156.起業継続

起業継続

仮想現実から現実に

はじめに

 これまで「大学生の起業のススメ」の第2シリーズでは、仮想現実の世界で起業活動を行ってきました。この活動で作製したものを仲間の人と共有し、実行方法のおかしいところを指摘された時や、思ってもいないことを指摘された時には、活動の前提条件や活動方法等を変更してやり直してきました。こうして、仮想現実の世界で資金面からも倒産しない起業計画を作製しました。今回はこれらの結果をもとに現実の世界で起業を継続するための方法・注意点を纏めました。

第1章 仮想現実から現実への準備

 大学生の起業のすすめの中で今回の「起業継続」がどのような意味を持つのかを見るための起承転結図が「図表1 学生起業」の道です。

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図表1  学生起業の道

 「図表1 学生起業の道」の左下から右上に向かって描かれているStep by Stepの大きな矢印の下にある部分が起承転結です。これまで行ってきたのは、そのうちの起と承でその概要は次の通りです。

 まず①「学生起業の道」では世の中の変化に対応して、学生起業をやろうと決めてから、自分の立場を明確にし、自分のやりたいこととそのためにどのような準備をするべきかを自分への備えとして纏めました。

 次いで②起業の準備では基本的に「起業の準備」で取り上げた<第1シリーズ>はじめて学ぶ起業の仕方(総論)を利用して実現可能な起業の道を探りました。

 ③「起業開始」では仮想現実の下で必要な道具、手続き、場所、開始時期、場所、個人事業等、フリーランスの起業に必要な物の準備を開始しました。

 そのうえで④「ステークホルダー」では、事業に関連する人たちを決め、必要な人を集めました。この時ステークホルダーの人たちに伝えるためのキーワードがパーパスでした。パーパスの設定時には今様でいえばSDGsも考慮するが必要であることを学びました。

 ⑤「 生き残る」では仮想現実の下で、必要資金を見積もり、起業後も資金が不足しないようにするための資金管理の方法法を検討し、必要な売上高を決め、いつ、いくらの資金が必要になるかを予測し資金の調達をしました。

1.1 現実社会への対応 内部の仕事はOODAで

 これからは①から⑤までの仮想現実の世界で修正しながら構築してきた起業のやり方をもとに、改めて現実の世界で起業するわけです。学生起業のように新しいことを始める時には、何度も改善したいことが見つかるとか、時には方向転換をしなくてはならないことが起きるのは避けられません。このような変更に柔軟に対処する方法が「図表2 起業継続」に描いたOODA(Observation Orient Direct Act)です。

vbl01502.jpg図表2  起業継続

 「図表2 起業継続」のOODAについては「コロナ後のベンチャー」の「第3章 IT技術で世界は変わる」の「3.2 現場にはOODAが必要」であることを説明していますのでそちらをご参照ください。日本でよく使われているPDCA (Plan Do Check Act)は製造業のように同じようなことを繰り返し行うプロジェクトで詳細な目標を設定してから実施しその結果をチェックし必要なことを行う方法です。ところが戦争のような設定された目標を達成す るための実行の段階ではOODAの方がよさそうです。すなわちOODAは未来の目標を達成するために現在の活動を調整する方法です。一方PDCAは目標を設定し、その目標を実現するために最近の活動結果を常に観察しその状況に合わせた失敗しないための計画作りをしながら実施する方法 です。たとえば図表1のように学生起業の道を計画しその進捗を図るときに役立つ方法です。一方それを実現する現場の立場になると、予定されたやりかただけでは必ずしもうまくいかないことも発生します。特に学生起業のように過去の実施経験が少な場合には、現場の状況を十分観察し問題があればやり方を変え、うまくいったときにはさらにやり方を改善するOODAが役立ちます。

