマの解説記事を掲載
・起業マニュアル: 起業に必要な情報をステップごとに網羅
・業種別開業ガイド :300件以上の業種ごとの開業準備手引書
さらに中小企業基盤整備機構の「各種書式ダウンロード」からは、企業準備シートライフプランシート、自己分析シート、市場調査シート、 事業コンセプトシート、事業の骨格シート、活動プランシート、初期投資計画書、自己資金計画シート、資金繰り表、商圏調査シート、設立手続きに必要な書類、業務委託契約書、販売委託契約書、アルバイト面接ツール、覆面調査シート、立地調 査シート、接客基本マニュアルといった書式ダウンロードできます。必要に応じてダウンロードしてください。
様々な方面から、皆様の経営を全面的にサポートするサイト。J-Net21は、そんなサイトを目指してサービスの向上に努めています。
J-Net21については、「145. 起業の場所と設備ーどこで起業するかー」の「図表1 J-Net起業マニュアル」にそのメニューが載っています。そこでは 1.起業を知る、2.アイデアを形にする、3.人・物を準備する、4.お金を準備する、5.事業計画書をつくる、6.開業手続き、7.集客・販促のやり 方、8.人事・会計の実務 、9.業種別開業のヒントに分類されたメニューです。 起業活動で、どのようにやったらいいか疑問に感じた時に参考になるものが見つかれば、ホームページ を参照して利用できます。
他にもFree、創業手帳、WILLFU等のようにいったいろいろなホームページから情報を得ることができます。必要な折には検索してみてください。ということで情報集めをしていたらきりがありません。このあたりで仮想現実のもとで事業設立の準備する備品関係は終わります。
個人事業を始めるときの最小限の手続きは、「図表8 個人事業設立の手続き」に描いた税務署へ提出する個人事業の開発廃業届出書と都道府県税事務所へ提出する個人事業開始等申告書です。
図をクリックすると拡大して見られます
「149. 起業の手続きー創業に必要な書類ー」では第1章 個人事業の届出、第2章 株式会社の届出、第3章 合同会社の定款に必ず書く項目、 第4章には起業時に認可の必要な業種についての解説並びに法人税の手続きについても描いています。必要に応じてご参照ください。図表8の所得税の青色申告承認申請書は必ずしも必要ではありませんが、事業所得を行っていて、電子帳簿保存法と複式簿記を採用しておれば65万円の特別控除を受けることができますので、図表8の3つの手続きはぜひやりましょう。
・国税庁への届出
国税庁のホームページには、「図表9 個人事業設立の準備」にあげるような情報が掲載されております。
vbl01209.jpg図表9 個人事業設立の準備
出典 国税庁「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」を参考にして作成
図表8の左列には提出書類の名前が書かれており、そのPDFファイルもあります、右側には書類の利用方法に関する説明のタイトルが書かれています。これらすべてが必要なわけではありません。必要に応じてご参照ください。これ等の書類には、それぞれ提出先と、提出機関が決められていますので、注意して申請してください。
・税務署へ事業開始を届け出る 納税地の税務署 開業から1ヶ月以内
・青色申告承認申請を届け出る 納税地の税務署 開業日から2カ月以内
1月1日から1月15にまでの間に開業した人はその年の申請年の3月15日まで
・家族への給与を支払う場合 納税地の税務署 専従者を置いた日から2ヶ月以内
・従業員を雇って給与を払う場合 納税地の税務署 給与支払い事務所になってから1ヶ月以内
・都道府県税事務所へ個人事業開始等申告書を提出
・許認可の必要な業種の場合 それぞれの届け出先 開業前にチェックしておく
申請期限には変更もありますので、注意してください。
・個人事業開始申告書の提出
個人事業を開始した時には、都道府県税事務所へ個人事業開始申告書(事業開始等申告書)を提出することになっています。起業地のある都道府県ごとに違っている可能性がありますので、起業地の都道府県における「個人事業税申請様式」やその記入例を検索して、記入してフォルダーに保存してください。例えば東京都であれば次の様になっています。
東京都主税局ホームページから事業を始めた時、廃止した時のメニューボックスをクリックし、事業を開始した場合のメニューを選べば、必要書類、申告期限、申告先、関連ページを見ることができます。
以上、個人事業として、起業するため活動開始時に行うことを中心にまとめてきました。大切なことは、自分の狙っていることは何で、顧客にど のような利益を与えるのかいうことです。細かく見ると顧客ごとに狙っていることが違っているでしょう。このような場合には顧客を層別して、それぞれの層にあった対策をとるかを決めてから、マーケティングやサービス活動を行う必要があります。
個人事業の手続きのところにちょっと出ていますが、家族への給与を支払う場合、専従者使用する場合、許認可の必要な業種である場合には 「149. 起業の手続きー創業に必要な書類ー」に書いたような各種の追加手続きが発生します。事業事務所の建設が必要な場合や特許のような知的財産についてもそれなりの手続きが発生いたします。これらは、そのような事態が発生した時に検討することにします。
この記事では、起業の最初の検討はフリーランスを個人事業で始めました。他にも「143. 起業の種類と事業形態ー個人か法人か?ー」で報告したように、個人事業では人・技術・営業の関係で起業は難しいとなった場合には株式会社、LLC(合同会社)、企業組合、LLP(有限責任事業組合)といった事業形態があります。これらはこの後の検討が一通り終わってから、評価の段階で考えることにしましょう。なんか面倒くさいことがいっぱいあると感じた方もいらっしゃるかと思います。この他にもいろいろ考慮すべきことがありますので、ここでは、仮想現実のもとで、整理したご自身の資料を、フォルダーにいれて保存し、次の「ステークホルダー」(利害関係者)に進みましょう。
参考文献
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https://www.microsoft.com/ja -jp/office/pipc/business(アクセス 2022/02/23)
海野 耕作「機械装置と器具備品の違いとは?元国税・税理士が徹底解説」
https://japanex.jp/book/?p=5327(アクセス 2022/02/23)
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https: //www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/sdgs_gaiyou_202202.pdf(アクセス 2022/02/18)
外務省ホームページ「パンフレット:持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組(PDF)」
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東京都「東京都主税局 ホームページ」
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/(アクセス 2022/02/20)
2022/03/03
文責 瀬領 浩一