 ただ「コロナ後のベンチャー」に書いたように現場でOODAを採用するためには
・ 情報悪用の心配のいらない情報共有を行う。
・情報データを集めることはいいが、それによる個人情報漏洩や拡散による被害を防ぐ。
・既得権益をあきらめてでも、新しいことが行える社会習慣を普及させる。
といったことが必要になります。このような方法で柔軟に活動するためには問題の原因を他人のせいにして、他人の責任を非難のするのではなく、どう解決するかを伝え、相手の性格に合わせ た言葉で伝えるためにSNSやメールシステムの使い方や未来を予測するツールの仕組みを提案する方法も学んでおくことも必要です(非難ではなく解決策を)。

第2章 外部との関係

 このように起業を 行う人が外部の人と柔軟に仕事を進める準備できると、図表1の右上部に示したいろいろな外部環境の変化に柔軟に対応できるようになります。

2.1 出口

 最初にチェックすべきものは、「図表1 学生起業」の道の右上の出口です。これはここまでに用意してきた「 起業の準備」の「図表8 学生起業の6W2H」です。

 事業設立の手続きや備品の用意、状況の変化等によって目標が変えられたり、ステークホルダーとの関係を持ったり、 SDGsの実現のために、事業化のパーパスが加わり、なすべきことに変わったり、資金面の制約により当初のマーケットエリアや商品の内容が変わったりすると、学生起業の6W2Hは変更されることがあります。このようなことが見つかった時には学生起業の6W2Sを見直し最新の状態に更新しておきましょう。

2.2 方向転換

 ということで、まず目的を達成するための戦略を立てるために「自事業戦略と計測尺度」で説明したキャプランの戦略マップを参考にして自分の起業用の「図表3 個人事業の戦略マップ」を作製します。

vbl01503.jpg図表3 個人事業の戦略マップ

著.ロバート.S.キャプラン、デビッド・P・ノートン(2014)監訳.櫻井通晴「戦略マップ(復刻版 )」を参照して作成

 事業経営を対象としたキャプランの戦略マップでは最上段は財務の視点ですが、図表3では個人事業主の視点に変更しています。 他にもキャプランの戦略マップの最上段の右の収益性増大戦略は感謝に変更され、最上段の長期出資者の価値は事業運営に変えられています。 このようにこのシリーズでは起業家の立場で使えるように柔軟に項目や表示を変えることにしていますので、皆さんもご自分のケースに合わせて変更してください。すなわち図表3も記入用の枠組みに事例加えて記入した例すなわちFBE(Framework By Exsample)の例です。 ということで図表3では事業への長期出資者向けのキャプランの戦略マップを、個人事業用に組みなおし作製してあります。個人事業が成功し更に拡大させるために起業形態が会社形式になる場合は、元のキャプランの形式に変更して使用すればよいわけです。

 更に図表3の戦略マップの最下段は学習と成長の視点となっており戦略的職務、ITポートフォリオ、活動の場といった関係者の学習と成長が重要であることを示しております。そのうえで内部プロセスの視点、顧客の視点での顧客の感謝を獲得するための仕事をとり上げています。このように図表3の下の3層はス テークホルダーの満足感を得るためやプロセスの進め方、さらにはそれを実行可能にする学習と成長が前提であるとしているわけです。第1章の最後のOODA を 行うための前提条件がここに描かれる候補とわけです。こうしてキーワードを決め数値化することによ り、最上部の事業主の目標の達成度をわかりやすく判断しやすいように可視化しているわけです。これらの数値化したキーワードをKPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)として、組織の目標を達成するための重要な業績評価の指標とします。KPIを毎週または毎月に定期的に観測することで、目標達成に向 けた組織のパフォーマンスの把握できるようにして。OODAのOrientationを行うための指標に使います。

 KPIの使い方の例として 「自事業戦略と計測尺度」の「図表5 戦略目標と実施計画」にもとづいたKPIの設定ををあげていますので、初めての方はそちらの方もご参照ください。

vbl01504.jpg図表4 戦略目標と実施計画

自業戦略と計測尺度」の「図表5 戦略目標と実施計画」に取り上げた上記の最上部は自業となっていますが、ここでは図表4の戦略マップに合わせて事業としてあります。このようにして図表4の左列の戦略目標に合わせて真ん中にあるように計測尺度を決め右列にあるように実施計画に組み込むとお金以外のこれまで定性的な条件も定量化して管理していけます。

2.3 販路拡大と資金調達について

vbl01505.jpg図表5 販路拡大と資金調達

 ここでは、「図表1 学生起業の道」の最上行の左から2番目の図に描かれている「図表6 販路拡大と資金調達のルール」に基づいて起業を進めます。

 図表5の一番右に表紙の絵が出ている絵は中小企業庁の発行の平成30年度版の「夢を実現する創業」です。この本はマンガ形式の本で、創業についての基本知識や公的制度の活用方法が面白おかしく興味を引くように書かれています。そのPDF版はhttps: //www.chusho.meti.go.jp/keiei/sogyo/pamphlet/2016/download/h30Sogyo.pdfから無料でダウンロードすることもできます。

 またその概要図は「アイデアとコンセプトの整理」の「図表6 平成30年度版夢を実現する創業」では次の様に纏めています。
Ⅰ 創業のチェックリスト
Ⅱ 事業計画書
Ⅲ 組織について
Ⅳ 経理事務
Ⅴ 税金について
Ⅵ 創業の準備
Ⅶ 支援制度を利用
非常にわかりやすく書かれていますので、一読して皆さんがこれは役に立ちそうと感じたことを1枚にまとめると起業活動の一連の作業を理解する助けになります(1枚ベストの図です)。

2.4 創業資金の調達

 一般的には創業資金の調達方法には次の4つがあります。

①自己資金 
自分が今持っているお金の価値のことです。自己資金では、起業を開始するに 必要な金額(創業資金)を補うことができない時には、誰かからお金を借りるか持っているモノを売って資金を調達する必要があります。学生さんの場合は、お金になるモノを多くお持ちの方は少ないかと思いますので、ここでは他の方法も考えておきます。

②親族や知人からの借入  
普通は利息の支払いがないので、毎月の資金繰りが楽な資金です。ただ借入金の返済が遅延すると人間関係の悪化を招くおそれがありますので返済時期とその方法には注意が必要です。

③新創業融資制度 
日本経済の活性化を目的として設立された日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は無担保で、保証人なしで運転資金や設備資金を融資してもらえる制度です。

④制度融資 
都道府県や市区町村などの自治体や民間の金融機関、信用保証協会が連携して提供する政府系の制度融資です。新創業融資制度より金利が低く、自治体によっては利息のみの支払いで、元金の返済を猶予してもらえるところもあります。一方申し込んでから融資を受けるまでに数か月かかることや、支払い利息以外に保証料がかかるこなどと、自治体によっては制度が異なっていたり、複雑なことあるので自分の使えるケースを調べておく必要があります。

 と言ことで、①まずは自己資金、②それでも不足分は親戚や知人からの借入で時間を稼ぎ、③新創業融資制度を利用することにします。

 一般的には申請手続きは 次のとおりですがぞれの融資先によって少しずつ違いますので、融資先を決めたらその融資先のルールを良く調べ失敗しないように手続きをしてください。
S1 申込書と創業計画書の記入
S2 書 類の日本政策金融公庫に提出
S3 面接
S4 審査
S5 融資の実行

 ここでは「図表6 創業計画書」に日本政策金融公庫に提出する創業計画書の例をとり上げました。 

vbl01506.jpg図表6 創業計画書

 図表6は、貸し出す側が知りたいことを見事に1枚にまとめた記入用紙です。 貸し出す方の立場にたってみれば、貸し出した資金が返済いただけないと、事業の存続があやうくなるわけですから、 貸し出す人の信頼性や貸し出す対象の成功確率の高いことは必要条件です。ということでその必要条件を確認できるような計画書の提出を求めているのです。さらにこの記入用紙にわかりやすく記入出来ておれば事業の成功率が高いということでもあります。 

 それならと過去に起業の成功した事例を見つけてきてそれをマネするような方式で記入すると、審査する人はこれはどこかで見たことある内容だなと感じます。そのため面接時にその内容を確認するために各種の質問をします。その質問に明快に答えられなくて記入内容にコピー&ペーストに近いもの書かれていると判れば、この計画書を作製した人は信用できないとの判断となります。こうなるともはやこの申請は承認されないということになります。

 このような状況が発生しないように、記入時には自分の考えていることを元にできるだけ解りやすく記入し、質問に答えるときには、固有名詞や数値を使って説明するようにして置きましょう。

 このためにはこのシリーズで用意した

・お客様として選んだ理由。

・ライバルは誰で差別化要因は何か。

・お客様に合わせた売り方や価格を決めてアプローチし、チラシ、名刺・チラシ・会社案内・HPの作成予定である。

・商標・もしくは屋号の設定の理由を説明できる。

・事業形態(個人か法人かについては学生起業であるため個人事業で始める。実績ができてから会社経営に変更する)。

・起業資金については融資、出資、補助金、助成金のうち、先ずは融資を狙い、中でも日本政策策金融公庫の新規開業資金が適切であると判断した。

・会計税務・支援制度・資格制度に注意する。

といったようなこれまでに準備してきたことを十分頭に入れて計画書を作成し審査の面接に参加することです。

2.5 事業の拡大

 起業継続(OODA)を行っている間に、図表1の出口を変更する必要が発生することもあります。そのようなときにどのような手を打つかを決めなくてはいけません。 その時に撤退以外の道を検討をする時に使うのが「図表7 事業拡大」です。

vbl01507.jpg図表7 事業拡大

 図表7では事業拡大と書いていますが、時には起業活動のある部分から撤退せざるをえないこともあります。図表7では簡単に思いつく手法を書いていますが、事業のやり方の変更を行う必要が起きた場合にはそれに適合する指標を選んで使用することになります。ということで仮想現実から現実の世界に移行する最初の段階ではまだ決められませんので、現実の世界ではPoC(概念実証)を行いながら、実施していくこにします。また変更が必要になった時のために、頼りにする相談役を決めておくのがよさそうです。多くの大学はそのようなときのための支援部隊を用意していますのでそちらに相談してください。これは学生起業の大きなメリットです。

補足 

 PoC (Proof of Concept) とは、新しい技術や理論、原理、手法、アイデアなどに対し、実現可能か、目的の効果や効能が得られるか、などを確認するために実験的に行う検証工程のことです。日本語では概念実証とも訳されています。目的の効果を得るために必要な要素や仕様を洗い出すことを目的としている場合もあります。理論や計算などによる検証ではなく、製品やシステムの簡易版を作り、実際に使うことで具体的な検証を行うことがPoCの特徴です。

 そのメリットはコストや工数を削減できることとそこで使われた技術や投資が有効であることの判断材料すること、即ち戦略マップの要素改善に役立つ情報の一つになる可能性があるということです。

第3章 学生起業の道をまとめる

 これまでに、起業をしたいな思ってHPをお読みになってこられた学生さんには各所で自分の起業情報を纏めてくださいと書いてきました。この中から、重要と思われる9枚を選んだのが「図表8 作製資料のまとめ」です。

vbl01508.jpg図表8 作製資料のまとめ

 図表8は描かれている具体的な内容が重要なのではなく、この図に相当する自分の起業情報を書き出すためのフレームワークです。現在皆さんがお持ちになっているのは、仮想現実の世界で作成したご自身の起業情報のまとめです。例えば図表8の左中に描かれているステークホルダー曼荼羅は、ここに描かれているのは一般的なステークホルダーとその説明です。皆さんに書いていただきたいのは皆様の起業に関係するるステークホルダータイプとお願いした具体的な人名とその人の特徴です。今回の学生起業シリーズを読みながら、以前の記入項目ではまずいというところは、柔軟に修正を繰り返しているはずです。こうすることにより全体のフレームワークは変わらなくても、記入内容がより具体化され数値化したものに変わってきているはずです。

 各々のFBE(フレームワーク)の説明はこれまで下記のHPで説明してきました。必要に応じでご参照していただければ幸いです。

(FRB名)        (ホームページ名)     (図表番号)         
起業の準備シリーズ     起業の準備         図表9
創業計画書案        起業継続          図表7
学生起業の6W2S       起業の準備         図表8
ステークホルダー曼荼羅   ステークホルダー      図表3
学生起業の道        学生起業の道        図表1  
資金収支表         生き残る          図表5
起業家思考図        アイデアとコンセプトの整理 図表2
ブランド人格曼荼羅     ステークホルダー      図表5
自分への備え        学生起業の道        図表6

 これら9つの図を纏めた図表8は着眼大局着手小局の考え方でいえば大局の部分を書き出したわけです。これからは大局図を暗黙知として整理しながら、 具体的に活動範囲を決めて実行する小局の一つ現実の起業活動に入ります。また、図表8の左上の起業の準備シリーズは「 大学生の起業のススメ」 の<第1シリーズ>はじめて学ぶ起業の仕方(総論)の9つのテーマの関係を示したもので、各々のテーマが相互に関連していることを示したものです。こまかい活動の方法はこちらに書かれていますので、具体的に作業を行う時には第1シリーズに書かれているテーマも参照してください。時には矢印で繋がっているところも参考にする必要が出てくるかもしれません。

 すなわち図表1の左下の起業の準備のチェックを行い、次のステップの起業の準備を始めるということです。これから始める起業活動は一度仮想現実の世界でやってきたことを現実の世界で再度行うわけですから、ある程度先は見えています。

 大切なことは、ステークホルダーとのコミュニケ―ションがスムーズに行えるか、予定の期限までに必要な設備や備品が入手できるか、そのために必要な経費は予算の範囲に収まっているかといった実行にかかわる制約事項(問題)を意識しながら起業作業を行うことです。これらが予定通りいっているかどうかは、スケジュール表と会計簿でチェックしていきます。そのためにはこれまで検討に使ってきた資料が整理されており、変更があったら直ちに修正していけるように準備していく必要があります。

おわりに

 ようやく、学生起業の第1周目が終わり、現実の世界での起業に取りかかれるようになりました。これから現実の世界で起業を始めるときは、図表1に書いた第1周目のように、各ステップに分けなくても、②③④⑤のステップを一緒にやり、⑤の起業継続のステップでやり方の改善・変更を考えればよいかと思います。すなわち図表1これまでやってきたことは起業活動というより、起業の訓練を兼ねた経営者向けの学習活動です。この学習活動により仮想現実の世界で発生したような起業活動の失敗は避けることができ、現実の起業活動での成功確率は上がります。昔なら丁稚奉公の期間にやっていたことです。丁稚奉公の親方は丁稚に教える考え方ではなく模範(目標)を示します。親方のやっていることを見ながら丁稚の方から積極的にやり方を学ぶという考え方です。丁稚は独立できる技量を身に付けるために、ひたすら働きながら技量を磨く(悪い言い方では親方の技術を盗むに近い)というやり方です。丁稚の方は数年くらいで独立したいと思って必至で学習していました。なぜなら身に付けた技術力と経営力(親方力)が基準以下であれば、独立後たちまち破産してしまうからです。

 ということで丁稚奉公をキーワードでこれまで書いたことを検索し見ると、次の2つが見つかりました。

① 今からおよそ10年前に行ったアントレプレナー入門講義の報告「大学はやめないぞ」 に書いてたようにを学生さんのレポートの中に似たような、話があったこと。
②「新型コロナ後の自業」でとりあげたようにコロナ騒ぎを契機に新しい生き方としても役に立つことができる時代が来たこと。

 即ちこのシリーズの最初の「学生起業の道」の「図表3 人生100年時代を生きる計画」に書いたように、教育という学校主体の考え方から、学生の将来を開拓する学習という自分主体の考え方に変えて学生時代を過ごすために学生起業活動はいい動機すなわち自分への備えになるということです。

余談

 私が企業で就職希望の学生さんと面接をした時には、出身大学の名前は質問できませんでした(面接用のエントリーシートにも書いてありませんでした)がどんなスポーツ活動でどのような成果を挙げたは質問していいことになっていました。今後起業変革が重要になってくるとはスポーツ活動と同じくどのような起業活動を行いどのような成果を挙げたかの質問がそこに加わりそうです(企業は積極的に新時代に対応できる能力がある人を採用したい時代となっているようです)。


参考資料
日本政策金融公庫の創業計画書のダウンロードサイトは https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html ですのでここから自分に関連のありそうな情報をダウンロードすることができます。ちなみにソフトウエア産業についての創業計画書の記入例は https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyourei05_150401g.pdf よりダウンロードできます。
中小企業庁、2018『夢を実現する創業』
https: //www.chusho.meti.go.jp/keiei/sogyo/pamphlet/2016/download/h30Sogyo.pdf(アクセス 2022/05/30)
瀬領浩一、2012「「大学はやめないぞ」アントレプレナー入門のレポートより
https://o-fsi.w3.kanazawa- u.ac.jp/about/vbl2/vbl6/post/66.html(アクセス 2022/06/03)
瀬領浩一、2017「自事業戦略と計測尺度 「@事業塾」の戦略再検討
https://o-fsi.w3.kanazawa- u.ac.jp/about/vbl2/vbl6/post/113.html(アクセス  2022/05/30)
瀬領浩一、2020「コロナ後のベンチャー ITとOODAの有効利用
https://o-fsi.w3.kanazawa- u.ac.jp/about/vbl2/vbl6/post/132.html (アクセス 2022/05/30)
瀬領浩一、2020「新型コロナ後の自業 「家業」のやり方を今様に
https://o-fsi.w3.kanazawa- u.ac.jp/about/vbl2/vbl6/post/133.html(アクセス 2022/05/30)
瀬領浩一、2021「未来から現在を考える ステークホルダーの立場でパーパスを
https://o-fsi.w3.kanazawa- u.ac.jp/about/vbl2/vbl6/post/140.html(アクセス  2022/05/30)
瀬領浩一、2021「アイデアとコンセプトの整理 大学発ベンチャーの設立に向けて
https://o-fsi.w3.kanazawa- u.ac.jp/about/vbl2/vbl6/post/142.html(アクセス  2022/05/30)
瀬領浩一、2021「人材の確保 どんな人材をどうやって
https://o-fsi.w3.kanazawa- u.ac.jp/about/vbl2/vbl6/post/148.html(アクセス  2022/05/30)
瀬領浩一、2022「学生起業の道 自分への備え
https://o-fsi.w3.kanazawa- u.ac.jp/about/vbl2/vbl6/post/151.html(アクセス  2022/05/30)
瀬領浩一、2022「起業の準備 狙いを決める
https://o-fsi.w3.kanazawa- u.ac.jp/about/vbl2/vbl6/post/152.html(アクセス  2022/05/30)
瀬領浩一、2022「起業開始 必要な人材を集める
https://o-fsi.w3.kanazawa- u.ac.jp/about/vbl2/vbl6/post/148.html(アクセス 2022/05/30)
瀬領浩一、2021「ステークホルダー ステークホルダーの立場でパーパスを
https://o-fsi.w3.kanazawa- u.ac.jp/about/vbl2/vbl6/post/154.html(アクセス  2022/05/30)
瀬領浩一、2021「生き残る 必要な資金を確保
https://o-fsi.w3.kanazawa- u.ac.jp/about/vbl2/vbl6/post/155.html(アクセス  2022/05/30)
瀬領浩一、2021「起業継続 仮想現実から現実へ
https://o-fsi.w3.kanazawa- u.ac.jp/about/vbl2/vbl6/post/156.html(アクセス 2022/05/30)

2022/06/07
文責 瀬領 浩一